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知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年11月8日

10月までの投資信託の資金動向

2022年10月の日本の投資信託市場の資金動向は、ETF(上場投資信託)を除くベースで 23 カ月連続の流入超過となり、ETF(を含めた公募株式オープン投信では、34 カ月連続の流入超過であった。 また、投資対象分類別では「株式型 米国」が累計 2 兆円と突破した。

リッパーの推計によると、2022年10月の日本国内公募株式オープン投資信託市場の資金動向は、ETF(上場投資信託)を除くベースで 23 カ月連続の流入超過となりました。ETF(上場投資信託)を含めた公募株式オープン投信では、34 カ月連続の流入超過です。

I. 国内投信市場は高水準の流入超過が続く

リッパーの推計では、2022年10月も国内の公募投資信託市場は流入超過が続きました。ETF を除く公募株式オープン投信は 6,040 億円の純流入、ETF を含めた集計では 7,353 億円の純流入でした。ETF 以外の一般のファンドが引き続き資金を集めています。

1~10 月の累計でも、ETF を除くベースでも 6.8 兆円と純流入額を伸ばしました。ETF を含めると 7.4 兆円の純流入です。データをさかのぼることができる 2003 年以降、各年の 10 月までの累計を【グラフ1】に示しました。

10月までの投資信託の資金動向: 各年1~10月の公募株式オープン投信への資金純流出入額

青い棒グラフが ETF を除く公募株式オープンの純流入額累計です。純流入額が突出している2006年、2007年は、毎月分配型投信がブームだった頃です。その後の毎月分配型投信の低迷やリーマン・ショックを経て、アベノミクス政策になると、ETF の設定に助けられ、投信の資金流入規模が大きくなりました。2021年3月以降は日銀による ETF 購入が事実上終了しているものの、一般の投信への資金流入規模は高水準です。

II. 投資対象分類別では「株式型 米国」が累計 2 兆円を突破

国内で販売されている投信をリッパーの投資対象ごとに分類し、資金フローを集計しました。

9月は大型の資金設定投信があったことから「株式型 日本」の分類で多額の資金流入となりましたが、続きませんでした。10月の推計では、8 月まで 15 ヵ月間分類別トップを維持していた「株式型 米国」が再び首位に。しかも10月だけで推計 2,085 億円を集めるほどの高水準の資金流入で、1~10月の累計純流入額は推計で 2 兆円を突破しています【グラフ2】。米国株投信は 2019 年 5 月から 2022年10月までの 42 ヵ月連続で純流入を続けています。

また、「債券型 日本円」に分類される投信が、10月までの累計で純流入に転じました。1月に 636 億円の流出超過となり、今年の累計は9月まで流出超過でした。10 月にようやく埋め合わせができ、グラフに示した主要分類のすべてで累計が純流入となりました。

10月までの投資信託の資金動向: 主要な投資対象分類別の資金純流出入額(2022年1~10月)

III. 個別の投信は、引き続き同じ傾向

個別のファンドでも、1~10月の資金フローを累計しました。純流入額、純流出額のそれぞれ上位 5 銘柄は、【表】の通りです。引き続き、インデックスファンドが元気いっぱいです。純流入額上位 5 銘柄のうち、4 銘柄がインデックスファンド。『Refinitiv Lipper』投信評価で高い評価を得ている投信が、純流入額上位に名を連ねています。

10月までの投資信託の資金動向: 資金純流出入額ランキング(2022年1~10 月)

米国株とグローバル株のファンドが資金を集め、テーマ株ファンドが純流出超過となっている構図は変わりません。『Refinitiv Lipper』投信評価の低い銘柄が、多額の純流出となっています。トータルリターン、収益一貫性など、パフォーマンスの低さが資金流出につながっていると思われます。

IV. 国籍別では月によりまちまち

ファンドの国籍別の資金動向については、9 月までは累計を示していましたが、ここ数ヵ月は月によって変動が大きい傾向のため、月ごとの推移をご紹介します。ファンドの時価総額が大きい上位 5 つの国・地域について掲載しました。

日本国内のファンドは、冒頭にご紹介した通りで、地味ですが純流入を続けています。純資産総額が小さい国・地域については、グラフには掲載していませんが、中国やインドなどの新興国から資金が流出しています。

10月までの投資信託の資金動向: ファンド残高上位国における国籍別純流出入額

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