知りたい投信 なるほどリッパー : 2023 年 1 月 30 日

投資信託の 2022 年運用成績を振り返る

2022 年の金融市場は、各国のインフレやロシアによるウクライナ侵攻、新型コロナウィルスなどの要因に影響を受けた。そのような状況下、株式型、債券型、及びミックス・アセット型の投資信託の運用成績について考察した。

2022 年、世界の金融市場には、各国のインフレやロシアによるウクライナ侵攻、収束しない新型コロナウィルスの動向が影響を与えました。そのような中でも、日本の個人投資家は「長期・積立・分散投資」への関心を高め、つみたてNISAや個人型確定拠出年金 (iDeCo) などを通じて、投資に前向きだった年といっても良いでしょう。

I.  国内の投資信託残高全体は、おおむね 140 兆円台で推移

2022 年 12 月末時点の国内追加型投信の純資産総額の合計は、142 兆 6,705 億 5,200 万円でした。2022 年は、月末ベースで 2 月を除いた 11 カ月が 140 兆円の残高をキープ。2021 年 6 月に初めて 140 兆円の大台に乗せて以降、高い水準を推移しています【グラフ 1 】。

 

公募投資信託の純資産総額の推移 (2012年1月末~2022年12月末)

 

多くの国で中央銀行が金融引き締めを行ない、世界の株式市場が揺れたにもかかわらず、投信の純資産が高水準を維持できたのは、継続して資金が集まったため。2022 年 12 月末まで、上場投資信託 (ETF) を除くベースで25ヵ月連続の純流入、ETFを含むと 36 カ月連続純流入となりました。

 

 

II. 特に前半が厳しかった 2022 年の運用成績

では、リッパーの投資対象分類別に 2022 年の運用成績を見てみましょう。

純資産残高が 10 億円以上の株式オープンを対象に、期間ごとの騰落率を分類内で単純平均しました。【表】は、純資産残高合計の多い分類をピックアップしています。運用商品別に、年間騰落率の高い順に並べました。

 

投信主要分類別の期間別平均騰落率(2022年12月末時点)

2022 年後半と年間をざっと比較してみると、多くの分類で後半のマイナスが小さくなっています。日本株ファンドや日本のリートファンドは、年後半にはプラスに転じています。債券型は、円安の影響をまともに受けてしまったといえるでしょう。

ミックスアセットタイプは、幅広い分散投資で価格変動リスクを抑える運用を目指しますが、2022 年はあまり効果が見られなかったようです。

一方、年間騰落率がプラスだったのは、株式型の「業種別 公益」。エネルギー価格の変動に連動し、2022 年前半に大きく値上がりしましたが、後半は減速したことが読み取れます。個別の投信について年間の運用成績をランキングしたところ、上位には「株式型 業種別 エネルギー」に分類される投信がずらりと並びました。また、トルコは経済が好調で、個別ランキングではトルコ株のファンドがトップ。上位には複数のトルコ株ファンドが名を連ねました。
 

III. 投資対象別に、中長期で見ると

ここまで1年を振り返りましたが、2022年末を基準に、もう少し長い期間で各分類の騰落率を見てみましょう。

【グラフ 2 】は、株式型の主要な分類の騰落率です。

 

投信主要分類別≪株式型≫期間別の平均騰落率 (2022年12月末時点)

「業種別 公益」以外は 2022 年に苦戦をしましたが、それ以前の高パフォーマンスにより、期間 3 年や 5 年の値上がり率は 2 ケタをおおむね維持できています。

個別ファンドの年間騰落率をランキングしたところ、マイナスの大きな下位には「業種別 IT」が多く並びました。年間で 5 割、6 割の値を下げたファンドも少なくありません。非常に厳しい年となったようです。

【グラフ 3 】は債券型のファンドです。前掲の株式型より縦軸の尺度が小さくなっていますので、ご注意下さい。

 

投信主要分類別≪債券型≫期間別の平均騰落率 (2022年12月末時点)

 

円建て債券が投資対象ですので、為替相場の影響を受けます。投資地域がグローバルで円建ての債券ファンドは、特に円安による基準価額の下落が響いていると思われます。投資対象が国内の円建て債券ファンドは、低金利でインカムゲインによる運用が困難な中、インフレで利上げがチラつけば債券価格が下落します。2022 年は債券型ファンドの運用が難しい年だったといえるでしょう。

【グラフ 4 】は、ミックスアセットです。ミックスアセットの分類は、ファンドに組み入れられている株式の割合に応じて区分されています。株式の割合が 65 ~ 100 %であれば「積極型」、35 ~ 65 %が「バランス型」、0 ~ 35 %が「安定型」です。「フレキシブル型」は、市場環境に応じて投資対象の配分を変更するというタイプです。

 

投信主要分類別≪ミックスアセット 日本円≫期間別の平均騰落率(2022年12月末時点)

 

株式にも債券にも逆風が吹いた 2022 年でしたので、ミックスアセットにもその影響は表れました。過去 5 年の利益を大きく食いつぶしました。

最後に、【グラフ 5 】でREIT (不動産投資信託) を組み入れた、リートファンドをお示ししておきましょう。投資地域別に分類されています。

 

投信主要分類別≪リート型≫期間別の平均騰落率 (2022年12月末時点)

 

日本のリートファンドは、3 年前の投資が全く利益を出していない状態です。一般に、REIT の純資産は、投資家の資金のほかに金融機関や投資家などからの負債も投入されています。世界的に利上げ傾向の中、今後の利払い負担も懸念されます。

2023 年の干支は卯。卯がぴょんぴょん元気に跳ねる相場になりますように。

 

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