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2021年3月26日

アクティブ・ファンドが優勢だった2020年

リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパンで傾向を分析

The Finance risk screen

リフィニティブ・ジャパン株式会社

コンテント・マネージャー 投資信託担当

熊谷紀香

 

日本での発表が今年で20回目を迎えたリフィニティブ・リッパー・ファンド・アワードにおいて、カテゴリー別の最優秀ファンド賞164ファンド、運用会社賞8社を選定いたしました。内訳は、個別ファンド部門/投資信託部門で140本、2015年から始めた確定拠出年金(DC)部門では24本が受賞しました。

投資信託部門では、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社が最優秀会社賞を受賞。ちばぎんアセットマネジメント株式会社は、地方銀行では初となる株式部門の最優秀運用会社に選出されました。また、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社は、初めて債券部門の最優秀運用会社となり、ラッセル・インベストメント株式会社は、5年連続でミックスアセット部門の最優秀運用会社に選ばれました。

確定拠出部門では、野村アセットマネジメント株式会社が総合部門と株式部門で選出され、東京海上アセットマネジメント株式会社は、2年連続でミックスアセット部門の最優秀運用会に選出されました。日興アセットマネジメント株式会社は、債券部門で初めての受賞となりました。また、日本独自で選定している優秀ファンド最多獲得賞は合計21本のファンドが選出されたアセットマネジメントOne株式会社が獲得されました。

今年は、投資信託部門で新たに「オルタナティブ クレジットフォーカス」、「債券型 ユーロ ハイイールド」が最優秀ファンドのカテゴリーに追加され、受賞対象カテゴリーが2分類増加しました。その一方で、「絶対収益追求型 債券 日本円」が受賞対象分類から外れました。これは、近年増加傾向にあるオルタナティブ投資とユーロの社債市場の成長とポートフォリオの分散傾向が当アワードにも反映されていることを示しています。

投資信託の平均設定後の年数が約7.5年と言われる中、本アワードにおいては、前年に続き、評価期間10年のファンドが28本から30本に増えるなど、運用期間10年超のいわゆる「長寿ファンド」の増加傾向が見られました。連続受賞という観点で見ると、2年連続で最優秀ファンド賞を受賞したファンドは26ファンドあり、DIAM新興市場日本株ファンド(アセットマネジメントOne株式会社)と米国NASDAQオープンBコース(野村アセットマネジメント株式会社)は9年連続GS新成長国債券ファンド(愛称:花ボンド)(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社)は8年連続、セゾン資産形成の達人ファンド(セゾン投信株式会社)、フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)(フィデリティ投信株式会社)、J-REITオープン(年4回決算型)(野村アセットマネジメント株式会社)は7年連続の受賞となりました。

さらに、投資信託部門の受賞ファンドをアクティブ・ファンドとパッシブ・ファンドという観点で比較をすると、昨年は5本のパッシブ・ファンドが最優秀ファンド賞を受賞しましたが、本年度は1本のみという結果になりました。大型株のアクティブ・ファンドは、10年以上にわたり、パッシブ・ファンドに比べ、シェアを減らしており、この傾向は2020年も変わりませんでした。しかしながら、債券型ファンドは分析が複雑であり、OTCや流動性の低い市場を頻繁にナビゲートする専門のトレーディングデスクが必要なため、アクティブ・ファンドで運用するのが最適なのかもしれません。また、新興国市場の株式や公開情報が少ない小型株、及びESG関連への投資も、専門知識を有するファンド・マネージャーを介して行うのに適しています。このような特定のファンドにおいては、アクティブ・ファンドが今後も優勢であり続ける可能性があると言えます。

乱高下した昨年のような局面を対象としたリフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパンの受賞結果は、アクティブ・ファンドが強みを発揮したことを示しています。銘柄選別も含めリスクマネジメントが行われているアクティブ・ファンドであれば、基準価額の下落率はインデックス・ファンドに比べて低く抑えられる可能性が高いことを示唆していると言えるでしょう。インデックスの上昇率を上回り、ベンチマークの下落率よりを抑えて運用されたアクティブ・ファンドの運用者に敬意を表したいと思います。

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