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2019年11月29日

東京株式市場のアルファを求めて

世界から日本への注目が 続いている。また、実業界においてもソフトバンクのVision Fundのように、グローバルで注目されている話題に日本企業はいつも存在している。それでは、日本の株式マーケットとなるとどうだろう。世界の目は他の注目分野と比較して、そこまで熱狂的ではないかもしれない。

筆者 : 笠井康則

東京株式市場のアルファを求めて
筆者:笠井康則

ラグビーワールドカップの興奮冷めやらぬ中、次は来年のオリンピックと、世界から日本への注目が 続いている。また、実業界においてもソフトバンクのVision Fundのように、グローバルで注目されている話題に日本企業はいつも存在している。それでは、日本の株式マーケットとなるとどうだろう。米中間の関税交渉、来年1月末には待ったなしとなるBrexit、さらに、残り1年を切った米大統領選挙。これらの大きなグローバルの潮流にどうしても目が向かうタイミングだが、日本の株式市場に対する世界の目は他の注目分野と比較して、そこまで熱狂的ではないかもしれない。

今回、日本取引所グループ(JPX)、QUICKと共同でマレーシアとタイにて開催したASEANでの顧客向けイベントに際して、あらためて日本の株式市場についてRefinitivのデータとツールを使用して分析してみた。イベントで話した注目ポイントは流動性。また、グローバルの投資家から見たチャレンジとそのソリューションにも言及した。

EikonのMarket Share Reporterで見てみると、2019年10月の月間において東京証券取引所の売買代金(米ドル換算)はアジア圏の取引所の中では、22.32%で新センに次ぐ2位だった。なお、トップの新センは26.31%、3位が上海で19.05%。中国市場については、国内フローのA株の取引が多くを占めることから、グローバルな投資家目線では、実質的な東証のマーケットシェアはこの数字よりも随分と高いものとなるだろう。

日本の株式市場というと、先に挙げたソフトバンク、また、トヨタ自動車やソニー のようなブルーチップ銘柄を想定する方が多いのではないだろうか。実際、2018年の年間データによると、売買代金上位10銘柄で全体の約16%、上位100銘柄で約51%の売買代金を占めている。一方で、2019年10月の月間データを分析すると、約50%の銘柄において、月間の売買代金が10億ドルを超えていた。一部のブルーチップ銘柄に巨大な流動性があるのは周知の事実として、その奥にも十分なサイズの流動性があることがみてとれる。

また、グローバル投資家からみた課題を一言で言えば、日本株に関する情報入手の難しさ。ただでさえ、3,800銘柄を超える銘柄数があるにもかかわらず、アナリストのカバレッジはその約3分の1にとどまっている。公開されているアナリストと企業の情報が双方において日本語が中心のため、なかなか、海外勢には投資判断の出発点に立つことさえ難しいのかもしれない。

Refinitivとして、このような日本の株式市場に対するソリューションをいくつか提言した。例えば、定量分析モデルであるStarMineやStockReport+を通じて、企業決算情報、価格モメンタム、さらにはテキスト情報などを定量化し、これまでは情報が乏しかった日本の株式銘柄についての可視性を向上させた。ちなみに、StarMineでは90%以上、StockReport+においては95%以上の日本株銘柄のカバレッジがある。また、QUICKとのパートナーシップを通じて、同社のエクイティとデリバティブに関するコメントなどのリアルタイムニュースを配信、かつ、EikonのNews Monitor appの機能を利用すれば、簡単に世界中の現地語への翻訳が可能だ。今後のプランとしてのGlobal Alert appのリリースやCorporate Actionデータの配信予定なども伝えた。

マレーシアとタイの投資家と直接話してみると、まだ日本株のエクスポージャーが無い方が多かった。一方で日本の文化についてはよく把握しており、個別企業に対する理解は非常に進んでいることに驚かされた。また、会話の中で、東証の売買代金の4分の3が海外からのフローであり、グローバルの投資家の中には日本の株式市場における投資機会に気づいて、既に行動をとっている投資家が多くいることも伝えた。このような理解と未投資のギャップ、さらに、十分な流動性、言語のバリアを乗り越える手段が多く整っていることを踏まえると、潜在的に現地からのビジネスにつながる可能性も高いのではないだろうか。