知りたい投信 なるほどリッパー : 2023 年 2 月 24 日

地域別に見たリートファンドの現状

2017年以降、純資産が減少しているリートファンドの現在の状況について、残高の推移や騰落率、資金フローの観点から詳しく解説した。

世界の主要国・地域で、中央銀行による金融政策が注目を集める中、 REIT (不動産投資信託) を投資対象とするリートファンドはどのような状況になっているでしょうか。国内で販売されているリートファンドについて、残高の推移や騰落率、資金フローについて、リッパーのデータを集計してみました。

 

I.  リートファンドの純資産はピーク時の7割、本数は高水準を維持

2023 年 1 月末時点で、国内で販売されているリートファンドは、 423 本。純資産総額は約 9 兆円です。

データをさかのぼることができる 2003 年以降、純資産総額のピークは 2016 年 12 月の 13 兆円でした。現在の市場規模は、ピークの 7 割程度。ですが、本数ベースで見ると、2017年以降、430本前後の水準を維持しています【グラフ 1】。

 

リートファンドの残高と本数の推移 (2003年9月末~2023年1月末)

 

リートファンドの純資産が 2017 年以降減少している理由は、明らかです。金融庁が、平成 28 事務年度版 (2017 年 10 月公表) の「金融レポート」で、毎月分配型ファンドに対する金融機関の販売姿勢について、厳しく言及したためです。REIT は、その仕組み上、高い配当を出すことができるため、毎月分配型の投資対象に比較的適しているといえます。そのため、多くのリートファンドが複数の分配パターンを用意し、1  年分配型、半年分配型などよりも毎月分配型が主流となっています。

このような経緯で、毎月分配型ファンドはやや下火になりましたが、 REIT は安定して比較的高い配当金を出すことができます。投資家からは一定の支持があると見られ、本数減少を抑えていると考えられます。

 

 

II. 純資産シェアは国内リートファンドが過半数

国内で販売されているリートファンドの投資対象国・地域は、純資産ベースで過半数が日本です【グラフ 2】。日本の REIT に投資をするリートファンドが 4.64 兆円。次いで米国REITのリートファンドが約 4 分の 1 の 2.3 兆円です。

 

リートファンドの投資地域別純資産総額(2023年1月末時点)

 

純資産総額では 3 番目のグローバルリートファンドは、本数では国内リートファンドを 2 本上回る 151 本です。グローバルリートファンドは、総じて小粒。残高が 1,000 億円を超えるグローバルリートファンドは 4 銘柄です。

銘柄ごとの純資産総額をランキングすると、日本が対象のリートファンドは影が薄まります。米国リートファンドの純資産 1 位、2 位の銘柄が突出。2023 年 1 月末時点で、それぞれ 7,000 億円を超えています。一方、国内リートファンドの残高トップは、ETF (上場投資信託) タイプで、1 月末の純資産が 4,500 億円。4,000 億円台のファンドは 3 銘柄しかありません。

 

 

III. 騰落率は地域によりまちまち

REIT は、不動産市況の影響を受けて価格が変動しますが、金利の影響も無視できません。ローンを組んで購入するケースが多い不動産は、金利上昇は逆風です。また、REIT の運用資金は、投資家から集めた資金のほかに、金融機関からの借り入れも元手となっています。そのため、金利が上昇すると、運用コスト負担が重くなり、REIT の運用にとってマイナス要因となりやすいのです。

【グラフ 3】は、2023 年 1 月末時点における、過去 1 カ月、3 カ月、6 カ月、1 年、3 年、5 年のリートファンドの騰落率です。個々のリートファンドの各期間の騰落率を、リッパーの投資対象分類内で単純平均しました。

 

投資地域別のリートファンドの平均騰落率(2023年1月末時点)

 

最も目立つのは、欧州リートファンドの下落率でしょう。5 年前つまり 2018 年の欧州は、イタリアでは財政問題、英国は欧州連合 (EU) 離脱などの政治的なリスクの真っ最中。株価も下落、不動産市況も悪化していました。

2022年、主要国の中央銀行では唯一、それまで金融政策に変更のなかった日本銀行が、 12 月に政策をやや変更しました。サプライズ感があり、国内リートは大きく下落。他の地域が期間 3 カ月 (2022 年 11 月 ~ 2023 年 1 月) でプラスに転じる中、国内リートは 2023 年に入っても下落が続いています。

 

 

IV. 2022 年頃からリートファンドに資金回帰

では国内リートは投資対象として敬遠されているのかというと、そうでもなさそうです。【グラフ 4】は、各地域のリートファンドの資金フローの推移です。

 

投資地域別のリートファンドの月間純流入額推移 (2020年1月~2023年1月)

 

前述の通り、国内リートファンドの純資産は、全リートファンドの過半を占めています。したがって、他の地域より資金動向の規模が大きくなりがちではありますが、2022 年は 8 月に流出超過になったのみで、他の月は流入超過となっています。

また、全体として、2020 年は純流入額が減少し、2021 年に流出が底をついたような動きで、2022 年には資金流入傾向です。長らく運用成績が低迷していた欧州リートファンドも、流出超過額が徐々に減少しています。

分散投資効果を考えたとき、REIT は株式市況が不調であれば、相対的に資金が集まりやすくなります。リートファンドの投資戦略は、国内外の景気、株式市場、金融政策の動向をにらみながら、地域ごとの事情も考慮する必要があるといえるでしょう。

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