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2023 年 7 月 26 日
外国為替取引をよりデータドリブンにすべき 3 つの理由
本稿は英国現地時間 2023 年 6 月 19 日に投稿された "Is data-driven decision making the future of FX trading?" の邦訳です。
Bart Joris
Head of FX Sell-Side Trading, Refinitiv
I. SUMMARY
- 自動化の遅れ: 外国為替市場は規模が大きく、株式市場などと比べてテクノロジーによる自動化が遅れている。
- 取引の最適化: 外国為替取引のエコシステム全体でデータ活用が進めば、最良の条件で取引でき、透明性の担保やベンチマーキング、取引の迅速化につながる。
- イノベーションによる市場拡大: AIやデータ活用によって、企業のみならずその顧客や外国為替市場全体にもイノベーションが起こる。
外国為替取引は、自動化と切っても切れない関係にあります。現状、株式市場と比べると自動化の遅れは目立ちますが、今後イノベーションや人工知能 (AI) の利活用が進むことで、外国為替取引のワークフローは変革するのでしょうか。データドリブンな市場運営が外国為替取引のワークフローを効率化し、最良執行に貢献する 3 つの理由について見てみましょう。
II. データドリブンにすべき 3 つの理由
理由1. 外国為替取引のワークフロー改善
外国為替取引のワークフロー全体を改善するには、質の良いデータにアクセスすることが重要です。外国為替取引のプロセスごとに、データ活用のメリットについて考えていきます。
取引前: データから市場の流動性や取引量の動向を把握できるので、最も流動性の高い瞬間を捉えやすくなります。
取引時: ベンチマークやマーケットインパクトに関するデータを、リアルタイムで取引モデルに取り込むことで、取引の成果を最大化できるようになります。それに加えて、取引時の判断力も向上するでしょう。
取引後: 近年、規制当局やステークホルダーの間で、最良執行を行うためにどうすべきかについて注目が集まっています。ツールとデータを適切に組み合わせることでエグゼキューションの質が上がり、企業は取引実績の評価や改善点の抽出ができるようになります。
一方で、外国為替市場は細分化しているため、取引コスト分析 (TCA) 用の価格基準を算出するために十分なデータを取得しづらいという課題もあります。
外国為替取引ワークフロー・レポート: 銀行業務における変化は外国為替取引のワークフローにどのような影響を与えているのか?
理由2. 単純作業からの解放
世界の外国為替市場関係者 600 人に聞いた「2022 年 外国為替取引ワークフロー調査」では、ツールやデータ活用で改善できる業務について、回答者の 43% が「取引の監視」、35% が「取引の実行」と答えています。
ほかにも、手間のかかる単純作業を改善したいと考える人も多いようです。回答者の 53% が、データソースを統合する際の入力エラーや、データの取得に時間がかかることに悩まされていました。また、法規制やコンプライアンスに関するチェックや、自社データと外部データの統合にも、課題を感じているそうです。ほかのプラットフォームからデータを入力する際に起こりがちなエラーも、外国為替取引担当者には悩みの種です。
理由3. 競争優位性を手に入れろ
外国為替取引業務が自動化されれば、市場関係者や各国の規制当局からのニーズに対応できるようになるため、マーケットに良い変化が訪れるでしょう。増大し続けるデータ量と収益へのプレッシャーも、自動化を加速させる原動力となっています。
データを活用し、最良執行を目指すことで企業は顧客サービスを改善し、コンプライアンスを遵守できます。最終的にはデータ、ワークフロー、技術をうまく扱える人たちが最先端のツールを使いこなすことで、企業は優位に立つことができます。
"Workspace for FX Trading"は、機械学習やAI技術をベースに構築されたこれからの時代のワークフローツールです。自社データをクラウド上で分析し、リフィニティブのデータと組み合わせることで、エグゼキューションを推進します。パソコンやエクセル、Python Codebook など多様な環境で利用でき、ニーズに合わせたカスタマイズが可能です。市場関係者やエコシステム全体のデータを活用することで、外国為替取引のワークフローを最適化します。オフィスでも、外出先からでもすばやく情報や分析結果を入手し、アクションを起こせます。
III. 「フィンコーダー」の台頭とデータ活用スキル
データと AI 技術が人間の洞察力と結びつけば、チームの成果はさらに向上します。特にトレーダーや営業職の人は、AI や機械学習ツールを使ってデータドリブンな意思決定ができるよう、プログラミングスキルの習得を検討した方が良いでしょう。
先ほどの「2022 年 FX ワークスペース調査」では、営業職の 59% が、新しいツールを「顧客や取引先の分析」に最も活用できると答えました。一方、クォンツ職では 75% が「ベンダーからのデータ取得」に役立つと考えているようです。
エンジニアの場合、65% が「モデリング、自動化、プロセスの開発」を挙げました。また、フィンコーダー (コーディングの知識を持つトレーダー/営業職) の台頭も、良質かつ膨大なデータと新しいツールを求める要因となっています。
99% の回答者がプログラミングスキルは「重要」または「非常に重要」と考えているのに対し、多くの回答者は自分のプログラミングスキルを「中級またはそれ以下」と答えています。こうした結果は、誰もが利用できるオープンな仕組みで、プログラミングのニーズを踏まえたワークフローツールを提供する必要性が高まっていることを示しています。
本稿は英国現地時間 2023 年 6 月 19 日に投稿された "Is data-driven decision making the future of FX trading?" の邦訳です。
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