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知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年10月7日
9月までの投資信託の資金動向
2022年9月の日本国内投資信託市場には、引き続き資金が集まり、流入超過は 22 カ月連続となった。ETFを除く株式オープン投信は 33 カ月連続の流入超過であった。国籍別では、米国ファンドが 656 億ドルの純流出となった一方で、英国ファンドには 1,280 億ドルが純流入。また、新興国のファンドは、引き続き、資金流出となった。
リッパーの推計によると、2022年9月の日本国内公募株式オープン投資信託市場には、引き続き資金が集まりました。流入超過は22カ月連続。ETF(上場投資信託)を除く公募株式オープン投信は33カ月連続の流入超過です。国籍別では、7月、8月と連続流入超過だった米国ファンドが、656 億ドルという規模の純流出となりました。一方、英国ファンドには 1,280 億ドルが純流入。新興国のファンドは資金流出が止まりません。
I. 9月も引き続き資金を集め、純流入が連続33か月に
リッパーの推計によると、2022年9月の国内の公募投資信託市場は、引き続き流入超過でした。ETF を除く公募株式オープン投信は 8,967 億円の純流入、ETF を含めた集計では 1 兆 1,932 億円の純流入と、高水準でした。ETF 以外の一般のファンドが資金を集めている傾向が強まりました。
1~9月までの累計でも、ETF を除くベースでも 6.2 兆円と純流入額を伸ばしました。ETF を含めると 6.7 兆円の純流入です。
データをさかのぼることができる2003年以降の資金動向について、1~9月の累計を年ごとに比較しました(グラフ1)。茶色い棒グラフが ETF 以外の一般のファンドへの資金流入です。今年の累計は高水準で、リーマン・ショック後は2015年、2021年に次ぐ3番目です。

II. 投資対象分類別では「株式型 日本」が純流入額トップに
国内で販売されている投信の資金フローについて、リッパーの投資対象別分類で集計すると、9月の推計では、8月に純流入額2位の分類だった「債券型 転換社債 グローバル」が上位10分類から姿を消しました。一方、「株式型 日本」は9月単月で推計 2,188 億円という多額の資金が入り、純流入額が分類トップになりました。
これにより、純流入額 1 位の座を譲ったのは「株式型 米国」です。8月まで 15 カ月にわたって分類別トップでしたが、9月の純流入額は推計 1,903 億円で、日本株投信には及びませんでした。ただ、米国株投信の資金超過額は高水準が続いています。しかも期間も長く、2019年5月から2022年9月まで、41 カ月連続の流入超過。記録を伸ばし続けています。
主要な投資対象分類の 1~8 月の資金フロー累計は、(グラフ2)の通りです。

III. 個別の投信は、同じ傾向が続いている
個別のファンドでも、1~9月の資金フローを累計しました。純流入額、純流出額のそれぞれ上位 5 銘柄は、表の通りです。8月までの銘柄、順位が純流入・純流出ともに同じでした。純流入額上位 5 銘柄のうち、インデックスファンドが 4 銘柄入っています。唯一のアクティブファンドは、8月に比べて『Refinitiv Lipper』投信評価を落としました。
今回から、各ファンドが属する投資対象分類を記載してみました。資金を集めているのは米国株とグローバル株のファンドです。純流出額が多いのはテーマ株ファンド。この顔触れは年初から変わっていません。

IV. 米国籍ファンドは一転して資金流出、英国籍ファンドが多額を集める
グラフ 3 は、2022年9月までの 3 ヵ月間における、ファンドの国籍別の資金動向です。ファンドの時価総額が大きい国籍について、上位 10 の国・地域を掲載しました。国や地域により市場規模に大きな差があるため、純資産に対する資金フローの割合を、グラフ中では黄色のひし形で示しています。
米国籍ファンドの資金動向から目が離せません。今年4月から6月までは流出超過、その後7月・8月は資金を集めたものの、9月にはまた多額の流出超過となりました。リッパーの推計で、656 億ドルの純流出です。ただし、米国籍ファンドは純資産総額が大きいため、資金フローも規模が大きくなります。純流出額が推計 251 憶ドルのフランスの流出超過の方がインパクトは大きく、8月末の純資産総額に対して 2.15%が純流出となりました。新興国のファンドは純資産が大きくないため、グラフに載せていませんが、流出超過が続いています。
一方、資金を集めた国で目立ったのが英国です。9月は英国籍ファンドが推計 1,280 億ドルの資金を集めました。また、7月・8月と純流入額が徐々に減少していた日本国内のファンドは、9月はやや挽回した形となっています。
