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2022年5月24日

外国為替取引とは? 企業が電子取引をするメリット・デメリット具体例と共にくわしく解説

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リフィニティブ編集チーム

グローバルビジネスを展開する企業にとって、外国為替取引は日常業務のひとつだと言えるでしょう。それにあたり、外国為替市場の枠組みではなく、本社をはじめ世界各国の支店や子会社の売買ニーズを集約し、自社内でセントラライズしようという動きも出始めています。

では、企業が外国為替の電子取引をする場合、どのようなメリット・デメリットが想定されるのでしょうか? 確認していきましょう。

I.  外国為替取引は多国籍企業内(非金融機関)でも行われている

冒頭でも示した通り、外国為替取引は多国籍企業内で活発に行なわれるようになっています。特に、自動車産業や電子機器産業、化学産業などはグローバルなサプライチェーンを展開していることが多く、調達等で外貨を必要とする場面も多いため、ある地域の子会社と別の地域の子会社で通貨ペアが成立し得ると言えます。

また、これまで金融機関が活用していたような電子取引のプラットフォームがクラウドやソリューションとして提供されるようになったことで、それを行なうハードルも下がってきたと言えるでしょう。

 

II. 企業が外国為替取引のソリューションを使うべき理由とメリット

では、企業が外国為替取引のサービスやソリューションを活用し、独自のエコシステムを構築した場合、どのようなメリットが考えられるのでしょうか? 不確実性が高まる今日の情勢と合わせて考えてみましょう。

 

1. ウクライナ・ロシア情勢から考えるメリット

2022年2月以降、ロシアによるウクライナ侵攻によって、世界的な不確実性が急激に高まっているのは周知の通りです。また、それ以前には、米中対立や豪中対立など、サプライチェーンに影響が及ぶ世界情勢の不安定化が問題視されてきたことは記憶に新しいでしょう。

外国為替取引というテーマから、サプライチェーン・リスクを考えたなら、例えば、既存のエネルギーや鉱物資源、輸送に関わるサービスなどの需給バランスが崩れ、突如としてこれまでそれほど注目度が高くなかった地域に注目が集まり、それに伴いその地域の通貨の需要が高まる、ということが考えられます。

そうした状況を想定し、サプライチェーン全体で必要な外貨を、本社などの中央組織が把握してリスクの管理や必要な通貨を調達できるようセントラライズすることは、急激な為替リスクの影響を管理することに繋がると考えられます。

 

2. コロナ禍でのリスク低減というメリット

今日、世界的な問題となっている新型コロナウイルスに端を発する問題においても、企業が外国為替取引のソリューションを活用するメリットが考えられます。

感染拡大当初から世界的に在宅ワーク(WFH)への移行が進みました。それに伴い問題視されたのが、業務遂行のためのインフラが十分であるかどうかという点と、WFHが不正の温床になるという懸念です。

実際のところ、WFHが続けば、抑止力となる“監視の目”がなくなり、不正が起こりやすい環境が生まれることは想定できることです。そのため、仮にWFHで外国為替取引をおこなったとしても不正の抑止や早期発見ができ、業務もスムーズに進行できる環境を整えることは企業の重要な課題だと言えるでしょう。

例えば外国為替取引の場合、ソリューションへのログインからログアウトまでの行動をレコーディングしたり、取引ログを保存したり、社員のレベルに応じた利用権限の付与ができるといった機能を有する電子取引ソリューションの導入は望ましい業務遂行のインフラ整備になり得ると考えられます。

 

3. BCP対応として外国為替取引のセントラライズを実現するメリット

II-1で取り上げた世界情勢の不安定化や、II-2で紹介した移動の自由が制限されるような状況下での不正リスクへの対応は、「起こりうる事業リスク」として企業が向き合うべき新たな課題になっています。また、日本企業の場合、自然災害による経営リスクも引き続き警戒すべき事柄です。

そのようなリスクを踏まえてBCP対応を行なう際、例えば、「日本で本社機能を継続することが難しい場合、即座に本社機能を移管させる」というのは究極的なBCPになるでしょう。その際、外国為替取引のソリューションに限らず、クラウドベースのサービスであれば移管のコストやリソースを最低限に抑えることに繋がると考えられます。ビジネスが続けられない等で発生する“不要な”コストを削減する上で、組織のレジリエンスを高めるソリューションの導入は有益であると考えられます。

【メリット】

  • サプライチェーン・リスクに伴う為替の急激な変動をセントラライズによって低減できる可能性がある
  • 在宅ワークのようなニューノーマルな働き方を実践するにあたり、ガバナンス強化や不正リスクの抑止および早期発見に繋がる可能性がある
  • BCP対応になり得る

 

III. 自社内で外国為替取引をした場合の懸念事項

前述のように、自社内で外国為替取引をセントラライズすることや、そのためにソリューションを導入することにはメリットが挙げられます。しかし、デメリットがないわけではありません。以下に3つのポイントを取り上げます。

 

1. 規制対応が十分にできるか?

グローバルビジネスの拡大と深化によって、規制も複雑かつ重層的になっているのは周知の通りです。また、違反した場合の罰金やレピュテーションリスクは年々増加の一途を辿っています。そのような事業リスクを抱え込まないために、また、持続的なビジネスを進めるために、対応を徹底することは企業にとって必須のことだと言えます。

ただ、規制内容の改正は目まぐるしく行なわれており、改正されたことを知ることはもちろん、法令を正しく理解するのは極めて難しいことでもあります。特に、海外で行われている規制の域外での適応も考慮して、金融関連の規制の動向を把握し、正しく解釈して行動しなければ、思わぬ経営リスクに即座に直結する、との懸念が挙げられます。

 

2. 同じ通貨ペアでもより良い条件を見逃していないか?

企業でもセントラライズすることで一定の外国為替のポジションを相殺することができれば、ある程度の手数料等の削減が期待できる一方で、より流動性が高いく良い条件で取引できる機会が存在することを見逃してしまう、ということも考えられます。特に新興国通貨の流動性にアクセスを試みる場合、専門的な知識も求められます。

 

3. 専門人材の育成やソリューション利用コストの問題

上述と関連して、セントラライズ等によって外国為替取引をするには、専門人材の育成や招聘も必要になると考えられます。また、業務遂行のためのソリューションを利用するとなれば、最適なものを選定する目利き力や導入のためのITリソースの確保、利用者への教育ほか、継続的なコストも必要になります。

【デメリット】

  • 各国の規制状況を常に把握し、理解して対応するだけのノウハウがなければ思わぬリスクを抱えるかもしれない
  • より良い条件で取引できる機会を見逃すかもしれない
  • 専門人材の育成コストやソリューションを導入するにあたっての利用コストは発生する

 

IV. まとめ

ここまで述べてきた通り、非金融機関が自ら外国為替取引を行なうことには十分なメリットが考えられます。特に、長らく不確実な状態が続き、今後も予断を許さない今日においては、そのメリットが企業の持続可能性を高めると想像できます。

加えて、デメリットの中には克服がそれほど難しくない事柄も挙げられます。例えば、十分な規制対応ができ、かつ、ソリューションが現場レベルでも利活用できるようサポートしてくれるサードパーティとの連携ができれば、デメリットを消して余りある成果を期待できるでしょう。ここでのポイントは、「自分達にとって必要なサービスとサポートを洗い出し、それを提供してくれるサードパーティを探せるか」ということです。

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