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2021年5月11日

コロナ禍で金融が果たした役割

IFRアワードで紐解く

リフィニティブ・ジャパン株式会社

IFR編集部

岡本賢裕

資本市場における世界の金融機関の優れた功績を表彰するIFRアワード2020が今年2月末に発表され、Bank of the Yearにはモルガン・スタンレーが選ばれた。同日のアジア時間にはIFRアジア・アワードも公表され、JPモルガンが同地域におけるBank of the Yearに選出された。

Yen Bond House of the Yearにはみずほ証券、Yen Bond of the YearにはNTTファイナンスによる総額1兆円の4本立て円建て債がそれぞれ選ばれた。みずほ証券は3年連続での受賞となった。

IFRアワードの発表は通常だと12月だが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年2月に延期された。また、通常11月中旬までに条件決定されたものが受賞候補になるものの、昨年は対象期間が年末まで延長された。ロンドンと香港で開催される表彰式も開催が見通せない状況となっている。

2020年は新型コロナウイルスの世界的感染拡大という未曽有の危機に直面した1年だった。300万人以上の方々が亡くなり、医療体制が圧迫され、世界経済は閉ざされてしまった。こうした危機が及ぼす影響の規模を把握するのはまだ難しいと言わざるを得ない。そのような状況のなか、金融市場は重大な役割を果たした。金融が危機の原因となった2008年とは違い、今回は金融こそが経済回復のための鍵を握っていた。

IFRによれば、2020年だけで1兆米ドル規模の株式が公開され、その5倍以上の債券が世界で発行された。この数字から、国際金融市場がおこなった「救援活動」の規模とスピードは並外れたものであることがわかる。もちろん、これほどの資金調達が可能になったのは各国・地域の中央銀行や政府の「防御策」があったからこそではあるものの、中央銀行や政府が各案件に直接関与したというよりは、市場参加者の尽力が大きかったといえるだろう。

また、金融のおかげで私たち全員が恩恵を受けていることも見過ごすことはできない。ワクチンを開発したModernaは過去約2年間で約25億米ドルの株式を公開したほか、BioNTechも12億米ドルの株式を公開した。こうした株式公開は、資金調達という目的だけにとどまらず、いろいろな意味で効果を生んでいることは言うまでもない。

2020年はESGファイナンスが主流になった年でもある。

Bank of the Yearに選出されたモルガン・スタンレーもESG案件に積極的に取り組んだ。アジアのBank of the Yearに選ばれたJPモルガンはESG Financing Houseとしても受賞。

本邦市場に関しては上述の通り、みずほ証券がYen Bond Houseに、NTTファイナンスの大型起債がYen Bondに選ばれた。

同証券は、停滞するインターナショナル円債市場においてバークシャー・ハサウェイによる1955億円の起債を成功させたことのみならず、国内債市場においてもコロナ禍の影響を受けた鉄道会社などの起債に積極的に取り組んだ点が評価された。

NTTファイナンスは、国内債市場において初めて1兆円の起債を実現させ、同市場における流動性の厚みを国内外に知らしめた点が評価された。

各賞を受賞された方々に深い敬意を表します。

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