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知りたい投信 なるほどリッパー : 2021年11月12日

10月末の純資産総額 好調の米国株が資産増加リード 

最高額を更新した10月末の純資産総額について解説した。内訳を見ると米国株に投資する投信の残高増加が際立っており、資金流入と値上がりの両面から純資産を増やしている。今後、米国の金融政策で状況が変わる可能性があるため、連邦政府の債務問題を注視する必要がある。

10月末の純資産総額 好調の米国株が資産増加リード 

国内で販売されている株式オープン投資信託の純資産総額が増加しています。2021年10月末時点の残高は148.1兆円。2年連続で年末最高額を更新した、昨年末の124.5兆円を23.6兆円ほど上回っています=縦棒グラフ。

純資産総額が増える理由は二つあります。一つは新しい資金が入ってくること。既存の投信の追加購入による口数の増加や、新たな投信の設定で、投信市場全体の資産が膨らみます。もう一つは値上がりです。投信に組み入れている株式や債券などの資産価値の上昇や、配当金や利息の収入などで、運用資産の時価が増えます。

資金流入と値上がりは、お互いに共鳴し合う場合が多く、「買うから上がる、上がるから買う」というスパイラルが起きます。値上がりするほどに注目が集まって投資家の購入資金が入り、さらに値上がりするという好循環になりやすいのです。

今年は、米国株に投資する投信の残高増加が際立っています=横棒グラフ。リッパーが米国株投信に分類する投信の純資産総額は、10月末時点で昨年末に比べて90%の増加です。米国株投信は、まさに資金流入と値上がりの二つの側面で純資産を増やしています。

まず資金流入の面です。分類別の資金純流出入額では米国株が常に上位。特に6月~10月は、5カ月連続で分類別トップを独走中です。値上がりの面では、みなさんもご存じのとおり、米国株式市場は絶好調です。NYダウは、昨年末から10月末までに17%の値上がり。ほかの主要な株価指標も繰り返し最高値を塗り替えている状況です。

投資対象を世界に広げたグローバル株投信も、純資産総額を増やしています。じつは、中身は「組み入れ銘柄の過半が米国株」というグローバル株投信がほとんどです。

好調な米国株が投信全体の残高増加を引っ張ってきましたが、米国の金融政策は、11月3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング(量的緩和の縮小)開始が決まりました。今後は、米連邦政府の債務上限問題の行方次第でしょうか。

担当=DZHフィナンシャルリサーチ・石原敬子
Refinitiv(リフィニティブ)はロンドン証券取引所グループ(LSEG)傘下の金融情報提供会社です

【図】株式オープン投信の純資産は過去最高
米国株投信の純資産は資金流入と値上がりによって増加