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2021年2月22日
東京スワップ・レートの今後、LIBOR廃止後のTSRの後継レートとは?

リフィニティブ・ジャパン株式会社
事業開発部 部長
宗川 雄視
TSRR確定値公表
TSR について説明する前に、リフィニティブのターム物リスク・フリー・レート関連では、2021年1月に英ポンドのターム物SONIAリスク・フリー・リファレンス・レート (Termed SONIA Risk free Reference Rate、以下TSRR、英語) が参考値から確定値への移行を完了し、その他のターム物リスク・フリー・レートに関連した情報も適宜紹介していきたい。
インディカティブTONA Swap Rate
今後、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)のTSRの後継として日本円のリスク・フリー・レートであるTONAをベースにしたレートは、まずはインディカティブTONA Swap Rateとして公表される段取りとなるはずだ。これは、先に言及したTONA TSR参考値にあたるものだが、参考値の段階では金利指標としては利用できないため、誤解を招かないような名称となっている。
インディカティブTONA Swap Rateでは1年程度の過去データも遡及して作成される予定だ。同レートは、固定、変動ともにAnnual PaymentのTONA Swapとなる。これは、日本円の翌日物金利スワップ(OIS)の取引のコンベンションに合わせてレートを構築するため、LIBORをベースにした金利SwapのSemi Annualではソース・レートが集まらないと判断されたためだ。
継続性の観点からLIBOR TSRのコンベンションと合わせることが考えられたが、現時点では上記の通りとし、将来的に日本円OISのコンベンションが変更された場合は柔軟に対応していくことになる。インディカティブTONA Swap Rateは日本時間の午前10時のレート(午前10時30分に更新)と午後3時のレート(午後3時30分に更新)となり、公表されるグリッドもLIBOR TSRと同様に比較が容易となっている。
公表時点では、RIC形式等でレートが参照可能となるが、LIBOR TSRを表示しているRefinitiv Eikon上の<17143>ページの画面構成が今後どの様になるのかについては改めて案内していきたい。

出所 : Refinitiv Eikon
TONA TSRの確定値の作成
現在の市場構造を考慮しつつ、採用するソース・レートについての検討が行われている。TONA TSRの確定値では、パネル銀行から提供されるレートではなく、実取引のレートに出来るだけ近いレートが採用される方針だ。計算方法についても、ソースとなるレートのウォーターフォール構造とともに、ターム物リスク・フリー・レートの計算等の経験を考慮して、現在検討されているまた、レートのコンベンションに関しはインディカティブTONA Swap Rateで案内した通り検討されており、確定値となった時点でTONA TSRは、金利指標として金融商品に使用可能となる。
フォールバック・レートの開発
リフィニティブは、日本円のベンチマークのひとつであるLIBOR TSRのフォールバック・レートの導入を予定している。このレートはTONA TSRを基にして計算することが想定されている。実際には、まずは前述のインディカティブTONA Swap Rateと遡及して計算する過去データを使って検討する。過去データに関しては、インディカティブTONA Swap Rateとともにお知らせしていきたい。
フォールバック・レートの計算に際しては、やはりTONA TSR (又はインディカティブTONA Swap Rate) のコンベンションが引き続きAnnualベースでしか公表できない場合を想定することになると思われる。この場合、Semi AnnualをベースにしたTONA TSRの調整レートを計算し、LIBORをベースにしたレートのフォールバックのための調整レートを作成する必要があるのではないだろうか。こうした検討課題とともに、TONA TSRと併せて<17143>ページを将来どの様にしていくのかについて、示していければと考えている。
お客様とのコミュニケーション
インディカティブTONA Swap Rateの公表に続いて、TONA TSRの確定値、フォールバック・レートの算出・公表に関しては、それぞれの公表開始時期、標示方法の他、上記レートのコンベンション等についてもお客様とのコミュニケーションが重要と考える。具体的なコミュニケーションの方法等についても、今後、共有していきたい。
関連資料
LIBOR 移行と IBOR 改革への取り組み

本レポートは、LIBOR などの銀行間取引金利 (IBOR) に関する問題点や課題を理解するための指針を示すものです。さまざまな課題やリスク、代替データやリファレンス・レートの構築について目を向けさせ、LIBOR の公表停止が予定されている 2021 年末を見据え、移行準備に着手するためのものです。
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