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2021年4月23日
東京スワップ・レートの今後、LIBOR廃止後の金利指標の行方

リフィニティブ・ジャパン株式会社
事業開発部 部長
宗川 雄視
ロンドン証券取引所グループ(LSEG) のグループ企業であるリフィニティブは、金融指標の算出・公表主体として、これまでWM/リフィニティブ 外為指標や金利指標を提供してきた。LIBORの恒久的な停止を2021年12月31日に控え、今年に入ってからは1月にOIS (翌日物金利スワップ) に基づく英ポンド建てターム物SONIA (英語) (Term SONIA Reference Rate = TSRR) を金利指標としてリリース。さらに3月には米国の代替参照金利委員会(ARRC)が米ドル建てキャッシュ・プロダクトで推奨されるレートとして、リフィニティブのSpread Adjustments (スプレッド調整) と Spread Adjusted Rates (スプレッド調整値) を選んだと公表した。こちらについては、現在詳細資料を作成中のため、完成次第公表予定。
リフィニティブでは金融指標のためのIOSCO原則を遵守するため、リフィニティブ・ベンチマーク・サービス・リミテッド(RBSL)を使ってこれらの金利指標を管理している。
東京スワップ・レート(TSR)
これまでも2回に渡り日本円金利スワップ等に利用されている金利指標・東京スワップ・レート(TSR)の今後について説明してきた。その中で述べた通り、リフィニティブは、TONAは日本円のリスクフリーレート(RFR)として広く市場で活用されると考え、以下を提案してきた。
・金利指標であるTSRにTONA OIS(TONA TSR)を追加
・日本円LIBOR TSRを参照しているプロダクトのためのフォールバックレートの設計
2021年3月には、金利指標となるTONA TSRの前の段階としてインディカティブTONAスワップ・レート(金利指標ではない)の公表を情報端末EIKON上で開始した。同レートはLIBOR TSRの公表時間(日本時間10:00と15:30の2回) と同時に公表される。LIBOR TSRと同様に、各種テナーも比較可能となる。算出の方法もLIBOR TSRに近いものとなっている。同レートの目的は、LIBOR TSRと今後金利指標として公表されるTONA TSRとの比較をするためのものである。過去データは、2020年10月分からのレートも用意されている。このデータは、今後、フォールバック・レートを算出する際の参考としても利用される可能性がある。フォールバック・レート算出に関する詳細は、後ほど記述するコンサルテーション・ペーパーでも説明しているので、多くの意見を聞きたい。
今回はさらに具体的な案をまとめるに至ったので共有したい。
コンサルテーション・ペーパー
リフィニティブは金利指標に関する重要な変更に際しては、透明性の確保が重要だと考えている。そこで、TSRに関連した開発を提案するにあたり、コンサルテーション・ペーパーを公表し、現在公表中のLIBOR TSRユーザーをはじめとした関係者からのフィードバックを募ることにした。コンサルテーション・ペーパーでは、以下のポイントを中心に説明している。
- 金利指標となるTONA TSR
- 日本円LIBOR TSRのフォールバック
- TONA TSRの公表の様式
まず、日本円OISとLIBORのコンベンションの違いによる問題点を整理をしたほか、計算に用いるソース・レートのサンプリングの方法を説明。また、TONA TSRでは金利指標として実取引に準ずるレートをソースとするが、こうしたソース・レートを取得する先にウォーターフォール構造を持たせる。この中で優先すべき順位についての考え方をめぐる候補を挙げて説明している。
次に、日本円LIBOR TSRのフォールバック関連では算出する際に用いる計算方法の選択肢などチャートや図を用いながら紹介した。最後に、追加される金利指標であるTONA TSRのリフィニティブの画面上での表示の方法も重要なポイントなため、意見を広く公募したいと考えている。
コンサルテーション・ペーパーは、以下のURLよりアクセスすることができる。この中で、TONA TSRの詳細を説明した上で、フィードバックを2021年5月14日まで募集している。
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本レポートは、LIBOR などの銀行間取引金利 (IBOR) に関する問題点や課題を理解するための指針を示すものです。さまざまな課題やリスク、代替データやリファレンス・レートの構築について目を向けさせ、LIBOR の公表停止が予定されている 2021 年末を見据え、移行準備に着手するためのものです。
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