- ホーム
- 知りたい投信 なるほどリッパー
- 2022年1月21日掲載 : 運用成績で振り返る2021年 見劣りする日本は政治が原因?
知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年1月21日
運用成績で振り返る2021年 見劣りする日本は政治が原因?
2021年の投資環境を運用成績で振り返った。主要な海外の株式市場では20年末比で10%から20%上昇したが、日本市場は4.9%の上昇であった。その結果が反映された、投資信託主要分類別の期間別平均騰落率をまとめた。
運用成績で振り返る2021年 見劣りする日本は政治が原因?
2021年の投資環境を振り返ると、「世界の株式市場は好調だった」と端的に言える年でした。多くの国や地域で、財政出動と金融緩和によって市場に潤沢な資金があふれ、コロナ禍からの経済再開にも期待が寄せられました。主要な株式市場は過去最高値を更新。多くの市場では20年末比で10~20%程度の上昇を記録しました。
ところが、日本の株式市場の上昇率はいま一つ。日経平均株価は、21年末の終値がバブル期の1989年以来、32年ぶりの高値になったものの、20年末比で4.9%高。夏以降の不安定な政治を映したのか、海外の株式市場と比べて見劣りしています。
上の表は、投資信託の主要な投資対象分類ごとの運用成績です。残高10億円以上の株式オープン投信をリッパーの投資対象別分類にまとめ、銘柄数で単純平均しました。分類内の対象投信の純資産総額を合計し、規模の大きな分類が「主要」です。「残高10億円以上」に達して集計の対象になる投信が増えれば、分類内の残高が多くなります。逆もしかりで「主要な分類」が入れ替わります。21年は、コロナ禍で業績好調な複数の業種別投信がランク入りしました。
個別の投信は、過去5年間の騰落率で集計しました=下の表。毎回騰落率トップの座を占めていた「DIAM新興市場日本株ファンド」はランク外に転落。この投信が属する日本の中小型株は、残高が低迷して「主要な分類」から外れた上に、分類の平均騰落率も低迷しています。
■投信主要分類別の期間別平均騰落率(2021年12月末時点)
投資対象(リッパーによる分類) 過去1年(%) 過去5年(%)
【株式】
インド 36.36 78.18
グローバル 除く日本 33.59 95.24
米国 32.65 114.57
業種別 一般消費財 24.05 94.43
グローバル 23.06 78.50
業種別 ヘルスケア 18.00 84.69
業種別 IT(情報テクノロジー) 17.49 166.76
業種別 公益 16.80 38.83
業種別 コミュニケーション・サービス 13.58 ―
日本 11.62 54.74
エマージングマーケット グローバル 8.84 44.68
【債券】
米ドル ハイイールド 10.17 14.85
グローバル 日本円 2.02 9.41
豪ドル 1.98 11.12
日本円 -0.22 0.78
【ミックスアセット】
日本円 積極型 17.38 44.25
日本円 バランス型 10.98 29.26
日本円 フレキシブル型 9.86 25.72
日本円 安定型 5.32 16.92
【リート】
米国 49.01 43.96
グローバル 40.96 43.51
日本 19.90 30.72
〈純資産残高が10億円以上の上場投資信託(ETF)、オルタナティブ型を除くオープン投信について集計。騰落率は分配金(税引き前)を再投資したとして計算。業種別コミュニケーション・サービスの5年騰落率は該当銘柄がなく算出できず。ミックスアセットは、株式の割合が65~100%を積極型、35~65%をバランス型、0~35%を安定型としている〉
■運用成績トップ5(2021年12月末までの5年間)
順位 ファンド名 騰落率(%)
1 企業価値成長小型株ファンド(アセットマネジメントOne)=申込受付を停止中 282.75
2 野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資) 280.28
3 グローバルAIファンド(三井住友DS) 252.37
4 野村米国ブランド株投資(アジア通貨コース)年2回決算型 247.10
5 野村米国ブランド株投資(アジア通貨コース)毎月分配型 245.32
〈純資産残高が10億円以上の株式オープン投信で、上場投資信託(ETF)とオルタナティブ型を除く。騰落率は分配金(税引き前)を再投資したとして計算〉
担当=DZHフィナンシャルリサーチ・石原敬子
Refinitiv (リフィニティブ) はロンドン証券取引所グループ (LSEG) 傘下の金融情報提供会社です