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- 2022年4月26日掲載: リッパー・ファンド・アワード2022ジャパンより ⑤確定拠出部門の受賞ファンド
知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年4月26日
リッパー・ファンド・アワード2022ジャパンより ⑤確定拠出部門の受賞ファンド
本年度の「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2022」の確定拠出年金部門について考察した。また、DC専用ファンドについても詳しく解説した。
リフィニティブ・ジャパンでは、2022年3月24日に「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2022」の受賞ファンドと受賞運用会社を発表しました(掲載はこちら)。
今回は、確定拠出年金(DC)部門で受賞した主なファンドをご紹介します。
I. リッパー・ファンド・アワードとは
「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2022」は、2021年12 月末時点において日本で販売登録され、36 ヵ月以上運用実績のあるファンドが評価対象です。ファンド評価対象の投信を同じ投資対象分類内で比較し、最優秀ファンドを表彰します。
アワードで「優秀」と判断されるのは、 「収益一貫性(コンシスタント・リターン)」のスコアが高いファンドです。リスク調整後リターンが一定期間内に安定継続すれば収益一貫性が高くなります。アワードでの評価対象期間は、3年、5年、10年です。
前回までに、債券型と株式型の受賞ファンドについてお伝えしてきました。今回は、ミックスアセットに分類されるファンドを紹介します。
II. DC専用ファンドについて
「老後資金2,000万円問題」が話題に上ったのは2019年のこと。金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書に「平均値やモデルケースから算出すると、老後の生活には約2,000 万円不足する」という試算が公表され、にわかに老後の生活資金準備に関心が寄せられました。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入対象者も徐々に拡大されるなど、老後資金準備を後押しするムードも高まっています。
確定拠出年金制度の中の運用メニューは、預金や元本確保型の保険のほか、金融機関の証券口座などで販売されている公募投信も可能ですが、多くはDC専用ファンドが採用されています。DC専用とはいえ、既存のファンドをベースにしたファミリーファンド方式が少なくありません。
また、DC専用ファンドの中には「ライフサイクルファンド」「ターゲットイヤーファンド」もあります。これらは、「年齢を重ねるにつれ、積極的なポートフォリオから安定的に切り替わっていくのが一般的」という考えに基づいて設計されたファンドです。投資家は、1本のファンドを保有したまま、徐々にリスクが逓減する運用になっています。
DC専用ファンドは、金融機関の証券口座などで販売される一般の公募投信より低コストです。販売手数料が無料で、運用管理費用(信託報酬)は、公募投信が1%程度~3%程度なのに対しDC専用ファンドは低めです。
III. 「値動きが安定」かつ「高いリターン」が高評価
「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード」で評価基準とする、「収益一貫性(コンシスタント・リターン)」は、「Lipper Leader Rating (リッパー・リーダー・レーティング)システム」の4つの評価尺度のうちの1つです。収益のブレが小さく、安定している投資信託が優れていると判断します。
収益のブレを判断する指標として、よく用いられる指標に「標準偏差」があります。これはデータの散らばり具合を見る指標で、ファンドの価格変動リスクを測定できます。ファンドの基準価額がどの程度の幅で上下するかを数値で示し、値が大きければ「リスクが高い」とし、小さければ「リスクが低い」とみなします。
収益一貫性の算出方法とは異なりますが、ファンドの保有者である個人投資家の方々が得られる情報としてなじみのある、「騰落率」と「標準偏差」を使って受賞ファンドを見てみましょう。
III. DC部門でも健闘したアクティブ・ファンド
老後の生活資金づくりに関心が向くにつれ、「長期運用は、パッシブ運用が適している」というムードが高まっています。主な理由は、市場全体に投資をするとリスク分散になることや、運用コストが低いことが挙げられます。
しかし、今年のアワードでは、多くのアクティブ・ファンドが受賞ファンドに選ばれました。
繰り返しますが、アワードで採用する尺度は、「収益一貫性」です。リスク調整後リターンが、3年、5年、10年という期間内に安定的に継続して高いパフォーマンスを出したファンドが、各期間の受賞ファンドに選ばれます。
その基準で選出されたDC部門の25本のファンドのうち、アクティブ・ファンドは18本ありました。複数年の部門で重複して受賞したファンドを1本とすると、受賞ファンドは18本で、そのうちアクティブ・ファンドは13本。安定したパフォーマンスを得るために、銘柄選別やリスクマネジメントを行ない、インデックス・ファンドに比べて基準価額の下落率を低く抑えた可能性が高いと考えられます。
IV. アワードをファンド選びの参考に
DCの加入者から、「運用メニューの中で何を選んだら良いか分からない」という声を聞きます。アワードの評価は、あくまでも過去の結果に基づいており、今後の運用を保証するものではありませんが、「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2022」が、みなさまの老後の生活資金づくりの参考になれば幸いです。
最後に、DC部門の最優秀ファンドをご紹介しておきましょう。