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- 2022年12月7日掲載 : 11月までの投資信託の資金動向
知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年12月7日
11月までの投資信託の資金動向
11月の投資信託の資金動向は、国内市場全体では引き続き資金を集めたが、ETFからは多額の資金が流出した。
また、分類別では日本株投信からの純流出が目立ち、個別の投信ではインデックスファンドへの資金流入が目立った。
11月の投資信託の資金動向は、国内市場全体では引き続き資金を集めました。しかしETF(上場投資信託)からは多額の資金が流出しています。分類別では日本株投信の純流出が目立ち、個別の投信では引き続きインデックスファンドへの資金流入が際立っています。外国籍のファンドについては、英国籍ファンドに巨額の資金が戻ってきました。
I. 国内投信市場ではETFが多額の純流出
リッパーの推計によると、2022年11月における日本国内で販売されている公募株式オープン投資信託市場の資金動向は、ETF (上場投資信託) を除くベースで24カ月連続の流入超過となりました。2022年11月単月では、ETFを除く公募株式オープン投信は5,558 億円の純流入です。しかし、ETF (上場投資信託) からは多額の資金が流出。ETFを含めると1,909 億円の純流入にとどまり、公募株式オープン投信全体の純流入額を縮小させました。とはいうものの、純流入は35カ月連続です。
1~11月を累計すると、ETFを除くベースでは7.3兆円の純流入額に上る一方で、ETFを含めた株式オープン全体は、1月からの累計でも3,000 億円の純流入です。【グラフ1】は、データをさかのぼることができる2003年以降、各年11月までの累計を年ごとに比較したものです。金融政策で日本銀行がETFを購入していた時期と比べると、すっかり影が薄くなりました。

II. 資金流出が目立つ日本株投信とIT株投信
11月単月では、「株式型 日本」は純流出額が推計423億円で、分類別のワースト1位となりました。ワースト2位は「株式 業種別 IT」の252 億円です。2022年は、この2つの分類からの資金流出が目立ちます。一方、「株式型 米国」は2019年5月から2022年11月まで、43ヵ月間の連続純流入です。1~11月の累計は、推計2 兆3,566 億円の純流入となっています【グラフ2】。

III. 個別の投信は、インデックスファンド人気が続く
個別のファンドについても、1~11月の資金フローを累計しました。純流入額、純流出額のそれぞれ上位5銘柄は、【表】の通りです。

いずれも顔ぶれは先月までと同じで、引き続き、インデックスファンドに資金が集まっています。純流入額上位5銘柄のうち、4銘柄がインデックスファンドです。『Refinitiv Lipper』投信評価で高い評価を得ている投信が、純流入額上位に名を連ねています。
先月までと流れは変わらず、米国株とグローバル株のファンドが資金を集め、テーマ株ファンドが流出超過です。『Refinitiv Lipper』投信評価の低い銘柄が、多額の純流出となっています。個々に見ると、いずれのテーマも長期投資を念頭においた運用と考えられますが、短期的な視野で解約が出ているとしたら、とても残念です。
IV. 英国籍ファンドに資金が戻る
外国籍ファンドの資金動向を集計したところ、11月は英国籍ファンドに巨額の資金が入りました。英イングランド銀行は、以前から「10月14日に緊急国際買い入れプログラムを終了させる」としていました。これを控えていた英国では、年金基金のLDI (Liability Driven Investment) という運用戦略が評価損を膨らませていたことが懸念されるなど、10月までの英国市場は混乱していました。市場の落ち着きを受けて、11月は英国籍ファンドに巨額の資金が戻ってきたようです【グラフ3】。

同じグラフでは他の国の動向が読み取りにくいため、英国籍ファンドを除く主要国のファンドについて、データを取ることができる2022年3月から11月までの累計を【グラフ4】に示してみました。

日本国内では米国株を投資対象にしたファンドが大人気ですが、米国籍のファンドは、3月~11月の累計では流出額が大きくなっています。2022年前半の資金流出規模が大きかったためです。
11月までの流れを見ると、日本の投資家は投信への買い意欲は高いものの、日本株に投資をするファンドに対してはあまり積極的ではなく、米国株ファンドやグローバル株ファンドを好んで購入している様子が伺えます。