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2023 年 11 月 21 日

LSEGが提案するDX時代のトレーディングエコシステムとワークフロー

2023 年の金融業界は DX によって大きく変貌を遂げ、特に ChatGPT などの生成 AI が金融データ分析の進化を加速させています。この変化を受け、LSEGは革新的な情報プラットフォーム LSEG Workspaceの重要性と価値を伝えるための「LSEG Workspace Day Japan」を開催。トレーディングとリサーチ業務の専門家が集結したこの特別な日の様子をご紹介します。

リフィニティブ編集チーム

2023 LSEG Workspace Day Japanレポート

2023 年、金融業界ではデジタル・トランスフォーメーション (DX) が急速に進み、トレーディング業務を取り巻く環境に大きな変化が訪れました。中でも、ChatGPT をはじめとする生成 AI の登場は、金融データ分析の DX を加速させるといわれています。

これからの時代、データの活用方法は大きく変化します。そこで LSEG は、従来のシステムをアップデートするのではなく、時代の要請に応える情報プラットフォーム LSEG Workspace を一からデザインし直しました。その意義や価値を伝えるべく開催したのが、LSEG Workspace Day Japanです。会場には、トレーディングに携わる方やリサーチ部門の責任者など総勢 40 人近くが集まり、真剣に耳を傾けるとともにネットワーキングも行いました。

I. トレーディングエコシステムの劇的な変化と、2025 年の Eikon 提供終了

まず、LSEG Workspace プラットフォームの責任者 Nej D'jelal (ネジ・デジェアル) が、Refinitiv Eikon に代わる情報プラットフォーム LSEG Workspace について、展望を語りました。

Nej「2025年、LSEG はこれまで提供してきた Refinitiv Eikon の提供終了を予定しています。一方で、マルチアセットワークフロー全体の効率化と成長を実現し、グローバルトレンドに対応する新たなソリューションとして LSEG Workspace を構築しました。

具体的には、Workspace、FXall、そして Tradeweb が統合され、LSEG Workspace 内でトレードアイディアを生成したり、メニューから TORA のトレードチケットを作成したりできるようになります」

それに加えてあらゆるアセットクラスに対応する分析プラットフォームを提供するとNejは、表明しました。

Nej「分析の領域についても、全てのアセットクラスに対応する包括的なプラットフォームを構築します。我々が構築した分析環境は、LSEG Workspace やAPIを通じてユーザのみなさまにご提供いたします。FX ディーリングプラットフォーム Refinitiv Advanced Dealingも、LSEG Workspace に完全に統合され、チャットのやり取りだけで通貨、価格、サイズなどの重要な情報を取得できるようになります」

近年、マイクロソフト社や Openfin 社など、グローバルテックカンパニーとパートナーシップを結んでいる LSEG 。金融マーケット向けの次世代ワークフローツールとして、各パートナーのテクノロジーを組み合わせ、AI ツールへの投資も倍増させる予定です。

Nej「今後、LSEG Workspace はマイクロソフト製品と横断して相互利用できるようになります。マイクロソフト社の生成 AI テクノロジー Copilot (コパイロット/副操縦士) も活用できる見込みです。また、Openfin のテクノロジーを活用することで、インストール時間を大幅に短縮し、みなさんのワークフローと容易に統合できるようになるでしょう」

これからも続々と実現する各パートナーとの機能連携や、進化し続ける LSEG Workspace に期待してほしいと、Nej はセッションを締めくくりました。

 

II. LSEG Workspace が描く FX における取引執行のコアテクノロジー

続いて、LSEG データ&アナリティクス トレーディング 事業開発 部長 宗川 雄視 (そうかわ・ゆうじ) より、具体的な LSEG Workspace のアップデートについてご説明しました。 

Refinitiv (リフィニティブ) は2021年に、LSEG (ロンドン証券取引所グループ) の一員とりました。これまで外国為替の分野で多様なデータ、サービスを提供してきたRefinitivの強みを踏まえ、LSEG でも外国為替の領域からLSEG のテクノロジーを取り入れていきます。

取引執行における LSEG のコアテクノロジーについて、下図のような新しい取り組みを紹介しました。

LSEG が注力する FX 取引執行のコアテクノロジー

宗川「LSEG が提供する外国為替をはじめとする取引執行のソリューションは、優れたテクノロジーと商品性を兼ね備えたものになる予定です。既にひとつの事例として LSEG は Cleared NDF マッチングという清算を前提とした NDF の取引の提供 を開始しました。、この新しいサービスは、取引を執行するための CLOB (セントラル・リミット・オーダブック) と、LCH (ロンドン・クリアリング・ハウス) が提供しているクリアリング・サービスを組み合わせることで、取引の効率化だけでなくスワップ執行ファシリティ (SEF) などグローバルの規制への対応も強化されます」

さらに、外国為替の相対取引システムである「Workspace for FXTrading」の GUI は、FX ディーリングプラットフォーム「Advanced Dealing」と共に Workspace に統合されます。

今後提供される、Advanced Dealingの画面イメージ

宗川「Advanced Dealingでは、チャット機能とトレード機能がひとつのワークフローとしてWorkspace 上で完結します。これまでは、Refinitiv Message (チャット機能) とFXTrading (トレード機能) はそれぞれ別々のサービスとして提供されていたため、ワークフローが分断されていました。チャット機能を使って Workspace で生成したトレードアイディアを顧客と共有しながら、シームレスにトレード機能を使って取引を執行することが可能になります」

更に、トレード機能は今後の機能拡張でET等のプライシング・エンジンと API 接続が可能になり、取引の効率化とプライシングの透明性が確保されます。

Advanced Dealing では、相対をインタラクティブに行うため、コンファメーション・マッチング等の負担が減り、コンプライアンスの観点からも安全性が増すことになると考えています。今度の機能拡張についても引き続きご案内いたします。

 

III. AI で融資稟議書を作成する日がやってきた

続いて「AI 、クラウドが金融ビジネスに与える影響について」をテーマに、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 金融サービス事業本部 銀行・証券営業本部長 金子 暁 氏と、LSEG データ&アナリティクス ジャパン・プロダクト・マネジメント ディレクター 笠井 康則が対談を行いました。

2023 年 11 月、法人向けの Microsoft365 に搭載した生成 AI サービス Copilot の一般提供を開始したマイクロソフト社。日本マイクロソフトの金子氏は、「日本で最も Azure Open AI Service が利用されているのは金融業界だ」と言います。実際、大手金融機関から ChatGPT を導入するプレスリリースが相次ぎ、驚いた方もいるのではないでしょうか。

金子氏「金融業界では、融資稟議書の作成や商談前の壁打ちなどに生成 AI が使われています。融資稟議書の場合、専用フォーマットに証券コードを入力するだけで、企業情報が自動入力され、書面が完成します。『SWOT 分析をしてください』と指示を出せば、その結果も反映されます。生成 AI は、正しいデータとプロンプト (文章による指示) を組み合わせて、長い文章をまとめる作業に向いています」

金子氏は、生成 AI によって金融ビジネスの生産性は爆発的に向上すると力を込めました。

本セミナーの参加者からは、「想像よりも大きな変化が起きていることを理解した。今後、テクノロジーの進化に合わせた社内体制の構築も必要だということ認識を持った」などのお声をいただきました。

 

IV. 金融データアナリストは、生成 AI によるデータ分析をどう見るか

最後に、LSEG データ&アナリティクス ソリューション・コンサルタントの塚本 邦尊が登壇し、「生成 AI 時代における金融データ分析の高度化」について話しました。

金融業界でデータ分析を行う際、課題となるのは、散逸したデータソースからデータを取得する煩雑さや、取得後のデータの加工・分析です。そこで重要になるのが、API 連携です。これから生成 AI の活用が進むと、企業のIR情報や財務情報、マーケットデータを含めて精度の高いデータをいかに AI に読み込ませるかが、分析の高度化、効率化に直結します。すばやいデータ取得のために、API 連携は欠かせません。

そこで LSEG は、次のようなサポートを行っています。

  • LSEG Workspace に、Pythonのスクリプティング環境 CodeBook を統合。Python スクリプトを作成できるクラウドホスト型開発環境をご用意しています。CodeBook には、 LSEG Workspace のインターフェイスからアクセス可能です。
  • CodeBookでは、Refinitiv Data Platform API を用いて、920万に及ぶ企業財務の年間データや、950 万の債権、40 年に渡る経済時系列データ、最新のリサーチ、ニュース、分析を取得可能です。
  • CodeBookは、不定期でコーディングをする方やコーディング初心者でも、手軽に独自のデータ・モデルを設計したり、同僚が作った Python アプリケーションを利用したりできます。

このように正確なデータを取得し、手軽に API 連携できる環境が整えば、LSEG のデータを組み合わせた生成 AI の活用可能性は大きく広がっていくといいます。

塚本「生成 AI の力を活用すれば、企業の年次報告書など数十~数百ページに及ぶ超長文の文書をサマライズし、必要な情報を簡単に引き出せるようになります。すでに GPT-4.0 を活用し、テーマ分類やセンチメント分類は、既存のモデルより格段に精度が向上。企業 Transcript に対して生成 AI を用いた企業リスク評価を実施し、良いパフォーマンスが得られたという研究結果もあります」

生成 AI の活用はこれからも金融データ分析の世界で大きなテーマであり、さまざまな可能性が眠っていると話す塚本。多くの金融機関と試験的な取り組みも含めた新たなチャレンジを行いたいと締めくくりました。

LSEG と Microsoft のパートナーシップ

LSEG と Microsoft は共に金融市場の未来を推進します。

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