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2021年5月12日

反社チェックの基準-知っておきたい4つのポイント

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リフィニティブ編集チーム


効果的な「反社チェック」は、激変するビジネス環境の中で安定的に企業経営を続けていくために必須の取り組みです。では、どのような基準で反社チェックを行なう必要があるのでしょうか? ここではコンプライアンス担当者が確認しておくべき一般的な反社チェックの基準を整理します。

目次

I.  反社チェックで知っておくべき一般的な基準

1.   反社チェック、国の方針とは?
2.  反社チェック、各都道府県の暴力団排除条例
3.  反社チェック、金融庁からのガイドライン
4. 反社チェック、証券取引所の新規上場審査基準

II. まとめ

I. 反社チェックで知っておくべき一般的な基準
反社チェックの実践は、企業防衛の方法であると同時に、「あらゆるステークホルダーから信頼を得るため」という社会的な側面も持ちます。そうしたこともあり、国や地方自治体、官公庁や市場から、満たすべき基準や考え方などが示されています。

1.  反社チェック、国の方針とは?

2007年に犯罪対策閣僚会議が示した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針[富栄1] 」では、反社勢力が組織実態を隠蔽したり、活動を偽装するなどして、証券取引や不動産取引等の経済活動によって巧妙に資金獲得を続けている点が指摘されています。その上で、「反社会的勢力による被害を防止するための基本原則」として、企業に以下の内容の徹底を要望しています。

・組織としての対応
・外部専門機関との連携
・取引を含めた一切の関係遮断
・有事における民事と刑事の法的対応
・裏取引や資金提供の禁止

反社勢力への対抗は国内だけの問題ではありません。マネーロンダリングなどの金融犯罪に対する囲い込みを強化して世界情勢の安定を目指す各国の取り組みに同調し、日本でも、テロ組織などの反社勢力の活動源である“カネや物品”といった“兵糧”を絶つべく、「犯罪収益移転防止法(犯収法)」が施行されています。この犯収法では、「企業の実質的支配者(UBO)の確認」や「完全な顧客確認(KYC)」の強化等を求めています。

2. 反社チェック、各都道府県の暴力団排除条例

「市民の安全かつ平穏な生活を確保し、事業活動の健全な発展に寄与する」ことを目的に、各都道府県では「暴力団排除条例(暴排条例)」を制定しています。暴排条例では、事業者に対し、契約相手が反社勢力ではないことを確認するよう努める旨が定められています。

ただし、この規定は努力義務規定であり、一般的に取引の相手方について身分を確認しないような場合は、あえて相手方についての確認を求めているわけではありません。しかし、契約書を締結して行なうビジネスの現場では、企業は、暴排条例に基づき、反社勢力との取引を行なわないよう努力する義務と道義的責任を負うと言えます。

もし企業が暴力団のような反社組織とつながりを持ってしまったら、詐欺やマネーロンダリングなどの犯罪に知らないうちに巻き込まれたり、意図せず加担したり、といったことも想定されます。それだけでなく、反社勢力との付き合いが密接であれば、たとえその実態を知らなかったとしても、条例上の「暴力団関係者」とされ、排除の対象となることも懸念されます。そうしたこともあり、新たに取引を始める企業に対してはもちろん、継続した取引がある企業に対しても、反社チェックを行なうことは必須だと言えます。

反社チェックによって明らかにすべきことは、取引相手が暴力団のような反社勢力に与する存在であるかどうかだけでなく、その関係者あるいは繋がりがあるかどうかの確認にまで及びます。対象の範囲は暴排条例で定められており、疑わしいと判断された場合は本当に「暴排条例上の反社勢力であるかどうか」の情報を警察から提供してもらえる場合があります。

3.  反社チェック、金融庁からのガイドライン

金融庁では、暴力団から海外犯罪シンジケート、国際テロ組織といった反社勢力によるマネーローンダリング及びテロ資金供与の基本的な対策の考え方として、「『犯収法』や『外国為替及び外国貿易法(外為法)』等の関係法令において、取引時確認等の基本的な事項が規定されている。銀行法、保険業法、金融商品取引法等の免許や登録等を受けて業務を行う金融機関等は、犯収法上の『特定事業者』に該当するほか、外為法上の『銀行等』『金融機関等』として同法上の規制に服するものであり、これらの法令の規定をその適用関係に応じ遵守する必要があることは当然である[富栄1] 」としています。

つまり、金融機関等は犯収法や外為法に則って、取引時に取引相手について確認等を行なわなければならない、というわけです。そして、ここで示される取引時確認として知られているのが、「顧客管理(CDD:Customer Due Diligence/カスタマーデューデリジェンス ) 」と「顧客の本人確認(KYC:Know Your Customer)」です。

同時に、金融機関等は、定められたルールに準拠するのではなく、自らリスクを特定・評価し、それへの対策を講ずる「リスクベース・アプローチ」の考え方によってあらゆるリスクの低減を実践するよう求められています。もちろん、個々の顧客についてもリスクベース・アプローチの考え方で対処し、その情報やその顧客が行なう取引の内容等を調査し、調査の結果をリスク評価の結果と照らして講ずべき低減措置を判断・実施しなければなりません。

余談になりますが、金融機関等に求められる「リスクベース・アプローチ」の考え方は、一般の企業にとっても非常に重要です。自社にとってリスクが発生しやすい取引やその相手、商流等はどういったところかを特定したり、取引先の後ろに広がるリスクを想定したりして、ビジネスを取り巻く複合的なリスクを理解した上で、“問題が起こることを前提に”反社チェックなどの次善策を講じるべきでしょう。

4.  反社チェック、証券取引所の新規上場審査基準

証券取引所においても、反社勢力への実効的な対応と犯罪の抑止が喫緊の課題となっています。このことは、国の方針で「(反社勢力は)証券取引や不動産取引等の経済活動を通じて巧妙に資金獲得を続けている」と、指摘していることとも合致します。

そこで、証券取引所は新規上場審査の基準として、反社勢力との関係性についてチェックする確認書を導入し、新規上場審査時や市場変更審査時、一部指定審査時に活用しています。

また、反社勢力との関係等について確認するコーポレートガバナンスに関する報告書における開示によって、「上場会社は、コーポレートガバナンスに関する報告書の開示項目の一つである『内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況』の一環として、反社会的勢力排除に向けた体制整備についての開示を行うものとします」としています。

II. まとめ
反社チェックの国内における一般的な基準について紹介しました。しかし、経済活動や金融の流れがグローバルに展開され、ビジネスでも海外との関わりが活発になっている今日では、リスクも世界規模に広がっていると考えるべきです。これまで培ってきたコンプライアンス・ガバナンスの知識や国内の関連法などの理解に加え、海外の動向も注視しておきたいところです。

しかし、国内では十分な情報リソースを確保できなかったり、言語の問題で情報の収集が遅れてしまったり、というリスクも考えられます。そうした意味では、ここでお伝えしている基礎知識に加え、自社が展開している国や地域の動向等にも常に目を光らせ、新しく正確な情報に接する手立てを講じておく必要があるはずです。

Refinitivはこれからも、反社チェックをはじめとする企業のリスク低減に向けた取り組みに役立つ優れたデータやソリューション、情報を提供し、すべての企業が安心してビジネスを推進できる環境を整えられるよう、支援してまいります。

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