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知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年4月12日

リッパー・ファンド・アワード2022ジャパンより ③投信部門の株式型受賞ファンド

本年度の「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2022」の株式型部門について、評価対象ファンドの本数が多い分類を用いて考察した。また、受賞ファンドが高い収益率をコンスタントに維持できているかどうかについても検証を行った。

リフィニティブ・ジャパンでは、2022年3月24日に「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2022」の受賞ファンドと受賞運用会社を発表しました(掲載はこちら)。

今回は、投信のミックスアセット部門で受賞した、主なファンドをご紹介します。

I. リッパー・ファンド・アワードとは

 「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2022」は、2021年12 月末時点において日本で販売登録され、36 ヵ月以上運用実績のあるファンドが評価対象です。ファンド評価対象の投信を同じ投資対象分類内で比較し、最優秀ファンドを表彰します。

アワードで「優秀」と判断されるのは、 「収益一貫性(コンシスタント・リターン)」のスコアが高いファンドです。リスク調整後リターンが一定期間内に安定継続すれば収益一貫性が高くなります。アワードでの評価対象期間は、3年、5年、10年です。

前回までに、債券型と株式型の受賞ファンドについてお伝えしてきました。今回は、ミックスアセットに分類されるファンドを紹介します。
 

II. 主な分類別受賞ファンドの紹介

株式型の中で、評価対象ファンドの本数が多い分類について、最優秀ファンドをご紹介しましょう。

<株式型 日本>
【 3年】情報エレクトロニクスファンド(野村アセットマネジメント株式会社)
【 5年】情報エレクトロニクスファンド(野村アセットマネジメント株式会社)
【10年】情報エレクトロニクスファンド(野村アセットマネジメント株式会社)

<株式型 グローバル>
【 3年】UBS次世代テクノロジー・ファンド(UBSアセット・マネジメント株式会社)
【 5年】UBS次世代テクノロジー・ファンド(UBSアセット・マネジメント株式会社)
【10年】UBS次世代テクノロジー・ファンド(UBSアセット・マネジメント株式会社)

<株式型 日本><株式型 グローバル>ともに、1つのファンドが全ての期間において最優秀ファンドとなっています。

<株式型 米国>
【 3年】iFreeNEXT NASDAQ100インデックス(大和アセットマネジメント株式会社)
【 5年】三菱UFJ NASDAQオープン Bコース(三菱UFJ国際投信株式会社)
【10年】アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)(アライアンス・バーンスタイン株式会社)

<株式型 業種別 不動産業 日本>
【 3年】フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド(フィデリティ投信株式会社)
【 5年】フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド(資産成長型)(フィデリティ投信株式会社)
【10年】J-REITオープン(年4回決算型)(野村アセットマネジメント株式会社)
 

III. 「値動きが安定」かつ「高いリターン」が高評価

「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード」で評価基準とする、「収益一貫性(コンシスタント・リターン)」は、「Lipper Leader Rating (リッパー・リーダー・レーティング)システム」の4つの評価尺度のうちの1つです。収益のブレが小さく、安定している投資信託が優れていると判断します。

収益のブレを判断する指標として、よく用いられる指標に「標準偏差」があります。これはデータの散らばり具合を見る指標で、ファンドの価格変動リスクを測定できます。ファンドの基準価額がどの程度の幅で上下するかを数値で示し、値が大きければ「リスクが高い」とし、小さければ「リスクが低い」とみなします。

収益一貫性の算出方法とは異なりますが、ファンドの保有者である個人投資家の方々が得られる情報としてなじみのある、「騰落率」と「標準偏差」を使って受賞ファンドを見てみましょう。
 

IV. 最優秀ファンドのリスクとリターン

3年の期間で受賞したファンドについて、分類内のファンドと騰落率および標準偏差を比べてみました。比較対象にしたファンドは、受賞ファンドの属する分類で純資産残高が100億円以上であり、ETF(上場投資信託)や確定拠出年金専用・ラップ専用投信などを除外しました。参照期間は、アワードの評価期間である2021年12月末までの3年間です。標準偏差は、月間の価格変動から3年間算出しています。

<グラフ1:株式型 日本【3年】>
最優秀ファンド=赤丸 情報エレクトロニクスファンド(野村アセットマネジメント株式会社)

リスクは分類内で中位程度、リターンは突出しています。

<グラフ2:株式型 グローバル【3年】>
最優秀ファンド=赤丸 UBS次世代テクノロジー・ファンド(UBSアセット・マネジメント株式会社)

リスクは分類内ではかなり高い方ですが、最も高いリターンを得ています。

<グラフ3:株式型 米国【3年】>
最優秀ファンド=赤丸 iFreeNEXT NASDAQ100インデックス(大和アセットマネジメント株式会社)

分類内ではリスクは中位程度、高いリターンを得ています。

<グラフ4:業種別 不動産業 日本【3年】>
最優秀ファンド=赤丸 フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド(フィデリティ投信株式会社)

リートファンドは、例外はあるものの、銘柄間でリスクの差が小さいようです。

収益一貫性の評価は、「持っている間のドキドキ感が少なく、高いリターンが得られた」というファンドが分かります。ただし、これらはあくまでも過去の結果であり、今後も同じ運用成績が残せるとは限らない点には注意が必要です。