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2022年12月15日

オルタナティブ資産を個人投資家はどう見ているか?

〜投資を踏み切る上で、ウェルスアドバイザーに求めることは?〜

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リフィニティブ編集チーム

ウクライナ情勢やロシアへの経済制裁など、グローバル全体の不確実性が高まる要素が増えています。これがきっかけになり、個人投資家は、より見通しやすい投資手段や魅力的な新たな投資手段に関心を向けるようになっているようです。グローバルなマクロトレンドの変化を追い、そのような情報を得ようとする意欲も高まっていると言えるでしょう。

オルタナティブ資産への関心を寄せる個人投資家にとって、ウェルスアドバイザーによる提案の価値はこれまで以上に高くなっていると考えられます。しかし、デジタルツールの発展や SNS 利用の日常化によって、これまで存在していたある種の情報の非対称性が埋まりつつある今日、ウェルスアドバイザーが提案した内容や提供する情報が、個人投資家にとって「実はすでに知っているものだった」ということも十分に考えられるようになっています。

では、どのような方法でこれを解決できるのか? 本稿では、このヒントを得るべく行われた調査*をもとに、個人投資家の考えかたを紐解いていきます。

I.  オルタナティブ資産を個人投資家はどう捉えているか? 
そもそも、個人投資家はオルタナティブ資産をどう見ているのでしょうか? まずはここから確認していきましょう。

2021 年 10 月と 11 月に Coalition Greenwich 社が、「投資家と金融機関との現在の関係、金融テクノロジーの利用状況と期待事項、オルタナティブ資産に対する認識、および投資家が投資体験をどのようにパーソナライズしてほしいと考えているかについて理解を深めること」を目的に、世界の個人投資家 1,526 人を対象に実施したアンケート調査の結果(英語:Getting personal: How wealth firms can attract and retain the modern investor)によると、次のことが分かりました。

投資対象としてオルタナティブ資産への注目は続いており、市場に種類が増えているのは周知の通りです。その中でも、アンケート調査の参加者は、ESGと暗号資産の他に、不動産(28%)、非上場企業(株式と債券、27%)、ヘッジファンド(17%)、トークン化資産(13%)、NFT(12%)などに関心を寄せていることが明らかになっています。

上記は全体的に控えめな数字とも感じるため、「実態としてはやはり伝統的な資産の方が好まれる傾向にあるのだろう」と見る向きもあるかもしれません。しかし一方で、シンガポールのマス富裕層投資家は、「長期的な成長を見込んでエキゾチック資産に投資したいものの、手軽に利用できない」とのコメントを寄せており、実は情報ギャップを埋める機会を求めている段階である、とも考えられます。

II. オルタナティブ投資に関して欲しい情報は? 
では、具体的に個人投資家が欲しているオルタナティブ資産の情報はどのようなものなのでしょうか? 調査結果では以下の内容が確認できました。

オルタナティブ資産を個人投資家はどう見ているか?

なお、上表では上位5つの情報と投資家のタイプによってどのくらいパーセンテージが変わるかを表示しました。しかしその他、年代別の情報やその他に個人投資家が求めている情報についても、調査結果は得られています。

詳細は、レポート「顧客体験をパーソナライズする: 現代の投資家を引き寄せ、つなぎとめる方法」にまとめていますので、ぜひ、資料をダウンロードして詳細をご高覧ください。

III. ウェルスアドバイザーはオルタナティブ資産の情報収集方法を変える必要も
ここまでの流れで、本当に価値あるオルタナティブ資産の情報を個人投資家に提示することはウェルスマネジメントサービスの重要な役割のひとつになっていると分かります。

ただ、ウェルスアドバイザーにとっても、オルタナティブ資産に関する情報収集方法は、そう多くないかもしれません。各種 Web サイトを横断的に確認してデータを収集する、というものが多数派になっており、裏付け情報の確からしさなどを担保するうえで不十分な場合もあると想像されます。

つまり、個人投資家の情報収集手段と変わりないため、それほど多くの情報を提示できなかったり、冒頭に示したような「既知の情報を提供した」ということになってしまったり、という場合もあるというわけです。

これについて、Refinitiv のウェルスマネジメントに関する担当者は、「不動産や貴金属現物、ETF、ESG やマーケットのセンチメントなどのデータを信頼できるデータソース(データベンダー)から入手することで、顧客に対する説明の信頼性向上に繋げることができるのではないかと考える」との見方を示しています。

実際に、そのようなデータベンダーは存在し、Refinitiv でも「すべてはデータから」という発想のもと、世界中の情報源、専門家やパートナーからリアルタイで過去のインサイトを収集したマーケットデータを提供するサービスを続けています。

特に、オルタナティブ投資の中でも近年注目されている ESG 投資に関して、数千に及ぶ企業をカバーする ESG データ (環境、社会、ガバナンス) や付帯するサービスを提供し、ESG 情報を求める多くの投資家にご活用いただいています。

このようなデータサービスは、ウェルスアドバイザーに、個人投資家らが興味関心を持ち始めた情報の詳細を提供する機会を増やし、将来的に自身の提供価値の差別化や新たな顧客に明確に成果をアピールできる機会を増やすと考えられます。

では、本当にそのような取り組みが顧客満足度を最大化することになり得るのでしょうか? ぜひ、調査データをもとにしたレポート「顧客体験をパーソナライズする: 現代の投資家を引き寄せ、つなぎとめる方法」にて詳しい内容をご高覧ください。
 

【調査概要】
*調査名   : Coalition Greenwich 社「個人投資家の意向調査」
調査期間: 2021年10月〜11月
調査対象: 世界の個人投資家1,526人
上記内訳:
    居住地 北米(23%)、中南米(13%)、欧州(30%)、日本を含むアジア(33%)
    年齢 35 歳未満(15%)、35〜54 歳(39%)、55 歳超(56%)
    投資カテゴリー 富裕層(29%)、マス富裕層(71%)
    投資判断の方法 オンライン証券利用方(35%)、アドバイザーとオンライン証券のハイブリッド型(44%)、アドバイザー主導型(21%)

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