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2021年6月16日
反社チェックのやり方、考えるべき3つのポイント


反社チェックは、企業があらゆる犯罪に巻き込まれたり、意図せず犯罪に加担したりすることを未然に防ぐと同時に、反社勢力との繋がりが明るみになることで生じるステークホルダーからの信頼失墜やレピュテーション・リスク(風評被害)を回避するためにコンプライアンス部門が中心となって徹底的に行なうべきものです。
では、反社チェックのやり方はどのようなものが挙げられるのか、確認しておきましょう。
目次
1. 反社チェックのやり方、外注せずに自社で対応(Google検索:無料ツール)
2. 反社チェックのやり方、外注せずに自社で対応(有料ツール)
3. 反社チェックのやり方、外注して対応(アウトソーシング、業務委託)


I. 反社チェックのやり方、考えるべき3つのポイント
反社チェックのやり方はいくつか挙げられます。どの方法を用いるかは、自社の規模に応じてだけでなく、取引先が反社であった場合に被るリスク度合いや取引の内容、取引先企業との関係性の深さなどによって総合的に判断すべきです。
1. 反社チェックのやり方、外注せずに自社で対応(Google検索 : 無料ツール)
反社チェックの方法のうち、最も身近で素早くできるのは、Googleのような検索エンジンを活用してweb上の情報を確認してみることです。もし、過去に事件や事故を起こしていたとすれば、その報道記事がweb上に掲載されている場合があり、それを判断材料として活用することができるかもしれません。
一方で、その情報が本当に正しいものなのか、という問題もあります。特に、個人ブログやソーシャルメディアなどの情報はしばしば真偽が定かでない場合があるため、注意するべきでしょう。正確性を担保するためには、公的機関や報道機関のように信頼性の高い情報ソースを当たるべきです。
ただし、そうした情報だけでは限界があり、より深い調査には適さないと言えます。大きなディールであるほど調査が不十分でビジネスにおいてリスクが高まるおそれが考えられます。
2. 反社チェックのやり方、外注せずに自社で対応(有料ツール)
取引に関する契約書を早く締結し、ビジネスを前に進めたい営業部門や調達部門などの事業部と、反社チェックや契約書の精査を行なうコンプライアンス関連部門の間では、たびたび「スピード」と「安全性・信頼性」の間で意見の対立が生じる場面があります。その2つをどちらも叶える、という意味では有料の反社チェックのツールやソリューションを活用することは、最適解のひとつだと考えられます。
しかし、ここで最も重要なことは、そのツールやソリューションの質です。
・ツールで参照するデータはどこから得ているのか?
・データの信頼性はどのように担保されているか?
・そのデータはどのくらいの頻度で更新されているか?
・データの量はどのくらいあるのか?
このような「信頼性」「鮮度」「深さ」に加え、「国内外の情報、それも主要国だけでなく新興国も」という場合は、「網羅性」も含めて、評価する必要があります。
導入時には自社が想定するリスクを整理し、どのようなデータを必要としているのか社内のニーズを明確にした上で、選定するべきでしょう。一般的にツールやソリューションは導入費用やランニングコスト、導入に必要なリソースが重視されがちですが、そのような基準だけで選定すると、正しく反社チェックができない場合がある、と理解しておくことが重要です。
3. 反社チェックのやり方、外注して対応(業務委託)
2007年に犯罪対策閣僚会議が示した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」では、「反社会的勢力による被害を防止するための基本原則」として、企業に、組織としての対応はもちろん、外部専門機関との連携に努めるよう求めています。
この外部専門機関として挙げられるのが、信用調査会社(調査会社)です。このような外部の専門家の協力を仰ぐ場合
1. そもそも関係性がないので、どこに依頼していいか分からない
2. その専門家の実力が測れないので不安がある
3. コストと時間がかかり過ぎる
このような疑問や課題が生じる場合があります。そのため、機会がたびたびあるのであれば、しっかりと調査会社を選定し、日頃から連携をはかっておく必要があります。また、海外の企業の調査にも対応が可能なのか、そしてそれはどのように行なわれるのか、といったことを確認しておくことも「もしもの時」への備えになります。
ただ、調査方法によってはどうしてもコストが高額化したり、時間がかかってしまったり、費用対効果が合わないなどの懸念があります。そのため、「この契約は自社にとって影響範囲が大きい」と懸念されるケースに対し、「コストと時間をかけてでも、行なうべきだ」との全社的な合意のもと外部専門機関に委託する、といった線引きが必要だと考えられます。
日本企業の場合、これまでの商習慣から、「日本企業同士なら、あるいは、長い間取引してきた企業なら、問題は起こらないだろう」との考えが今でも根強く残っているとされます。そのため、CDD(Customer Due Diligence)やKYC(Know Your Customer)の真の重要性にまだ気付けていないのではないか、との指摘もあるほどです。
さらに、本来は徹底した反社チェックをするべき新規取引先に対しての警戒感も薄く、反社のような“本来なら取引を避けるべき企業”と知らずに取引を始めてしまうケースもあるようです。ぜひ、”リスク感受性”を高めるべく、もしも“本来なら取引を避けるべき企業”と取引を始めた場合、どのようなリスクにさらされるか改めて想定し、全社的に反社チェックを徹底するべきです。
II. まとめ
反社チェックの方法は、非常に身近で手軽なやり方から、時間やコスト、リソースを使って丹念に行なうやり方まで、大きく3つの選択肢があります。そのため、ビジネスの内容や社内で策定したコンプライアンス・ガバナンスに関するガイドライン等を参考に、ケースバイケースで合理的な反社チェックのやり方を採用しているという企業も少なくないと想像します。しかし、そうした場合は、「その判断が本当に正しいものなのか」といった新たな問題も生じると考えられます。
これから本格的に反社チェックの体制を構築する、あるいは、より強力な体制を構築するとなった場合は、上述のような「ひとつの判断に派生して想定されるリスク」を一度しっかりと棚卸しした上で、目まぐるしく変化するビジネスシーンにも見合うコンプライアンス・ガバナンス体制の実現が求められます。
Refinitivはこれからも、反社チェックをはじめとする企業のリスク低減に向けた取り組みに役立つ優れたデータとソリューションを提供し、すべての企業が安心してビジネスを推進できる環境を整えられるよう、今後も支援してまいります。
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