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知りたい投信 なるほどリッパー : 2021年6月25日

予想分配金提示型って?:上 運用成績に応じて分配金を決定

予想分配金提示型って?の1回目。最近、新しく設定されている「予想分配金提示型」の投資信託について解説した。以前、人気を集めた「毎月分配型」の投信との違いや、予想分配金提示型の分配ルールについて説明した。

予想分配金提示型って?:上 運用成績に応じて分配金を決定

 一時期大ブームになった、毎月分配型の投資信託を覚えていますか? 年に12回の決算があり、その度に収益分配金を支払う投信です。毎月、そこそこ高い分配金が受け取れたため、多くの投資家から支持されていました。

 投信の分配金は、決算で運用益が出た場合に、利益の一部を投資家に還元するものです。なのに運用の良しあしに関わらず、毎月お約束のような高い分配金はおかしな話。無理な分配金が問題になり、ブームは去りました。

 けれど毎月分配型そのものが悪いわけではありません。運用益を投資家に還元するのは当然です。ただ、利益が出ていない月は、分配する必要はありません。私は、「毎月分配型」も、「毎月決算型」という呼び方に統一させたほうが良いと思っています。

 最近は、この毎月決算型の投信に新しい動きがみられます。「予想分配金提示型」または「分配条件提示型」と名付けられ、運用成績に応じて分配金の額を決める投信が増えてきたのです。

 予想分配金提示型の投信では、決算期末の前営業日の基準価額に応じた分配金額をあらかじめ示し、市場動向を考慮して実際の分配金額を決定します。毎月決算の投信が多いですが、決算が年4回や2回、中には年1回だけのものもあります。

 予想分配金提示型の一般的な分配ルールは、基準価額が高ければ分配金が多く、値下がりしたら分配金が少なくなるしくみです。ある投信を例に見てみましょう。

 決算期末の前営業日の基準価額が、1万1千円以上1万2千円未満なら分配金は200円、1万2千円以上1万3千円未満なら300円です。1万1千円に満たなければその水準に応じた分配額になり、分配金が支払われないこともあります。1万4千円以上なら、どれだけ高くても分配金は一律500円としています。

 予想分配金提示型は、値動きが大きくなりがちな、外国株式や情報テクノロジー(IT)株で運用する投信に多く、以前の毎月分配型とは運用対象が異なります=グラフ。値上がり益を確保したい投資家には、利益をこまめに確定する機会がある点が好まれそうです。定期的にお小遣いを受け取って老後の年金を補いたい人が保有している、以前からある毎月分配型とは、運用の目的が違うと考えた方が良いでしょう。