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2021年5月25日

脱炭素化へ急拡大するサステナブル・ファイナンス

トランジション・ファイナンスの本格始動

リフィニティブ・ジャパン株式会社

LPC編集部

佐藤 和香子

グリーン・ESGファイナンスのグローバルにおける調達金額が2021年1-3月期に過去最高を記録した。リフィニティブのデータによると、コーポレートローン及び債券での調達金額は前四半期(2020年9-12月期)より37%増の3,524億米ドルにも達した。

2021年1-3月期にグリーン・ESGファイナンスのグローバル調達金額は過去最高を記録

出所 : Refinitiv, LPC Refinitiv
※schuldscheinを含む

日本においても、昨年10月の菅義偉首相による2050年カーボンニュートラル宣言以降、サステナブル・ファイナンス市場の拡大に一層拍車が掛かっている。今年4月には2030年の温室効果ガス削減目標を当初の26%から46%に引き上げる方針が示された。これにより、日本企業による目標達成への取り組みはますます加速していくだろう。

リフィニティブLPCのデータによると、日本のグリーン・ESG融資金額は2021年1月から足元まで32億8700万ドルと、2020年通年の95億5000万ドルと比較しても順調に推移しており、今後もより一層拡大していく見込みだ。2020年のグリーン・ESG融資金額は、35億1400万ドルを記録した2019年のほぼ3倍となっている。

先行していた債券市場に続き、ローン市場でもグリーン・ローン、サステナビリティ・リンク・ローン、トランジション・ローンとメニューが拡大してきている。

トランジション・ファイナンスの本格始動

トランジション・ファイナンスとは脱炭素社会の実現に向けて、温室効果ガス削減のための長期的取組を支援するファイナンス方法であり、日本では、今年3月に海運大手の川崎汽船株式会社が59億円の国内初となるトランジション・ファイナンスの契約を締結した。次世代型環境対応 LNG 燃料自動車専用船購入の為の資金となるこのローンは、国際資本市場協会(ICMA)が提唱しているクライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブックに則した適格認証を取得している。

さらに、5月に入ってからは経済産業省がICMAのハンドブックに準拠したトランジション・ファイナンス基本指針を策定。今年後半にも川崎汽船の後続案件が登場する見込みだ。

経済産業省は今後トランジション・ファイナンスのモデル事業として選定された企業に、外部評価コストの最大9割を支援、また、今後3年間で総額1兆円規模の融資に対する利子補給も行う予定であり、 トランジション・ファイナンスの本格な始動に向けた機運が盛り上がっている。

これまで経済的メリットに欠けると言われてきたサステナブル・ファイナンスだが、今回の制度整備が、企業および投資家が本腰を入れて取り組むきっかけとなることに期待したい。

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