知りたい投信 なるほどリッパー : 2021年10月15日

9月までの運用成績 IT株と中小型株の運用が好調 

9月までの運用成績について解説した。IT株と中小型株の運用成績が好調な反面、新興国の株式や債券で運用する投資信託は、騰落率がマイナスであった。

9月までの運用成績 IT株と中小型株の運用が好調 

国内で販売されている株式オープン投信について、2021年9月末時点における運用成績を集計しました。リッパーによる投資対象別では、コロナ禍から回復する経済を反映してか、長期(5年)、短期(6カ月)ともに、主要な分類のほとんどが値上がりしています=グラフ。

ですが、全般的に直近6カ月の運用成績が低下しています。また、グラフにはありませんが、ブラジルやトルコなど新興国の一部の株式や債券で運用する投信は、長期の騰落率もマイナスです。足元の運用状況や今後の運用方針について、保有する投信の月次リポートなどで確認してみると良いでしょう。

個別の投信では、情報テクノロジー(IT)関連株と中小型株で運用する投信の成績が好調でした=表。1位の「企業価値成長小型株ファンド」と5位の「DIAM新興市場日本株ファンド」は中小型株の投信です。どちらも申し込み受付を停止中。「好調なのに、なぜ買えないの?」と思いますよね。

中型や小型とは、株式の規模を指し、発行済み株式数や時価総額が小さめ、という意味です。多額の資金で買いつけると、株価がつり上がってしまいます。それを避けるため、この二つの投信は、運用会社が純資産総額に上限を設けています。現在はその上限に達しているため、新規の購入ができないようになっているのです。

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担当=DZHフィナンシャルリサーチ・石原敬子
Refinitiv(リフィニティブ)はロンドン証券取引所グループ(LSEG)傘下の金融情報提供会社です

■運用成績トップ5(2021年9月末までの5年間)
順位 ファンド名                                   騰落率(%)
1 企業価値成長小型株ファンド(アセットマネジメントOne)=申込受付を停止中   326.78
2 グローバルAIファンド(三井住友DS)                     279.18
3 野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)                 265.74
4 USテクノロジー・イノベーターズ・ファンド(三井住友DS)           262.00
5 DIAM新興市場日本株ファンド(アセットマネジメントOne)=申込受付を停止中 261.93
〈騰落率は分配金(税引き前)を再投資したとして計算。純資産残高が10億円以上のオープン投信で、上場投資信託(ETF)とオルタナティブ型を除く〉

【図】
投信主要分類別の平均騰落率