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- 2022年7月22日掲載: 「つみたてNISA」の投信選びに迷ったら
知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年7月22日
「つみたてNISA」の投信選びに迷ったら
つみたてNISAの口座開設総数は、2021年末時点で約339万口座。2020年末の172万口座から96.5%増加した。その背景と、つみたてNISAについて解説した。また。銘柄選びの参考の指標として、リッパー・リーダーズを紹介した。
つみたてNISAが若い世代に人気です。
全証券会社でのつみたてNISAの口座開設総数は、2021年末時点で約339万口座。2020年末の172万口座から96.5%増加しました(日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2021年12月31日現在)より)。
I. つみたてNISAの投資対象は一定の基準をクリアした投資信託
つみたてNISAは、「NISA(少額投資非課税制度)」の3つのタイプの中の1種類。NISAは、一定金額までの投資の利益に税金が課されない制度です。投資の利益とは、値上がり益と、株主配当金や投資信託の収益分配金などです。
3つのNISAの中で、成人が利用できるのは「一般NISA」「つみたてNISA」です。このうちの「つみたてNISA」は、非課税期間が20年で、購入方法が累積投資に限定されています。
つみたてNISANの投資対象は、金融庁が定めた長期投資の観点で要件を満たした公募株式投資信託と上場投資信託(ETF)です。主な要件としては、「販売手数料が低い」「運用管理費用(信託報酬)が低い」「頻繁に収益分配金が支払われない」です。
つみたてNISAの対象は、運用会社が要件を満たす投資信託やETFを金融庁に届け出て、許可されたものです。2022年4月26日時点で213本になりました。対象商品は金融庁のホームページで確認できます。新しく対象になったものがあれば随時更新されます。
II. 1年間で証券会社のつみたてNISA口座が倍増
証券会社で開設されているNISA口座数は、「一般NISA」「つみたてNISA」の合計で2021年末に1,108万口座になりました。2020年末に比べて21.2%の増加です(日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2021年12月31日現在)より)。
そのうち一般NISAは769万口座で、前年比3.7%増。一方、つみたてNISAは339万口座で、2020年末の172万口座から96.5%増えました。約2倍です。【グラフ1】は、四半期ごとのつみたてNISAの口座数です。制度開始以来、一貫して口座が増えていることがわかります。

また、証券会社のつみたてNISA339万口座うち、投資未経験者の割合は87.2.%に上っています。つみたてNISAが、投資の「初めの一歩」として利用されている様子が伺えます。
III. つみたてNISAは20歳代、30歳代で急増
つみたてNISAの非課税枠は、1年間に投資元本40万円まで。投資に回す資金があまり多くない人が、長年にわたり、分散投資でリスクを抑えつつ、積立しやすい制度設計になっています。年代別のつみたてNISA口座数を見ると、20歳代、30歳代でつみたてNISAを始める人が特に増えています(グラフ2)。

2021年末のつみたてNISA約339万口座のうち、20歳代の口座数は81.67万口座。前年末比2.23倍です。比較的早い時期から始めていた40歳代の82.61万口座に迫る勢いです。30歳代は約113万口座で、こちらも約2倍。20歳代・30歳代という若い世代が、つみたてNISA口座倍増のけん引役となっています。
なお、NISAは非課税期間いっぱいまで投資している必要はありません。つみたてNISAの非課税期間20年の間に、途中で売却や解約をして現金化しても良いことから、年配の方も利用しています。
IV. 銘柄選びは「リッパー・レーティング」を参考に
先述の通り、現在つみたてNISAの対象商品は213本あります。つみたてNISAを始めるにあたり、対象の投資信託の中から、どれを選んだら良いか判断に迷う方もいらっしゃるでしょう。
リフィニティブでは、つみたてNISAの投信について、運用実績をもとに「リッパー・レーティング」を公表しています。いわば投信の「通知表」です。掲載はこちらで、3ヵ月ごとに更新されます。
ここではすべてを紹介しきれませんので、純資産総額の多いものをピックアップしました(表1,2)。


リッパーでは、一つひとつの投信について、過去3年間の実績を「収益一貫性」「経費率」「トータルリターン」「元本保全性」という基準で評価しています。投資対象が同じ投信のグループの中で、最も優れたものが5、劣っているものを1とする、5段階評価のスコアで表されています。
つみたてNISAのように長期投資目的の場合は、「収益一貫性」の評価が重要です。この尺度は、大きなリスクをとって高い値上がりを求めるより、中長期的に安定したリターンの方が高い評価につながります。「経費率」はコストが低ければ高評価、「トータルリターン」は分配金込みの収益を見ます。「元本安全性」は、評価日時点で前月末からの値下がりに注目した判断をしています。
最近は、運用管理費用(信託報酬)が低い投信が続々誕生しています。つみたてNISAの対象もその傾向を加速させており、金融庁の提示したコスト基準を下回る投信が多く集まっています。
【出典】日本証券業協会「NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果について」・NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果(全証券会社)「直近データ(2021年12月末)」