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2023 年 7 月 12 日

エコノミストがコーディングを学び始めている理由

本稿は "Why are economists learning to code?" の邦訳です。

Chris Jenkins
Managing Director, TORA

エコノミストはなぜコーディングを学び始めているのでしょうか? エコノミストは常に、データセットを処理・検証しなければなりませんが、現在は、効率を向上させ、最終的により複雑なモデルを走らせられるよう、R や Python といったコーディング言語を使用する人が増えています。 

 

I. SUMMARY

  1. ビッグデータ分析技術の人気は、今やデータ・サイエンティストの外に広がりつつあります。
  2. エコノミストはコーディングを学び始めており、これは、ビッグデータ・ソフトウエアの能力から恩恵を受ける助けとなります。
  3. 膨大なデータセットはスプレッドシートでは管理が難しくなり、その一方で新たなシステムはほんの数分でタスクを処理することができます。Datastream の DSWS ウェブサービス・ソリューションは、このセクターの多くの人が選ぶデータ源になってきました。

 

ビッグデータは私たちの生活全てに広がりつつあり、リフィニティブ製品のエンドユーザーでも、コードを覚えて、そのスキルを、ビジネスや市場インテリジェンスのために、大量データの処理やデータベースへの問い合わせに使う人が増えてます。

この分野の技術リーダーは、ソリューション全体を構築しているのであって、単にデータ・サイエンティストをターゲットとしているのではありません。

独立系の主要マクロ調査コンサルティング会社である Fathom Consulting (英語) の技術担当ディレクターである Andrea Zazzarelli 氏は、学術研究以外でプログラミング言語を採用し学ぶエコノミストが増えつつあるというトレンドを指摘しています。

エコノミストは、コーディングの採用が遅れているとみられてきました。その背景にある主な理由のひとつが、エコノミストは実際にはデータ・サイエンティストと同じ規模でデータを利用していなかったことが挙げられます。Zazzarelli 氏は、この変化を促しているのは、機能性の幅、絶え間ない発展、計算スピード、システムをまたいだ相互運用性といったこういったコーディング言語が提供するより大きな柔軟性であるようだとみています。

その結果、ビッグデータ分析の魅力はエコノミストの間に広がりつつあります。

同氏が R を学ぼうと決めた背景にあった主な要因としては、約 6 年前に、R がもつオープンソースの性質と、コード作成者のコミュニティからの強力なサポートがありました。

 

産業全域に対する複数の条件命題でのトップダウン分析を使ったチャート例

産業全域に対する複数の条件命題でのトップダウン分析を使ったチャートの例

 

II. ビッグデータ分析

エコノミストは、データ・サイエンティストが扱うような頻度が高く反復性があるデータテストに比べ、頻度がより低くかつより確立された理論的基盤を持つデータを取り扱う傾向にあります。

しかし、現代の経済は徐々にデジタル化されつつあり、計算能力の増大と新たなデータソースが、確立された経済関係を再考する機会を投げかけています。例えば、Zazzarelli 氏は定期的に、データ・サイエンティストから借用したクラスター手法を使用しています。同氏は、オンライン上の消費支出に関する豊富なデータは、類似の手法がより確立されているがあまり参考にならない消費者調査を破壊する可能性がある分野であるとみています。

同氏は、R でのプログラミングから得られるメリットは、とりわけ同氏の資産配分作業にとって意味があるとみています。R を使うことで、同氏のチームは、経済面および金融面での関係をより効果的に、1 つのモデル環境で結合し、処理し、検証することが可能となりました。

また Zazzarelli 氏は、プログラミング言語を使うことで巨大で複雑なスプレッドシートの取り扱いに苦心しなくて済むようになると述べました。

 

イギリスの金融脆弱性指標

 

例えば、Fathom の Financial Vulnerability Indicator は早期警戒システムで、170 か国以上の国のカントリーリスクの更新を高頻度で提供しています。このレベルのデータはスプレッドシートでは管理が難しく、単純な再読み込みでも数時間かかる可能性があります。一方新しいシステムならこのタスクは数分です。

コードを学んで、プログラミング言語 (英語) をこの種のデータの処理に使用することは、遙かに理にかなっています。

 

 

III. コーディングを学ぶメリット

Absolute Strategy Research (英語) のクオンツ戦略責任者の Charles Cara もこの考えに同意しています。

2007 年に遡ると、同氏は大規模なデータセットを処理し、自分の助けとなる技術を見つけ出すという課題に直面していました。Cara 氏は、自分の時間とエネルギーをコーディングに投資するという先見の明がありました。

その当時、プログラミングはバックオフィスに限定されていましたが、データ・サイエンティストの台頭と共に、現在はフロントオフィスにも採用が広がり、SQL、Python、R、JAVA、C++、C# といったプログラミング言語の使用が増えつつあります。

同氏のリサーチはトップダウンのアプローチを使ったやり方で、R は強力なグラフを作成する助けとなり、演算機能のライブラリを持ち、他のツールとうまく連携し、他のパッケージとの統合に幅広く利用できる可能性がある言語であると判断しました。

同氏は、プログラミング言語として R を選びました。

Cara 氏は独学で習得し、その結果、R は話し言葉を学ぶのに似ており、「単純にどのような言語とも同じように、毎日少しずつ学ぶ必要がある」と述べています。同氏は、投資銀行の Merrill Lynch を退職して Absolute Strategy に転職したこの 7 年間毎日少しずつ学習しており、それ以降主要な市場提案の作成を支援に役立ててきました。

Abusolute Strategy は現在、5 兆ドルを超える資産を運用する顧客のためにサービスを提供しており、同社には、データニーズに合わせて Cara 氏を支援する 2 名の従業員がいます。

一旦データマイニングのパッケージを確立してしまえば、必要なときに後は再度走らせるだけです。

複雑な指標、チャート、ファクター分析や指標を単純に再読み込むだけなので、作業負担が大きく軽減され、同氏は時間的制約があるデータをより迅速に顧客に提供できるようになりました。

 

コンピュータのコーディングの話題に関するソーシャルメディアの言語クラウド

コンピュータのコーディングの話題に関するソーシャルメディアの言語クラウド

 

IV. 正確なインサイト

正しいデータを調達することはもちろん絶対に必要なことであり、これがなければどんな分析も無効となります。

Cara 氏が好むのは、Datastream の DSWS ウェブサービス・ソリューションです。なぜなら、こういったソリューションは、このような大型のデータマイニング作業で必要とされる正確なデータの深みと幅を提供するからです。

これは、同氏のデータ利用にも反映され、同氏の会社は Datastream のトップユーザーのひとつとなりました。

いくつかの分析データポイント、例えば 8 つの変数を持つ 170 か国の 10 年間の日次データを積み上げ始めるとすると、簡単に 500 万を超えるデータポイントになってしまいます。

テクノロジーを使って仕事を行う専門家の頭を最も悩ませるのが、変化のスピードです。今日選んだ言語は明日には時代遅れとなっている可能性があるからです。

YouTube と GitHub は、現在進行中の出来事を熟知する助けとなる情報源として知られています。

コミュニティの一員となって、自分の知識を常に最新のものにしておくのは良いことです。例えば Cara 氏は、自分自身の GIThub (英語) ページを作成しており、ミートアップ・グループへの出席を推奨しています。

 

V.  時間を有効に投資する

今日のデジタル化された経済において、テクノロジー・カーブ、イールドまたは採用カーブに常に先んじていたいと考えるならば、コードを学ぶことは上手な時間の使い方でしょう。

この分野でサイエンティストになるという野心はなくても、幾ばくかの知識を開発することが、自身の職業生活にとって計り知れない貴重なものとなる可能性があります。

目下の課題は、データ・サイエンティストがニーズに合わせて開発した手法を、どのように採用し適用すればよいのかということです。

 

本稿は "Why are economists learning to code?" の邦訳です。

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