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知りたい投信 なるほどリッパー : 2020年12月4日

投信の税金を正しく知ろう③ 同じ分配金でも課税と非課税が

投信の税金を正しく知ろうシリーズの第3回目。知っているようで知らない「分配金に課税と非課税がある理由」、「特別分配金と普通分配金の違い」について、分かりやすく解説した。

投信の税金を正しく知ろう③ 同じ分配金でも課税と非課税が

 投資信託には、「分配型」と「無分配型」の二つのタイプがあります。分配型は、決算で投信の運用状況を確認し、そのたびに利益の一部を投資家に収益分配金として支払います。無分配型は決算のたびに投資家には分配せず、増えた分は純資産の中に積み上げられます。

 じつは、収益分配金は税金がかかる場合とかからない場合があります。その謎を解くカギは、投資家の買った金額と、分配金の額にあります。簡単に言えば、その投資家にとって分配金が利益ならば課税され、利益でなければ課税されないということです。

 では、毎月分配型の「イシハラ投信」を、モウケ太さんとソン吉さんが買ったと仮定して説明しましょう=図。いつでも買えるオープン型のイシハラ投信は、購入日が違えば、投資家ごとに「個別」の元本も違います。まずは購入時の基準価額が「個別元本」となります。モウケ太さんの個別元本は9,600円で、後から買ったソン吉さんは11,600円とします。

 イシハラ投信が決算をした時点で、10,600円の基準価額から一口あたり600円を分配することになりました。投資元本が高い人も低い人も分配金は同額です。

 ここで図を見て下さい。モウケ太さんが受け取る分配金600円は、個別元本から値上がりした1,000円でまかなえます。この場合は「普通分配金」と呼ばれ、モウケ太さんは利益の一部なので課税されます。ところが一方のソン吉さん。投資元本11,600円より値下がりした状態で分配金を受け取ります。この場合には、分配金は元本の取り崩しとみなされ、税金がかかりません。これを「特別分配金」といいます。

 ここで、元本が払い戻された形のソン吉さんは、個別元本が修正されます。決算前は買った時の“本来の”元本が個別元本でしたが、決算の後は、投資元本11,600円から払い戻された特別分配金600円を引いた11,000円が個別元本になります。

 また、モウケ太さんとソン吉さんのミックス型の人もいます。例えば、個別元本が10,200円の人は、600円の分配金のうち、利益は400円です。普通分配金となる400円分が課税、残る200円の特別分配金は非課税です。この計算は、投資家一人ひとりに対して、分配金を支払うたびに行います。投資家同士の公平性を保ち、損をしている状態での分配金には課税しないようになっているのです。

 なお、他の上場株式などで売却損があった年は、確定申告でその損失と分配金を通算することもできます。