リッパーの投信データで見る つみたて NISA 対象ファンドの最新動向

目次

I. SUMMERY
II. つみたて NISA 対象ファンドの急増
III. 流入額トップ 30 に 8 ファンド
IV. 安定性重視の投資家が続々購入

I. SUMMERY

• 新 NISA 開始を見据え、購買意向が高まる: つみたて NISA 対象ファンドは、流入額も純資産総額も右肩上がり。投資意向の高まりが感じられる。
• インデックス・ファンドが急増: つみたて NISA 対象のインデックス・ファンドは 23 年 4 月時点に比べて、17 ファンド増加した。
• 金融庁基準に則ったアクティブ・ファンドも増加中: 長期分散投資に適したアクティブ・ファンドも 3 ファンド増え、今後も増えることが予想される

先日発表された「つみたて NISA 対象商品のリッパー・レーティング」(2023年6月時点) 。その結果から明らかになった新 NISA 開始を見据えた各ファンドと投資家の動向をまとめました。

II. つみたて NISA 対象ファンドの急増

最新のリッパー投信データによれば、インデックス・ファンド、アクティブ・ファンドともに、つみたて NISA 対象ファンドが増加傾向にあることがわかりました。この流れは、2024 年 1 月の新 NISA 開始へ向けて加速しそうです。

2023 年 4 月時点のデータと比べると、つみたて NISA 対象ファンドのうち、インデックス・ファンドは 17 ファンド、アクティブ・ファンドは 3 ファンド増加しています。金融庁が定めた基準をクリアするアクティブ・ファンドが増え、今後は長期分散投資を見据えた適格ファンドも増えていきそうです。

III. 流入額トップ 30 に 8 ファンド

投資信託マーケット全体でも、つみたて NISA 対象ファンドの注目度が高まっていることが見てとれます。国内の投資信託における 2023 年 4 ～ 7 月の流入額ランキングを見てみると、トップ 30 のうち 8 ファンドがつみたて NISA 対象ファンドでした。また純資産総額の面でもトップ 30 のうち、つみたて NISA 対象ファンドは7ファンド。中でも以下のファンドは純資産総額でも流入額でもトップ 30 入りしており、投資家が注目する伸び盛りのファンドだと言えるでしょう。

• MUKAM eMAXIS Slim 米国株 S&P 500
• MUKAM eMAXIS Slim 世界株 (AC)  
• 楽天 全米株式インデックス
• MUKAM eMAXIS Slim 先進国株 IDX

これらのつみたて NISA 対象ファンドには、騰落率がそれ程高くないという特徴があります。実際、上記 4 ファンドは 1 年／ 3 年／ 5 年のいずれのタームでも、騰落率トップ 30 に入っていませんでした。

直近 3 カ月の騰落率トップ 30 にも、つみたて NISA 対象ファンドは含まれていません。より詳しいデータに目を向け、インデックス、アクティブ、ETF (上場投資信託) の 1 年／ 3 年／ 5 年の騰落率を見てみても、トップ 30 につみたて NISA 対象ファンドは入っていませんでした。

IV. 安定性重視の投資家が続々購入

これらの分析から、新 NISA 開始を見据えた多くの投資家が、つみたて NISA 対象ファンドを積極的に購入していることが明らかになりました。ファンドとしても、短期的なパフォーマンスや騰落率よりも、長期投資による複利効果を狙った資産形成を目指していることがわかります。新 NISA 開始へ向けて、ますますつみたて NISA 対象ファンドへの注目は高まっていきそうです。