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2021年4月13日
細分化された FX 市場で流動性にアクセスするには
本稿は、2020年12月1日投稿された英文ブログの翻訳です。


FX Sell-Side Trading Proposition Management, Refinitiv
Bart Joris
新興国市場では、外国為替 電子取引プラットフォームへの移行によって市場が細分化され、金融機関の業務負担やコストが増大しています。Refinitiv FX Aggregatorなどのアグリゲーターは、トレーダーによる流動性へのアクセスをどのように支援することができるのでしょうか。


- 外国為替の電子取引は、外国為替取引の成長、透明性の向上、新型コロナウイルスと技術革命による電子プラットフォームへの移行の加速といった要因により、新興国市場で広く普及しつつあります。
- しかし、その結果、新興国の外国為替市場は細分化 (フラグメンテーション) され、金融機関がこれらのトレーディング・プラットフォームに自社のシステムを接続することは困難さを増しています。
- Refinitiv FX Aggregator(リフィニティブFXアグリゲーター)では、流動性へのシームレスなアクセスが可能です。本サービスでは、ベニューや執行管理オプションを柔軟に選択し、リフィニティブのデスクトップ・ソリューションから外国為替取引を直接実行することができます。リフィニティブおよびサードパーティのベニュー (CBOE FX、EuronextFX、B3、MOEX など) の両方に接続できるため、市場の流動性アクセスにおいて非常に幅広い選択肢を利用できます。
外国為替市場において、電子取引チャネルは既になくてはならないものとなっています。スポット市場の取引額に占める電子取引の割合は 80% を超えています。市場の進化に伴い、さまざまな商品や通貨を取り扱い、これまでにない取引スタイルに対応する、新たな取引ベニューが登場してきました。電子取引は、正確なデータを取得しそれを規制当局とコンプライアンス部門に報告する義務や、流動性の需要、さらにミドルオフィスとバックオフィスに常に求められる効率改善といったニーズを満たしてします。ワークフローの効率化により、多くの市場参加者間で電子ワークフローの導入が拡大し、バイサイドによる自動化された取引モデルへの移行は一段と増えるでしょう。
外国為替 -トレーディング・プラットフォーム: 外国為替取引のエンドツーエンドのワークフロー実行を支援するソリューション
新興国市場における外国為替 電子取引
以前は、新興国では電子取引の導入が遅れていました (英語)。通貨の流動性が低く、変動が激しいうえに、国内限定の取引所やボイストレーダーが中心となっていたためです。こうした状況は今や変化しつつあります。
新興国市場の 外国為替の取引額が世界全体の 23% まで拡大したことで、これらの取引フローを効率良く電子管理する必要性が高まっています。外国為替市場の透明性は向上しており、その結果として電子取引は増加するでしょう。これにより市場の価格発見機能が高まり、より多くのプレーヤーによる電子取引を可能にするという波及効果を引き起こします。
最近では、新型コロナウイルスのパンデミックにより多くのボイストレーディング・デスクの運営や利用が制限されたため、電子取引プラットフォームへの移行が一段と加速しています。電子取引を実際に体験する顧客が増加する中、この傾向は今後も続く可能性が高いでしょう。さらに、テクノロジーの継続的な進化により、電子取引ソリューションはより安価で、誰もが利用しやすい存在になりました。その結果、100 以上の電子取引ベニューがひしめき、極めて細分化された外国為替市場が生まれ、それぞれのプラットフォームがワークフローや流動性の面で独自の強みを提供しています。
各市場ごとに特定のベニューへの集約の動きがあり、これが業界の大きなトレンドとして細分化となっています。総保有コスト (TCO) への懸念によって、さらなる細分化に歯止めがかかる可能性はあるものの、トレンドを逆転させるまでには至っていません。
なぜ細分化が問題なのか?
複数のベニューへの接続を管理するのは非効率であり、貴重なディスプレイ画面のスペースを占領するうえに、ユーザーは価格や市場の厚みを限定的にしか知ることができません。しかし、より大きな問題は、各ベニューの API への接続に必要な時間と作業負担でしょう。
セルサイド、バイサイドの金融機関の多くが、取引プラットフォームに自社のシステムを取引ベニューに接続するのに苦心しています。多くのベニューは取引やマーケット・データごとに微妙に異なる複数のワークフローや API を採用しており、同一のベニューでの取引の場合でも 2~3 種類の異なる仕様の API に接続しなければならないことがあります。
これらのベニューの 1 つに接続するだけでも、非常に長い時間と大きなコストがかかります。接続までのプロセスは通常 3~6 か月に及び、接続の維持にも多大なリソースが必要とされます。規制上の理由などから、ベニューは API を定期的にアップグレードし、機能やサポート範囲を追加しています。アップデートしたシステムを本番環境でリリースする前にコーディングとテストを実施するのにも、時間とリソースがかかります。ひとつのベニューに接続するために必要な作業負担に、取引をしたいベニューの数を掛け合わせてみれば、これがいかに大きな問題であるかご理解頂けると思います。
細分化された市場をどう乗り切るか
アグリゲーション自体は新たなコンセプトではありませんが、ベニューの増加に伴い、その重要性は大幅に高まっています。アグリゲーションは外国為替市場へのアクセスと全体像を提供するものであり、透明性を向上させるとともに、アルゴリズム取引により市場の流動性を最大限に活用することができます。
技術の進歩により実現した高度なアグリゲーション・サービスは、セントラル・リミット・オーダーブック (CLOB)、相対取引、取引所の流動性などのあらゆる取引方式にわたって流動性を蓄積する高性能な執行管理機能を備えています。取引執行のアルゴリズムの設定にも対応しており、取引のパフォーマンスを最大化するためのベニュー固有のアルゴリズムも導入可能です。
アグリゲーターは、ロー・レイテンシー環境で、トレーダーがコントロールしながら透明性を保持し、ヘッジ・ツールとしても利用することができます。また、アグリゲーターはベニューをまたぐ 外国為替取引ワークフローを自動化し、分析で取引執行をフォローし改善することによりため、エンドツーエンドのワークフローと効率が最適化されています。トレーダーのデスクトップからフロントオフィスとバックオフィスでの処理 (STP) に至るまで、執行通知システムとコンファメーション・オプションで標準化されたチケット・フローと共に、決済を正確かつタイムリーに処理することができます。
アグリゲーターは流動性へのアクセスの改善にどう寄与するか?
アグリゲーション・サービスの成長は、新興国の外国為替市場では常に制約されてきました。G10 (主要 10 か国) と新興国市場で取引を行う金融機関は増加していましたが、こうした金融機関にとって、取引所ベースの取引が中心で、ブローカーが依然優位な市場では、アグリゲーションは取引の役には立たなかったのです。
しかし、新興国が発展するにつれて、透明性が向上し、電子取引は増加しています。新興国市場の外国為替プラットフォームの成長に伴い、アグリゲーターはその流動性を利用できるようになりました。さらに、Refinitiv FX Aggregatorなどの一部のアグリゲーション・プロバイダーは、ロシアの MOEX やブラジルの B3 といった、以前はアクセスできなかった市場に接続し、透明性を高めるとともに事業法人による取引も可能にしています。
リフィニティブは、ロシアやブラジルの取引所からの価格情報を集約することで、スプレッドの縮小と流動性の向上を支えています。このことは、市場の流動性低下のおそれにより緊張感が高まる局面において一段と重要になるでしょう。MOEX と B3 のアグリゲーションによって、現地の流動性プロバイダーが提供する新たな流動性プールへのアクセスがもたらされます。
市場をリードする流動性
テクノロジーの進歩によって、現代のアグリゲーション・サービスは効率的な執行管理を実現しており、取引を行う企業が複数の異なる取引スタイルに対応するさまざまなベニューに単一のアクセス・ポイントから接続することを可能にしています。
その中で常に課題となるのは、流動性と通貨のカバレッジでしょう。OTC ベニューや取引所に接続するアグリゲーション・サービスは、単一の標準化されたオーダー・ブックで、市場トップクラスの流動性を提供することができるはずです。技術コストが下がり、(プライベート / パブリック・クラウドを問わず) フルマネージド・ホスティング・サービスによりメンテナンス費用が低下し、コミュニケーション機能が向上したことで、現代のアグリゲーション・サービスは外国為替市場のすべての参加者にとって必須となっています。
外国為替トレーディング・プラットフォーム: 外国為替取引のエンドツーエンドのワークフロー実行を支援するソリューション
注)本稿は、2020年12月1日投稿された英文ブログの翻訳です。内容に相違がある場合にはリフィニティブのグローバルサイトに掲載されている原文が優先します。
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