「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023｣の概要とLipperのビジョン

目次

I. 「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023｣の概要
II. リッパー・ファンド・アワードの意義と特徴
III. 投資信託市場においてLipperが目指すもの
IV. 個人投資家の方々へのメッセージ

I. 「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023｣の概要

2023 年には合計 153 のファンド賞と 8 つのグループ賞を選定しました。内訳は、最優秀ファンド賞においては、投資信託部門で 126 のファンドが受賞し、確定拠出部門では 27 のファンドが受賞しました。また、三井住友 DS アセット マネジメントが、投資信託部門と確定拠出部門合わせて 19 のファンド賞を獲得し、「最優秀ファンド最多獲得賞」を受賞しました。

受賞ファンドの内、株式型　業種別　不動産業　日本のカテゴリーで、フィデリティ・Ｊリート・アクティブ・ファンドが、唯一、3 年、5 年、10 年の全期間において最優秀ファンド賞を獲得しました。また、確定拠出部門では、株式型　グローバル　除日本のカテゴリーにおいて、日興アセットマネジメントのインデックスファンド海外株式ヘッジなし (DC専用) が、同様に3年、5年、10年の全期間の最優秀ファンド賞を獲得しました。

今年のアワードの傾向を見ると、投資信託部門においては、下記のカテゴリーが、ファンド数が受賞要件を満たさなかったため、受賞対象から外れました。

また、下記のカテゴリーが、弊社のファンド分類の見直しにより、ファンド数が受賞要件を満たしたため、受賞対象に加わりました。

投資信託部門の受賞ファンドをアクティブ・ファンドとパッシブ・ファンドという観点で比較をすると、昨年は、97 本 (複数年受賞ファンドは1本として集計) 中、5 本のパッシブ・ファンドが最優秀ファンド賞を受賞しましたが、本年度は 100 本中、10 本が受賞しました。確定拠出年金部門では、昨年の 18 本中 5 本に対し、本年度は 20 本中 7 本という結果になりました。弊社のファンド・アワードはアクティブ・ファンドが優位となる傾向が見られますが、本年度の投資信託部門ではパッシブ・ファンドの検討が目立った結果となりました。今後、この傾向がどのように変化していくのか、引き続き、注視していきます。

II. リッパー・ファンド・アワードの意義と特徴

リッパー・ファンド・アワードは、受賞者がファンドの販売、販促資料広告、またマーケティング資料で活用することが出来る、重要なブランド認知のためのプラットフォームです。
当アワードは、10 年以上にわたってバイサイド業界で Lipper のリーダーシップを促進する主要なイベントであり、資産運用会社をつなぐ優れたプラットフォームを提供しています。授賞式には、ファンド業界のトップのファンド・マネージャーの皆様、資産運用会社のエグゼクティブ・リーダーが集まります。
また、リッパー・ファンド・アワードの評価期間の最長は 10 年です。この期間の受賞ファンドは、ファンドが長期にわたり安定したパフォーマンスを上げたとアピールすることができるのです。

リッパー・ファンド・アワードでは、受賞者を決定する際に、リスク調整後のリターンを測るための指標である、Lipper Leaders の「収益一貫性」を使用しています。この指標は、同業他社の同分類のファンドよりも、優れたリスク調整後リターンを、一貫して提供してきたファンドを識別します。また、リッパー・ファンド・アワードでは、短期または 1 年間のリターンではなく、一定期間のファンドの一貫性を評価していますので、ファンドの年々の収益一貫性を重視する投資家に最適な賞になっています。

III. 投資信託市場においてLipperが目指すもの

Lipper のビジョンは、プロおよび個人投資家向けのグローバルなファンドのリサーチおよび分析の主要プロバイダーになることです。投資信託の比較分析データと、ファンドの手数料と費用に関する洞察のグローバル・ソースとなることを目指しています。弊社は、膨大なグローバル・データベースを所有しており、ファンド業界の専門家向けのソリューションとサービスも提供しています。Lipper のソリューションは、ファンド発行後の意思決定プロセスをサポートするように設計されています。ファンドのパフォーマンスを効果的にモニターし、測定するために必要な情報、及び詳細なパフォーマンス分析と同業他社のファンドとの比較をサポートするために、詳細な分類とベンチマークも提供しています。 Lipper を使用することにより、ユーザーは比較分析を実施して、戦略的に資金を配置し、ファンドへの投資を引き付けることを可能とします。

IV. 個人投資家の方々へのメッセージ

ファンドの評価方法は多数あり、Lipper の評価方法が完全なものである、というつもりは毛頭ありません。パフォーマンスよりも、運用の透明性や、運用会社の開示情報を高く評価する投資家もいるでしょう。

投資において大切なのは、個人投資家の皆さんが、投資の結果を納得して受け入れることができるかどうか、ではないでしょうか。Lipper の「収益一貫性」を用いた評価方法や理念に賛同できるのであれば、投資の参考にして頂ければ良いし、もし、納得できないのであれば使うべきではないでしょう。重要なことは、投資したファンドのパフォーマンスが自分の思った結果にならなかったとしても、納得できるような投資を行うことではないか、と筆者は考えます。

Lipper の評価方法が個人投資家の皆様が投資先を決定するにあたり、有益な情報となることを切に願っております。