知りたい投信 なるほどリッパー : 2021年1月8日

今度は本物?ESG投資ブーム:上 企業の取り組み姿勢を数値評価 

ESG投資ブームシリーズの㊤。コロナウイウルスの感染拡大の影響により、関心を集めているESG投資について、リフィニティブ・リッパー・ファンドESGスコアを用いて詳しく解説した。

今度は本物?ESG投資ブーム:上 企業の取り組み姿勢を数値評価方式に

 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で、「ESG」への関心が再燃しました。「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字からなるESG。以前は環境への関心が高くエコファンドが中心でしたが、コロナ禍では社会的な課題を投資資金で解決しようという動きです。

 一般的な投資判断では企業の業績や財務情報が重要とされます。持続可能な社会をめざしている最近は、それだけでは不十分と考え、ESGへの取り組みも評価の対象にする傾向。投資信託でも、ESGに積極的な企業の株式や債券に投資する「ESG関連投信」が注目されています。

 ただ、「環境に優しい」「社会貢献」「企業の管理・監督がしっかりしている」などの基準はあいまいです。そこで昨年、金融データ会社のリフィニティブは「リフィニティブ・リッパー・ファンドESGスコア」の情報提供を開始。投信が組み入れている株式や債券の企業情報などからESGを数字で評価しています。ESGに貢献する「ESGスコア」と悪影響の「不祥事スコア」によって「統合スコア」が成り立っています=図。

 国内で販売されている公募株式投信の中で、商品説明に「ESG」が使われている投信は、2020年10月末時点で48銘柄あります。うち、一定の基準を満たし、リフィニティブ・リッパー・ファンドESGスコアで評価されている投信は11銘柄=表。2017年~19年に設定された投信が多いのは、17年に公的年金の積立金がESGの指標に連動する運用を取り入れた影響です。数年ごとにブームの波があるESG投資、今度こそ持続可能な投資テーマとなるでしょうか。