- ホーム
- リフィニティブ・ジャパン ブログ記事一覧
- マネーロンダリング(資金洗浄)とは?規制や具体的事例、手口についてもくわしく解説
2021年11月9日
マネーロンダリング(資金洗浄)とは?規制や具体的事例、手口についてもくわしく解説

マネーロンダリングは、反社会的組織やテロ組織をはじめとする犯罪集団の資金源になるもので、これを防ぐよう対策を打つことは社会全体の秩序の安定に資すると言えます。また、金融機関や事業会社にとっては、規制対応として「取り組むべき事柄」になっています。
では、具体的にどのような事例があり、どのような規制があるのでしょうか? 把握しておきましょう。
I. マネーロンダリングとは?
マネロン、資金洗浄とも言われる行為のこと。反社会的組織やテロ組織をはじめとする犯罪集団が、非合法に獲得した資金の出所をわからなくするよう「ロンダリング(=洗浄)」し、活動資金を得ようとする金融犯罪です。
II. マネーロンダリングの具体的な事例とは?
マネーロンダリングはさまざまな犯罪行為と密接に繋がっています。わかりやすい例としては、反社会的組織の収入源になりやすい麻薬の密売において、その売上金を「正当な商品の売買によるもの」と見せかけるよう契約書を作成するといった手法が挙げられるでしょう。
規制が強化された当初は、麻薬や人身売買といったある意味で「想起しやすい犯罪」がマネーロンダリングに繋がる事案だったと言えます。しかし、今日では麻薬のみならず、土地や有価証券の取引、貴金属類のほか、精巧な模造品や模倣品を用いて資金洗浄を行なうケースも増えています。特に模造品や模倣品については、企業や一般生活者が「本物だ」と誤認して購入することで意図せずマネロンに関わってしまうことも現実に起きています。
例えば、コロナ禍の影響もあって利用頻度が拡大したeコマースサイトでは、同じマーケット内で正規品とそれに酷似した製品が並んでいることが少なくありません。消費者は混同し、正規品として模倣品・模造品を選んでしまうことも考えられます。また、越境ECでは、代金を送金後に「紹介されていた商品と異なるものが送られてきたが、それがまったくのガラクタだった」といったこともマネーロンダリングの事例として取り上げられています。(参考:警察庁「犯罪収益移転防止に関する年次報告書 令和2年」)
企業においては、完成品を製造する過程に複数の卸業者から部品等を調達する際に模造品が紛れ込むケースが懸念されています。検品の際に機能のチェックがなされていたとしても、「本物かどうか」を確認するという点は想定していない場合も考えられ、この状態がマネーロンダリングに悪用されるおそれがある、というわけです。
年々、巧妙かつ複雑化の一途を辿るマネーロンダリングに対応するため、マネロンのおそれがある「疑わしい取引」の事例を把握し、「自社にとって同じことが起こると考えられるかどうか?」を分析して適切に対応する必要があります。
金融庁の「疑わしい取引の参考事例」は、預金取扱い金融機関や保険会社、金融商品取引業者や仮想通貨交換業者で起こると想定できる事例が記載された資料として、有用だと言えるでしょう。
また、具体的な検挙事例も自社のリスクを洗い出す際に参考になりえます。警察庁が毎年発行している「犯罪収益移転防止に関する年次報告書」の令和2年版によると、組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は増加傾向にあるとのこと。中でも、以下の事例はビジネスの現場でマネロンが起こることを改めて注意喚起する内容だと言えます。
【事例10】国際的なビジネスメール詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿
会社代表の男らは、商取引に係る偽りのメールを信じた米国に居住する被害者から日本の国内銀行に開設された男らが管理する法人名義の口座に送金された詐欺の被害金について、正当な事業収益であるかのように装って払戻しを受けたことから、組織的犯罪処
III. マネーロンダリングに巻き込まれた場合、どのような規制に抵触するか
マネーロンダリングに関する法令にはどのようなものがあるのか、確認しておきましょう。
国内法としては、犯罪収益移転防止法、組織的犯罪処罰法、麻薬特例法、外為法が挙げられます。
また、海外の法令で日本企業が警戒すべきものの代表例としては、「米国OFAC規制」が挙げられます。外交政策・安全保障上の目的で、指定した国や地域、特定の個人や団体などとの取引を禁じたり、資産凍結を行なうなどの措置を講じており、域外適用される場合もあります。どのようなケースでそのリスクが生じるのか、事前に把握しておくことが欠かせません。(参考:ジェトロ「外資に関する規制」)
IV. まとめ
マネロン対策を行なう上で不可欠なのが、取引先の信頼性や信用度を正確に把握することです。Refinitivは、マネー・ロンダリング対策 (AML対応) に資する8つのソリューションを展開し、企業が安心してビジネスに集中できる環境を整えられるようサポートしています。
参考文献
警察庁 :「犯罪収益移転防止に関する年次報告書 令和2年」
金融庁 :「疑わしい取引の参考事例」
ジェトロ :「外資に関する規制」
合わせてよく読まれている記事
免責事項:© Refinitiv 2021
本文および本文の内容(以下、「本内容」)は、あくまでも一般的な情報提供を目的としたもので、筆者の本主題に係る過去の経験に基づくものであります。記載された内容はRefinitivの見解を反映するものではありません。なお、無断での複製、転送等を行わないようにお願いします。
本内容は、如何なる法域又は領域においても、投資助言(及びその他の如何なる助言)を提供するものではなく、また金融商品の売買の申し込み又はその勧誘とみなされるべきではありません。記載された意見や予測等は作成時点のものであり、Refinitivは、本内容に含まれる情報の正確性、最新性、適切性及び完全性、また本内容の利用結果について如何なる保証も行わず、本内容に起因して生じた損失や損害について一切責任を負いません。Refinitivは予告なくいつでも本内容を変更、削除する権利を留保します。