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2021年4月20日

2021 年のリスクとコンプライアンスにおける重要トレンド

本稿は、2021年1月11日投稿された英文ブログの翻訳です。

Phil Cotter

Managing Director

Risk business at Refinitiv

Phil Cotter

リフィニティブ リスク・ビジネス担当マネージング・ディレクター Phil Cotter が、リスクとコンプライアンス分野における 2021 年の見通しを予測しました。また、2020 年の重要テーマやトレンドについて振り返ります。

  1. 2020 年、新型コロナウイルス感染拡大によってリスクに関する状況が大きく変わり、不十分なデューデリジェンスによるリスク水準の上昇が見られます。こちらについては、当社レポート「真のリスク:  サードパーティとの関係に潜む脅威」でも取り上げています。
  2. 2021 年は、デジタル・トランスフォーメーションが引き続き進展し、信頼できるデータへのニーズが高まるとともに、サステナビリティに大きな重点が置かれることとなるでしょう。
  3. リフィニティブは引き続き、サードパーティ・リスクの管理やグリーン犯罪などの金融犯罪対策に必要なデータや、最先端のテクノロジー、専門家の知識と経験を提供し、お客様のリスク・コンプライアンス部門をサポートしていきます。

世界中の多くの企業が、新型コロナウイルス禍 (英語)により、否応なしに従来の業務のやり方の見直しを迫られました。リスク分野 (英語)では、オンライン上での活動が急激に増加し、金融犯罪の新たな標的として利用されたことで、サイバー犯罪や詐欺などのさまざまなオンライン犯罪がほぼ同時に急増しました。これと並行して、グローバル・サプライチェーンも同様に急激な混乱に見舞われ、多くの場合、その影響は深刻なものとなりました。サードパーティ・リスクが上昇する状況で、多くの企業が短期間で新たなサプライヤーのオンボーディングに奔走することとなりました。

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関連レポート

真のリスク: サードパーティとの関係に潜む脅威

新型コロナウイルス (COVID-19) の世界的感染拡大により甚大な影響を受けたグローバル・サプライチェーン。本レポートでは、サードパーティとの関係における重要分野について考察、サプライヤー、販売業者、パートナーとの関係に潜む危険を明らかにします。

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リフィニティブは、このようなリスク環境の変化が起こる少し前に、グローバルレベルのサードパーティ関係、リスク管理、コンプライアンスを担当する約 1,800 人の企業関係者への調査を基にした レポートを発表しました。この調査では、回答企業が平均約 1 万件のサードパーティとの関係 (英語) を持つ一方、多くの企業ではサードパーティのオンボーディングや継続的なモニタリングの段階でデューデリジェンスを完全には実施していないことが明らかとなりました。
リフィニティブの調査 (英語) によれば、サードパーティの 43% はデューデリジェンス・チェックの対象になっていません。この数値は 2016 年の調査結果を 6 %上回っており、さらに回答企業の 60% はサードパーティに対する継続的なリスク・モニタリングを完全には実施していないと答えています。

リフィニティブの調査ではグリーン犯罪の脅威拡大にも焦点を当てており、この種の犯罪に対する明確な対応が急務となっていることを強調しています。憂慮すべき点として、機関投資家の 84% は「グリーンウォッシング」(誤認を招くようなグリーン認定情報で環境に配慮しているように見せかけること) が一段と増加していると考えています。

2021 年: リスク・コンプライアンス分野の見通し
2021 年に重要となるテーマをいくつか紹介します。

・デジタル化が引き続き進展
フィンテック分野のイノベーションのさらなる加速や新型コロナウイルスの影響の長期化といった多くの要因が相互に絡み合う中、企業は顧客へのデジタル・サービスの見直しを迫られ、デジタル・トランスフォーメーションは今後も勢いを増す(英語)でしょう。

・信頼の置けるデータへのニーズの高まり
リフィニティブの調査によれば、37% もの回答企業が、サプライチェーン・リスクを特定するうえで最大のハードルはデータの不足であると考えています。正確で信頼性の高いデータは、コンプライアンスとリスク軽減を実現するための基盤となります。そのニーズは高まり続けており、企業が金融犯罪の蔓延を食い止めるうえで避けては通れない課題となっています。

・サステナビリティが重点領域に
2016 年 1 月に発効した国連の「持続可能な開発のためのアジェンダ」は、17 の持続可能な開発目標 (SDGs) に基づき、持続可能な意思決定を通じた持続可能な未来 (英語) の推進を目指しています。ここでも、的確な意思決定の確かな基盤となる信頼性の高いデータが求められており、とりわけ ESG (環境・社会・ガバナンス) の面で重要となります。投資やサプライヤーに関わるリスク管理における効果的かつサステナブルな意思決定を行うには、信頼性の高いデータを組み込む必要があるという認識が広まりつつあります。

・制裁措置の増加
米中間で制裁措置が増加するなど、地政学的な緊張が高まっています。一方、英国では EU 離脱完了に先立ち 2020 年に複数の制裁を発表したほか、2021 年も制裁プログラムを展開していく可能性が高くなっています。企業は、制裁に関わる違反行為を避け規制執行から自らを守るため、変化の激しい地政学的環境に適応し得る制裁対策を確実に実施する必要があります。

・リスクへの包括的アプローチの採用
リフィニティブは、2021 年以降のリスク・コンプライアンス環境における舵取りに必要なデータ、テクノロジー、そして専門家の知識と経験を提供することによって、引き続き企業を支援していきます。リフィニティブのデータベース World-Check Risk Intelligence は、2020年に20 周年を迎えました。今後も正確で信頼性の高いデータを提供する必要不可欠なツールとして、企業のリスクに関する意思決定の向上や巧妙な金融犯罪への対策をサポートしています。

リフィニティブは 2020 年に、デジタル ID、決済検証、不正防止を専門に手掛ける Giact Systems LLC (英語) を買収しました。 Giact のプラットフォームを World-Check と連携させることで、マネーロンダリング (資金洗浄) リスクの軽減と金融犯罪の防止に最適化された包括的なソリューションをお客様に提供します。

また同年には、デューデリジェンスのサービスを拡大すべく The Red Flag Group (英語) も買収しました。

実質的所有者 (UBO) の検証も非常に重要かつ複雑な分野ですが、リフィニティブの革新的な UBO Check のデータは、Dun & Bradstreet の提供データを基に、200か国以上の所有構造を分析し、1 億件以上の関係を明らかにしています。これにより、コンプライアンス担当者は UBO の身元を確認し、潜在的なリスクのスクリーニングを行うことが可能となります。国際的なマネーロンダリング防止 (AML) 規制と贈収賄・汚職防止 (ABC) 規制では、企業に対する UBO 関連の厳格なコンプライアンス義務を定めていますが、コンプライアンス部門がすべての取引企業の UBO を特定するのは容易ではありません。

Enhanced Due Diligence レポート
リスクの存在が疑われる場合や、リスクが検知された場合は、より詳細な調査を実施して、顧客、サードパーティ (サプライヤーや販売業者など) や投資機会に関する詳細な背景情報を記載したデューデリジェンス・レポートを作成します。さらに、リフィニティブは組織のサステナビリティに関する取り組みの支援にも注力しており、NGO 発表データの分析に特化した Sigwatchとの提携を通じて ESG データを提供しています。このデータを活用することで、サードパーティの環境パフォーマンスをモニタリングし、国連の SDGs に沿ったサステナブルな意思決定を実現できます。リフィニティブは引き続き、戦略的かつ包括的なリスク管理・軽減アプローチの導入支援に取り組み、2021 年も企業のサステナブルな意思決定をサポートすべく、正確性と効率性の向上に資する最先端のデータとツールを提供していきます。
 

注)本稿は、2021年1月11日投稿された英文ブログの翻訳です。内容に相違がある場合にはリフィニティブのグローバルサイトに掲載されている原文が優先します。

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