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知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年6月7日

5月までの投資信託の資金動向

5月の投資信託の資金動向を振り返った。国内籍のファンドは流入超過で、国内株式、米国株やグローバル株投信に資金が流入した。その一方で、米国籍ファンドは流出超過であった。

また、純流入額、純流出額のそれぞれ上位5銘柄のリッパー・スコアとの相関性を見てみると、総合収益性(トータルリターン)のスコアが高いファンドに資金が流入し、スコアが低いファンドから資金が流出していた。

2022年5月、日本国内の株式オープン投資信託市場は、9,078億円の流入超過となりました。1~5月の累計でも3.93兆円の流入超過です。投信の国籍別では米国籍ファンドが2ヵ月連続の流出超過でしたが、国内で販売されている、米国株を投資対象とした投資信託には資金が集まっています。

I. 国内公募株式オープン投資信託への資金流入
2022年5月の国内の公募投資信託市場における資金フローは、リッパーの推計で、上場投資信託(ETF)以外の公募株式オープン投信に7,861億円の純流入。流入超過は18カ月連続です。ETFを含めた集計では9,061億円の純流入で、29カ月連続の流入超過となりました。

グラフ1は、データをさかのぼることができる2003年以降、年ごとに資金動向を比較した1~5月の累計です。日本銀行の金融政策変更の影響で上場投資信託(ETF)への資金流入が減る一方、ETF以外の投信への資金流入は、過去4番目の水準となっています。

知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年6月7日: 5月までの投資信託の資金動向

II. 米国株投信やグローバル株投信に資金が集まる
次は、リッパーの投資対象別分類ごとの資金フローです。今年1~5月の累計は、引き続き残高が大きい主要な分類に資金が集まっています。純資産総額上位10分類について、グラフ2に示しました。

知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年6月7日: 5月までの投資信託の資金動向

米国やグローバルの株式投信には引き続き多額が集まっていますが、「債券型 日本円」からの資金流出が止まりません。同分類は1月と2月で累計685億円の純流出となった後、3月と4月には流入超過となったものの、5月には再び流出超過に。5月までの純流出額累計は287億円となりました。

残高上位10分類には入っていませんが、5月に純流出額が大きかった分類は、「株式型 業種別 コミュニケーション・サービス」。5月単月で70億円、1~5月累計では444億円の流出超過でした。

また、同様に主要分類に入らない分類では、5月までの累計で、オーストラリアを対象としたファンドからも資金流出が目立っています。「債券型 豪ドル」に分類される投信は455億円の流出超過で5ヵ月間の純流出額トップ、「株式型 オーストラリア」からは371億円が流出超過となっています。
 

III. 個別銘柄の資金フローとリッパースコア
個別のファンドについて、今年1~5月累計の資金フローを集計しました。純流入額、純流出額のそれぞれ上位5銘柄は、表1の通りです。多額の資金が動きがちなラップ専用投信、および確定拠出年金専用投信を除外しています。

純流出入額上位の投信には、それぞれ何か理由があるのではないかと考え、『Refinitiv Lipper』投信評価を付記してみました。

知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年6月7日: 5月までの投資信託の資金動向

純流出上位の銘柄は、総合収益性(トータルリターン)のスコアが「1」でした。この尺度は、分配金再投資ベースの基準価額の変化を計算し、同じ分類内でランキングしたものです。分配金込基準価額の総合的な収益率が低めだったことがわかります。

ただし、収益一貫性(コンシスタント・リターン)はそれほど悪くありません。この尺度はリスク調整後リターンで評価するもので、同一分類内での比較では、値動きのブレは相対的に大きくはないとみることができます。
 

IV. 国籍別では引き続き米国籍ファンドが流出超過
グラフ3は、ファンドの国籍別の資金動向です。世界の株式市場の時価総額上位10の国・地域における、2022年3月・4月・5月の資金フローです。参考までに、ルクセンブルク籍の資金フローも掲載しました。

知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年6月7日: 5月までの投資信託の資金動向

4月に純流出に転じた米国籍ファンドが、5月も流出超過でした。純資産の規模が大きいために資産の動きも目立ちます。

日本国内で販売されているファンドでは、米国株を投資対象とするファンドには資金が入っています。一方で、国籍別に見ると、米国籍のファンドは多額の流出超過である点が興味深いところです。

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