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知りたい投信 なるほどリッパー : 2020年9月11日

コロナで変わった?① 新興国投信 資金逃避も株式と債券で違いが

コロナ禍が投資信託市場に与える影響を検証。新興国へのリスクの高まりから、分散投資する動き主流となっており、株式型と債券型で違いが出ていると解説しました。​

コロナで変わった?① 新興国投信 資金逃避も株式と債券で違いが

 新型コロナウイルスの感染拡大は投資信託にどのような影響を与えたでしょうか。投信の分類やテーマごとに、シリーズで解説します。まずは、感染の広がりが止まらない上に、多額の債務を抱えるなど、経済状況の厳しさが増す新興国の投信です。

 新興国への投資はリスクが高いため、日本の個人投資家向けには、特定の国に絞らず複数の国に分散投資するのが主流です。単独の国では、株式型はインド、ブラジル、中国の投信の残高が多く、債券型ではブラジル、インドネシア、メキシコなどの通貨建ての投信があります。

 株式型と債券型では、運用の特徴や目標が異なります。新興国の株式投信は、高い経済成長に期待します。一方、債券投信では、リスクが高い分、高金利なので、高い利回りを得たい投資家が購入するのが一般的です。

 左下グラフでは、株式投信と債券投信に分け、過去1年間の資金の出入りを集計しました。総じて、購入より解約が多く、流出超過の傾向でしたが、株式型と債券型ではコロナの前と後で少し違うようです。2019年8月~20年1月は株式型の資金流出が目立ち、20年2月~7月は債券型の資金流出が多くなっています。

 「ブラジルのトランプ」と呼ばれ、過激な発言で知られるボルソナーロ大統領。当初、経済活動を止めない姿勢で大統領自身も感染。経済成長に期待する株式型に資金が集まったのもうなずけます。一方、債券投信は国の財政リスクに敏感で、右上グラフから、資金の流出が読み取れます。

 新興国向けの投資は、高い経済成長や高利回りが魅力ですが、世界的にリスクが高まると、一転して資金が逃げ出すので注意が必要です。