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知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年7月12日
6月までの投資信託の資金動向
2022年6月の投資信託の資金フローは、1兆581億円の流入超過でした。1~6月の累計は4.99兆円の流入超過となった。内訳を見ると、米国籍ファンドからの資金流出が止まらず、3ヵ月連続の純流出であったが、米国株が投資対象の投資信託には資金が集まり、「株式型 米国」が13カ月連続の純流入額トップであった。
2022年6月における日本国内の株式オープン投資信託市場の資金フローは、1兆581億円の流入超過でした。1~6月の累計は4.99兆円の流入超過です。投信の国籍別では米国籍ファンドからの資金流出が止まらず、3ヵ月連続の純流出。一方、日本国内で販売されている米国株が投資対象の投資信託には資金が集まり、リッパーの投資対象別分類では、「株式型 米国」が13カ月連続の純流入額トップとなっています。
I. 国内公募株式オープン投資信託への資金流入
2022年6月の国内の公募投資信託市場では、リッパーの推計で、上場投資信託(ETF)以外の公募株式オープン投信に9,007億円の純流入。流入超過は19カ月連続です。ETFを含めた集計では1兆581億円の純流入で、30カ月連続の流入超過となりました。純流入額の水準は今年1月以来で、ロシアによるウクライナ侵攻前の高さを回復しています。
グラフ1は、データをさかのぼることができる2003年以降、年ごとに資金動向を比較した1~6月の累計です。傾向は先月までとほぼ同じで、上場投資信託(ETF)への資金流入が減る一方、ETF以外の投信への資金流入が、4番目となる高水準です。

II. 「株式型 テーマ株 代替エネルギー」が4ヵ月連続の流出超過
国内で販売されている投信の資金フローを、リッパーの投資対象別分類別にまとめました。「株式型 米国」は6月まで13カ月連続で純流入額トップです。株式型、債券型を問わず全世界に投資をする分類が純流入額上位を占めています。
一方、流出超過の分類では、「株式型 業種別 IT」が今年1月以来の流出超過。純流出額は50億円でした。また、「株式型 テーマ株 代替エネルギー」は4ヵ月連続の流出超過で、6月の純流出額136億円は分類別で最大となりました。
今年1~6月の累計では、引き続き残高が大きい主要な分類に資金が集まっています。純資産総額上位10分類について、グラフ2に示しました。

III. 資金を集めたファンドはリッパースコアが高め
個別のファンドについて、今年1~6月累計の資金フローを集計しました。純流入額、純流出額のそれぞれ上位5銘柄は、表の通りです。多額の資金が動きがちなラップ専用投信、および確定拠出年金専用投信を除外しています。

『Refinitiv Lipper』投信評価を見ると、純流入上位の銘柄は、総じてスコアが良いようです。アクティブファンドの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」の2つのファンドは経費率のスコアが「2」。分類内で相対的に低い評価になっています。
純流出上位の銘柄は、総合収益性(トータルリターン)のスコアが「1」でした。この尺度は、分配金再投資ベースの基準価額の変化を計算し、同じ分類内でランキングしたものです。分配金込基準価額の総合的な収益率が低めだったことがわかります。
同様に、収益一貫性(コンシスタント・リターン)のスコアも「1」。この尺度はリスク調整後リターンで評価するもので、同一分類内の比較で、値動きのブレが相対的に大きいことを表しています。
IV. 流出額の大きな米国籍ファンドですが……
グラフ3は、ファンドの国籍別の資金動向です。世界の株式市場の時価総額上位10の国・地域における、2022年3月~6月の資金フローです。参考までに、ルクセンブルク籍の資金フローも掲載しました。

6月は、米国籍ファンドの流出超過額が減少しました。ルクセンブルク籍のファンドからの資金流出も目立ちます。
前回までこの集計を行いながら、米国籍ファンドの資金流出が大規模なのは、市場規模が大きい点が影響を及ぼしているのではないか、と懸念していました。残高に応じたフローの多寡を見るために、(グラフ3)上に青い丸でプロットしました。5月末残高に対する6月の資金フローです。
これを見ると、米国籍ファンドの流出規模は、他の国・地域と比べて特筆するものではないことがわかります。むしろ、金額自体は小さいものの、産油国サウジアラビアの資金流出のインパクトが明白になりました。