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知りたい投信 なるほどリッパー : 2020年8月21日

「顧客の利益優先」をめざして (上) : 際立つインデックス投信の優位

「顧客の利益優先」に関する、金融庁の取り組みについて解説。2021年に導入予定の金融商品を比較するための共通フォーマットとはどのような物なのか?内容を詳しく紹介した。

「顧客の利益優先」をめざして(上): 際立つインデックス投信の優位

 投資信託は、投資家の利益を最優先していると言えるでしょうか? 6月に金融庁がまとめた報告書「資産運用業高度化プログレスレポート」では、日本の資産運用業界の現状を、「国際的に厳しい競争にさらされている」とした一方で、「アクティブ投信がコストに見合う運用になっていない」と厳しく指摘しています。

 米国では、手数料の低いインデックス投信(報告書では「パッシブ」と表現)や、上場投資信託(ETF)の残高が急増しています。投信の規模が大きくなれば、その分、運用の効率が良くなり、手数料を低くできます。手数料を下げた投信には、さらに資金が集まります。米国の投信は、このような良い循環が生まれています=左下図。

 日本でも同じように、インデックス投信の残高が増え、公募投信の運用管理費用(信託報酬)は低下しています。ですが、顧客にうれしい低コストは、運用会社には収入減。残高が少なく、採算の合わない投信が繰り上げ償還され、日本では投信の本数が減ってきています。

 投信は、市場の指標に連動する「インデックス投信」と、市場平均を上回る収益が目標の「アクティブ投信」に分かれます。ところが「アクティブ投信なのに市場より運用成績が悪い」「アクティブ投信は手数料が高い」といった声は以前からよく聞かれました。金融庁の報告書でも、それが明らかです。

 報告書では、インデックス投信とアクティブ投信について、投資対象別に過去5年の実績「5年累積リターン平均」を比較=グラフ。奥にいくほど利益率が高いことを示しています。棒の高さはコストの高さです。また、高いリスクを取ったなら、その代償に高いリターンを得たいのは投資家の率直な気持ち。うまく収益を得られるほどグラフの右寄りに位置し、リスクに対して効率的です。

 全体的にインデックス投信はコストが低く、右上に集まっているので、リスクとリターンのバランスが良いと言えます。アクティブ投信は左下で、リスクに見合うリターンを得ていない傾向。報告書では「一部の独立系運用会社には好成績のアクティブ投信がある」とされていますが、低コストでリスク効率が良いインデックス投信の優秀さが際立つ結果となっています。