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- 2022年2月18日掲載 : 厳しい幕開けの1月の運用成績 長期投資は資産下落も学びの好機
知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年2月18日
厳しい幕開けの1月の運用成績 長期投資は資産下落も学びの好機
1月の投資信託の運用成績を振り返った。多くの投資対象で値下がりしたが、特にIT関連の下げが目立つ一方、グローバル株式やミックスアセットなどの分散投資を行っている投信は下落率が低めであった。筆者は、投信の運用は、相場に一喜一憂せずに、長期保有を前提に資産形成を推奨している。
厳しい幕開けの1月の運用成績 長期投資は資産下落も学びの好機
2022年の投資信託市場は厳しい幕開けとなりました。1月の投資環境は、米国の金融政策の行方に翻弄(ほんろう)される形でした。今年は米国で複数回の利上げが予想されるものの、「具体的なことがハッキリわからない」という不透明感が、リスク資産が売られる理由になっていると思います。
このような状況で、投信も年明けから幅広い投資対象で値下がりしました。投信の運用は相場に一喜一憂せず、長くゆったり資産形成をしていただきたいので、いつもは過去6カ月と過去5年間の運用成績を紹介していますが、今回は相場が急展開したため、1月の月間騰落率にも着目しました=表。
1カ月の下落率が大きい順に並べたところ、特定の業種に集中して投資する業種別ファンドが上位。特に、「コミュニケーション・サービス」や「IT(情報テクノロジー)」といった成長分野の下げが目立ちます。
一方で、グローバル株式やミックスアセットなど、分散投資の効果が高い投信では下落率が低めでした。また、昨年の上昇率がほかより見劣りしていた日本株や新興国株の投信も、1月は「傷口」が小さく済んだようです。
先月は久しぶりの大きな下げ相場でした。投資歴の浅い人にとっては、経験したことのない心理的にきつい場面だったのではないでしょうか。
過去を振り返れば、09年のギリシャ危機、08年のリーマン・ショック、01年のITバブルの崩壊、97年のアジア通貨危機、30年前の日本のバブル崩壊と、これまでも株価の急落局面は繰り返し起こっています。今回の経験は、これからも長く資産形成をするうえでは、大切な学びを得ていると考えてはいかがでしょう。
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担当=DZHフィナンシャルリサーチ・石原敬子
Refinitiv(リフィニティブ)はロンドン証券取引所グループ(LSEG)傘下の金融情報提供会社です
■投信主要分類別の期間別平均騰落率(%)
投資対象(リッパーによる分類) 22年1月(月間) 21年(年間) 22年1月まで(5年間)
【株式】
業種別 コミュニケーション・サービス -17.04 13.58 ―
業種別 IT(情報テクノロジー) -16.92 17.49 112.87
業種別 ヘルスケア -12.52 18.00 63.02
業種別 一般消費財 -11.91 24.05 72.87
グローバル -9.53 23.06 62.76
米国 -9.18 32.65 93.99
グローバル 除く日本 -7.05 33.59 81.23
日本 -6.67 11.62 43.17
業種別 公益 -4.11 16.80 34.67
エマージングマーケット グローバル -1.88 8.84 37.11
インド -1.39 36.36 67.13
【債券】
豪ドル -4.69 1.98 3.22
米ドル ハイイールド -2.19 10.17 11.59
グローバル 社債 日本円 -2.00 1.51 9.60
グローバル 日本円 -1.58 2.02 8.91
その他債券 -1.43 3.33 14.37
日本円 -0.70 -0.22 0.63
【ミックスアセット】
日本円 積極型 -4.38 17.38 37.89
日本円 フレキシブル型 -3.66 9.86 20.94
日本円 バランス型 -3.56 10.98 25.09
日本円 安定型 -2.36 5.32 14.60
【リート】
グローバル -6.76 40.96 36.61
米国 -5.97 49.01 36.24
日本 -5.24 19.90 24.49
〈純資産残高が10億円以上の上場投資信託(ETF)とオルタナティブ型を除くオープン投信について集計。騰落率は分配金(税引き前)を再投資したとして計算。業種別コミュニケーション・サービスの5年騰落率は、該当銘柄がなく算出できず。ミックスアセットは、株式の割合が65~100%を積極型、35~65%をバランス型、0~35%を安定型としている〉