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2020年10月27日

ESG投資は“新ジャンル”?

富田 秀夫

持続可能な環境・社会づくりに向けたESG投資が世界の新潮流だ。では、このESG投資や資金調達面にフォーカスしたサステナブル・ファイナンスは、現在の金融の枠組みの中で、どのように位置づけられるべきなのか。

新しい物の登場を身近な食品を例に考えてみると、 “新ジャンル”誕生は分かりやすい。10月の酒税改正で価格メリットは減少したが、発泡酒が登場した時には、新たな縦割りのカテゴリーが作られた。他方、既存のカテゴリーに横ぐしを刺すように横断的な新たな概念が登場することも。「健康食品」といった括りは、乳製品、飲料、パンはじめ特定のカテゴリーを越えてグループ化される。

その文脈に照らすと、ESG投資は新しさが際立ち前者タイプがイメージされるので、オルタナティブ投資が頭に浮かぶ。しかし、オルタナティブ投資を上場株式や債券といった伝統的資産以外の新しい対象への投資と定義するならば、ESG投資の対象には伝統的資産も含まれるので、この線引きは有効ではない。伝統的、非伝統的資産を横断して投資するのだから、後者タイプに近そうだ。さらにESG投資と認められるためには、第三者のお墨付きのある商品を選択する必要があるので、「トクホ」が連想される。

にもかかわらずESGは、別建て的に議論されることが多くはないか。例えば「世界持続可能投資連合(GSIA)によると、2018年の世界のESG 投資額は約3400兆円と16年から34%増加。日本の金額は全体の7%にすぎないが、ここ2年の伸び率は4倍増と突出している。」という記事。「日本は最も急速に拡大している」との解説に納得しそうになるが、世界の3400兆円や日本の232兆円は、ESG 以外を含めた全体の投資額の中で、どの程度の比率なのか情報はない。歴史が浅いので前年比の伸び率が大きくなるのは当然であり、全体に占める比率の変化も知りたいところ。また急成長しているので、直近のデータまで欲しい。

(図) リフィニティブが定義するサステナブル・ファイナンス・リーグテーブル

グローバル資本市場をカバーし、案件ごとに情報収集、蓄積しているリフィニティブ。引受実績のリーグテーブル含め、速報性のある資本市場統計は高い信頼を得ている。新たに株式、債券、シンジケートローン、M&A分野でサステナブル・ファイナンス案件と認定する基準を明確化して、四半期毎に同案件の集計と市場全体の実績の公表を開始し、この分野の情報拡充に向けて先陣を切った。

深刻化する環境問題や感染症対策を考えるとESGは、企業経営のど真ん中に位置づけられるべきもの。体の健康を増進する「トクホ」同様に、地球や社会の健康を守るESGの進展が必須だが、そのためには、進捗度合いをタイムリーに測って行動に結び付けられる基礎データの拡充が欠かせない。

リフィニティブ・ジャパン株式会社

代表取締役社長

富田 秀夫

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