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知りたい投信 なるほどリッパー : 2021年12月10日

投信本数の減少そろそろ歯止め?「小粒」のリストラ進み「精鋭」へ 

投資信託の「リストラ」に注目した。17年頃から増えていた、繰り上げ償還が落ち着き、運用会社は精鋭の投信に注力していると思われる。その影響を受けてか、新規設定された投資信託だけではなく、追加設定期間も資金を集める投資信託が増えている。​

投信本数の減少そろそろ歯止め?「小粒」のリストラ進み「精鋭」へ 

しばらく続いていた、投資信託の「リストラ」が終わりを迎えたような感じがしています。国内で販売されている公募投信は、MRFなどの日々決算する投信を除き、2021年10月末時点で5899本です=左下グラフ。

ピーク時の18年1月には6153本あり、長らく「投信の本数は約6000本」と決まり文句のように言われました。これを割り込んだのは20年3月。以来、最も少なかったのは21年4月の5869本です。

投信の本数が減る理由は、新しく設定した投信より、償還した投信の本数が多いため。17年ごろから、償還日を迎える前に運用を終了させる「繰り上げ償還」が増えました。運用会社は、純資産総額が少なく新たな資金が入らない投信を償還させ、その分、時流に合う投信に力を注ぐようにしたのです。月間に60本以上を償還する月も珍しくなかったのですが、今年は最も多かった4月でも44本の償還にとどまり、減少に歯止めがかかっています。

新規設定の本数は、1年間で890本だった13年からほぼ一貫して減少が続いていましたが、ようやく下げ止まったようです=右上グラフの折れ線部分。今年は8月に大手証券会社が新しいファンドラップシリーズの運用を開始した影響もあり、10月末までに312本となりました。昨年1年間に設定した309本を超えています。

新しく設定された投信が募集期間内に集めた金額は、16年以降、年間1兆円前後。それ以前よりも低い水準です=右上グラフの棒グラフ部分。けれど、じつはそれは良い傾向です。一昔前なら、販売会社が積極的なのは募集期間内だけ。中身を問わず、「新しい投信」という点をアピールし、追加設定の資金流入は鳴かず飛ばずというのが定石でした。

最近は、募集時だけでなく、追加設定期間も資金を集め続けるケースが増えました。乱立していた小粒の投信がリストラされた後は、精鋭の投信に投資家の資金が集まるようになっています。これが根づくと、投信市場全体がより魅力的になるのではないでしょうか。

担当=DZHフィナンシャルリサーチ・石原敬子
Refinitiv (リフィニティブ) はロンドン証券取引所グループ (LSEG) 傘下の金融情報提供会社です

【図】
投信の本数は横ばい傾向に
新規設定の投信は本数・設定額ともに下げ止まり