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- 2023 年 3 月 28 日掲載 : リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード 2023 ジャパン
知りたい投信 なるほどリッパー : 2023 年 3 月 28 日
リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード 2023 ジャパン
リフィニティブは、日本では 22 回目の開催となる「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023」の受賞ファンドと受賞運用会社を発表した。その結果について、詳細に解説した。
LSEG (ロンドン証券取引所グループ) 傘下の Refinitiv (リフィニティブ) は、「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023」の受賞ファンドと受賞運用会社を発表しました。リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワードは、世界の 20 カ国以上で 30 年以上にわたって表彰を行なっており、日本では今年が 22 回目です。
I. リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023
リフィニティブには、世界の投信を同じ基準で評価する「Lipper Leader Rating (リッパー・リーダー・レーティング) システム」という独自のシステムがあります。このシステムは、4 つの評価尺度から成り立っています。「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023」では、そのうちの「コンシスタント・リターン (収益一貫性) 」を使い、3 年、5 年、10 年の期間別に最優秀ファンドを選定し、表彰します。評価対象は、2022 年 12 月末時点において日本国内で販売されている、運用実績が 36 カ月以上のファンドです。
2023 年は、投資信託部門 126 本、確定拠出年金 (DC) 部門27本の合計153本が最優秀ファンド賞を受賞しました。運用会社の最優秀会社賞は、投信部門と DC 部門について、それぞれ総合部門、株式部門、債券部門、ミックスアセット部門で選ばれた合計 8 社が受賞しました。
リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023 の詳細はこちらをご覧ください。
II. 安定して収益を上げたファンドほど高い評価
ファンドの評価方法は、評価機関によって基準や方法が異なります。リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワードが用いる「コンシスタント・リターン (収益一貫性) 」は、リスクを調整した後のリターンです。対象とする期間において、安定して収益を上げたファンドほど高い評価になる基準です。
仮に、2 つのファンドを比較し、3 年後に同じ利益率だったとします。これらを保有する投資家として、3 年後に同じ利益を出したのであれば、2 つのファンドは同じ評価と言えるでしょうか。必ずしもそうではありません。
保有期間中に、2 つのファンドの値動きが異なっていたら、安心感も異なることでしょう。3 年後に同じ利益率だったとしても、途中の値動きが激しいファンドと安定していたファンドでは、「安定して利益を上げた」という基準で考えると、後者に軍配が上がります。
III. 投資信託部門の主な受賞ファンド
ではここからは、主な受賞ファンドをご紹介していきましょう。153 本の受賞ファンドのうち、3 年、5 年、10 年の評価期間別に、選定ファンド数の多い投資対象分類から選ばれた最優秀ファンドをご紹介します。
まずは、投資信託部門の株式型です【表1】。投資対象分類内で、評価基準を満たしたファンドの数の上位3分類における受賞ファンドを掲載しました。

昨年は、「株式型 日本」「株式型 グローバル」の両部門で、3 年・5 年・10 年の全ての期間で同じファンドが受賞していました。今年は、「株式型 米国」に属する「米国製造業株式ファンド」が複数の期間で受賞しています。同ファンドは「US ルネサンス」という愛称で販売されています。
次は、投資信託部門の債券型です【表2】。

「債券型 米ドル ハイイールド」の分類では、3 年と 5 年で「フィデリティ・US ハイ・イールド・ファンド (資産成長型) 」が受賞、10 年は「フィデリティ・US ハイ・イールド・ファンド」が受賞しました。これらは、同じマザーファンドのファミリーファンド方式で運用されています。つまり、投資対象のポートフォリオが同じです。ファンドの銘柄名に (資産成長型) と付記されているのは年 1 回決算型で、ないものは毎月分配型という違いです。
続いて、投資信託部門のリート型です【表3】。

「フィデリティ・J リート・アクティブ・ファンド」が 3 つの期間で受賞しました。同ファンドは、昨年のアワードでも3年の部門で受賞、5 年では年 1 回決算の「資産成長型」が受賞していました。米国リート投信は、「ダイワ米国リート・ファンド」シリーズが 3 つの期間で受賞しています。
投資信託部門の最後は、ミックスアセット型です【表4】。

ミックスアセットタイプの受賞ファンドは、判定期間によって顔ぶれがバラエティに富んでいます。とはいえ、バランス型の「ベトナム・ASEAN・バランスファンド」 (3 年) 、「ドイチェ・ETF バランス・ファンド (5 年) 、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド (10 年) 」は、判定期間は異なるものの、いずれも前年のアワード受賞ファンド。安定感があるという印象です。
IV. 確定拠出年金部門の主な受賞ファンド
確定拠出年金制度の中の運用メニューは、預金や元本確保型の保険が数本と、多くの公募投信で構成されています。公募投信については、金融機関の証券口座などで販売されている公募投信も採用されていますが、多くは一般の公募投信より低コストの DC 専用ファンドがラインナップされています。
DC 専用ファンドの主な受賞ファンドは【表5】の通りです。

DC の加入者から、「運用メニューの中で何を選んだら良いか分からない」という声を聞くことがあります。アワードの評価は、あくまでも過去の結果に基づいており、今後の運用を保証するものではありませんが、「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023」が参考になれば幸いです。
V. 最優秀会社賞の8社
「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023」において、最優秀会社賞に輝いた8社は、【表6】の通りです。

最優秀会社賞の評価期間は 3 年間です。2020 年 ~ 2022 年の 3 年間について、該当するファンド全ての「コンシスタント・リターン (収益一貫性) 」の平均値をランキングし、最優秀会社を選定しています。総合部門最優秀会社は、債券、株式、ミックスアセットの 3 部門全てにおいて、相対的に高いパフォーマンスを維持したことが受賞要件となっています。
表彰されたファンドや運用会社は、例年、顧客向けの説明資料となるパンフレットや、ホームページなどに「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2023 受賞ファンド」などと記載しています。「アワード受賞ファンド」という勲章は、評価機関のいわば「お墨付き」とも言え、個人投資家のみなさんにとって、投資判断の一助になると思います。また、すでに保有している投信の運用状況を確認する方法としても役立つことでしょう。