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2023 年 8 月 9 日
予測困難な時代こそ、ウェルス・アドバイザーには飛躍の大きな余地が
本稿の一部は、英国現地時間 2023 年 7 月 3 日に投稿された "Wealth advisors are proving invaluable in volatile times" の邦訳です。
リフィニティブ編集チーム
変化の激しい、不確実性の高い時代にあって、金融市場の動向も予測が難しくなっています。しかし、それは裏を返せば、資産運用に関する賢明なアドバイスが、得がたい価値を持つことを意味します。
近年、米国では COVID-19 と急激なインフレという相次ぐショックが、10 年間にわたってゆるやかに上昇し続けた強気相場に歯止めをかけました。そんな中、資産運用アドバイザーが多くの投資家から「頼りにされている」ことが、当社の最近の調査で明らかになったのです。
I. SUMMERY
- Refinitivの最新のレポートでは、金融市場が不透明なここ数年を経て、投資家のウェルス・アドバイザーに対する満足度が高まっていることが明らかに。
- 同時に、よりパーソナライズされたポートフォリオや、新しい投資商品、テクノロジーとデータの活用など、不安定な市場に対する新たなアプローチへのニーズも高まっている。そこで当記事では、この時代に投資家を惹きつける 5 つの方法を提言。
- 日本の投資家の動向は、米国の投資家のそれとリンクすることが少なくない。とくに若い世代では、高い海外志向が見られる。したがって、米国の投資家の動きやインサイトは、日本の金融市場動向の先行指標となりえる。
II. ウェルス・アドバイザーへの確固たるニーズ
当社の最新の調査レポート「ジェネレーション・ギャップを埋める: 投資家を惹きつけ、競争優位性を生む 5 つの方法」によると、米国のほぼすべての個人投資家が、ウェルス・マネジメント企業が提供するアドバイスやガイダンスに満足していることがわかります。
1,000 人以上の個人投資家を対象としたこの調査では、多くの投資家が不安定な市場に戸惑いを感じる中、回答者の 92% がアドバイザーに満足していると答え、また 59% の人にいたっては非常に満足と回答。まさしくこれは、ウェルス・マネジメント企業の努力のたまものと言えるでしょう。
また、X 世代 (41-56歳) とミレニアル世代 (25-40歳) の 86% が、ウェルス・アドバイザーは自分たちの目標や価値観を理解していると回答しました。そう回答した人の割合が 93% にのぼったベビーブーマー世代 (57歳以上) には及ばないものの、若い投資家たちも高い満足感を得ていることがわかります。
これらの調査結果は、不確実性の高い時代において、ウェルス・アドバイザーに対して確固たるニーズがあることを示しているとも言えます。
III. 新領域への注力がアドバイザーを飛躍させる
一方で今回の調査レポートは、ウェルス・アドバイザーが、投資家からより多くの支持を得る余地があることも示しています。たとえば調査では、投資家によって運用嗜好の多様化が進んでおり、とくに若い世代は ESG 投資、ヘッジファンド、暗号資産、不動産投資などへの関心が高くなっていることが明らかに。そうした領域への注力が、ウェルス・マネジメント企業のいっそうの飛躍を、力強く後押しするはずです。
また 2023 年後半の投資動向については、「リスク・オン」と「リスク・オフ」を示した人が、それぞれ 37% の同数となりました。市場が大きく下振れした場合、現在のポートフォリオを維持することで対応する予定の投資家と、それを買いの好機と捉える投資家が、ほぼ同数いる形です。あわせて、「わからない」と答えた人が、26% にのぼりました。このようにリスクの選好度も、投資家によって幅があること、そして意外にも若い投資家ほどリスクをとりたがっていることが見えてきました。
このことは、リスクの嗜好に合わせてポートフォリオをパーソナライズする必要があるという、ウェルス・アドバイザーが直面する課題を浮き彫りにしています。また、刻々と変化する事象に対し、実用的なデータと洞察力を根拠とした、迅速かつ確実性の高い投資判断も求められています。
他にも調査では、若い世代ほどデジタルやテクノロジーを活用したコミュニケーションを好むことや、SNS をはじめとするデジタルチャネルを、投資の有用な情報・アイデア源としていることも明らかなりました。これは現代のウェルス・アドバイザーが、顧客の求めに応じ、デジタルやテクノロジーを適宜有効に活用していく必要性を表しています。
これ以外にも、ウェルス・アドバイザーが差別化を図るためにできることは、まだまだあります。そこで当調査レポートでは、現代の投資家のニーズに的確に応え、より支持を拡大する 5 つの方策を挙げています。
IV. 日本にも、米国と同じ投資状況が訪れつつある
では、日本の投資家の動向は、今どんな状況にあるのでしょう?
コロナ禍において、若い世代でのオンライン証券口座の開設数が、大きく伸びました。背景には、NISAの普及、あるいはポイント投資や一株投資をはじめ小額投資が可能になっていることなどがあります。2024 年から始まる新 NISA 制度も、それを後押しする形です。こうして個人投資家の裾野が広がることで、ウェルス・アドバイザーに対するニーズも、確実に高まるでしょう。
また米国と同様に、ESG 投資への関心も高まっています。このように、米国とリンクするトピックもさまざま見られ、とりわけ若い世代では海外志向がいっそう強い傾向もあって、米国の投資家の動向は“先行指標”ともなりえます。その点からも当調査レポートは、アドバイザリーのクオリティ向上を、助けるものとなるでしょう。
なお、当記事で浮き彫りにした多様な課題に対するひとつの解決策として挙げたいのが、「Workspace for Wealth Advisors」に代表される、当社のウェルス・アドバイザー向けソリューションです。
このソリューションによってアドバイザーには、市場のモニタリングや顧客のポートフォリオ分析に必要なツールとデータが提供され、自信を持って意思決定できるインサイトを投資家に提供できます。その結果、アドバイザーはよりパーソナライズされたサービスと新たな投資機会を顧客に提供できるようになり、不確実性の高いこの時代に欠かせない、顧客との強固な関係性を築けることでしょう。
本稿の一部は、英国現地時間 2023 年 7 月 3 日に投稿された "Wealth advisors are proving invaluable in volatile times" の邦訳です。
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