2021年3月18日

投資信託選び「何を」から「なぜ」へ

リフィニティブ・ジャパン株式会社

代表取締役社長

富田 秀夫

5891本

これは、投資信託協会の今年2月末の統計で示されている契約型公募投信の運用ファンド本数だ。

今、投資信託を買おうとしたら5891本から、どうやって選ぶか。まずは、株式、債券、ミックスアセットといったアセットクラスを決めて、次に地域、国あるいはテーマなどで絞り込んでいくのが一般的かもしれないが、それでも選択肢は多い。個別株式に投資する場合は、配当予想や公表された配当性向、債券の場合はクーポン水準でスクリーニングすることもできるが、投信の分配金水準を手掛かりにするのは難しい。「投資信託に投資する理由」で必ず出てくる「選択肢が豊富」も、個人投資家にとっては、魅力と素直に言えない側面がある。

選択の難しさを解決する一つの方法が、リフィニティブ・リッパーが提供する投資信託の外部評価だ。グローバル市場をカバーし335,000に及ぶ運用商品を、「総合収益性」「収益一貫性」「元本保全性」「経費率」の4つの基準で評価している。さらに、400強のカテゴリーに分類し、運用パフォーマンスを定量評価して、カテゴリーごとに最優秀ファンドを選出。リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード(以下、RLFA)として世界24の国・地域で毎年表彰を行っている。アワードでは、3年以上の運用実績があるファンドを対象にし、4つの基準の中でも収益一貫性を重視して評価しているため、長期にわたって安定的なリターンを残したファンドが選出されている。そうはいっても、過去のリターンは、将来のリターンを保証するものではない。しかし、過去の受賞ファンドを追跡調査してみると、受賞以降も好成績を残している確率が高い。

しかし、運用パフォーマンスと販売額が必ずしも一致するわけではない。「貯蓄から安定的な資産形成」実現に向けて官民あげての取り組みが行われ、着実な前進が見られるものの、純資産総額の伸びで見ると、株式市場の活況にもかかわらず、ETF(上場投資信託)を除けば道半ばの感じが否めない。さらに、増加はしていても、資金増より運用増による割合が大きいのが実情。RLFAの受賞ファンドの中には、連続受賞を続けて、長期投資に最適と思われるファンドもあるが、運用資産額を見て驚くことも少なくない。「長期に金利が限りなくゼロに接近している預貯金が資産形成の手段として機能しないこと、それに替わる最有力の手段が投資信託であることは誰の目にも明らかなこと」との指摘にも、前段は納得するものの、後段は「誰の目にも」とは言えそうもない。

こうした状況を打破する一つの可能性を、投資信託協会と日本投資顧問業協会が、昨年共同で作成した「資産運用業宣言2020」に見る。本文書は、その社会的使命を「資産運用会社の使命は、皆さまの安定的な資産形成に向けて最善を尽くすと共に、そのための投資活動を通じて社会課題の解決を図り、皆さまの豊かな暮らしと持続可能な社会の実現に貢献することです」と定義した。

単に投資家本人の資産形成のためだけの投資ではなく、投資を通じて豊かな人生を過ごすために不可欠なサステナブル社会の実現に貢献するために、投資信託を選ぶ。環境問題に関心が深い若い世代には受け入れやすいアプローチに思える。RLFAで投資信託とともに評価対象の確定拠出年金市場は緩やかながらも着実な成長を遂げている。今後は年金基金だけでなく、確定拠出年金向けファンドが、長期投資のプレーヤーとして存在感を高めていきそうだ。その点でも、社会課題の解決という「なぜ」を明確にした個人のファンド投資が現実味を帯びる。

社会課題の解決と言えば、ESG投資が連想される。しかし、ESGの名前を冠したファンドについては、どのようにESGに貢献しているか、“greenwashing”ではないかについて、世界的に厳しい目が向けられ始めた。欧州連合(EU)では運用会社に、開示でその裏付けを示すことを求める規制も誕生している。リフィニティブが従来から提供していた企業レベルのESGスコアに加え、リフィニティブ・リッパーでも昨年から、投資先企業のESGスコアを基にファンドレベルのESGスコアの提供を始め、この課題にも取り組む。外部評価機関に対する期待に応える決意を、アワード20周年を機に新たにしているところだ。

最後になるが、今回リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2021で受賞した運用会社、ファンドマネージャーの皆さまに心よりお祝い申し上げたい。

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