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2021年9月14日

グローバルにおけるESGファンドの資金流入動向とパフォーマンス

The Finance risk screen

 

リフィニティブ・ジャパン株式会社

リフィニティブ・リッパー ビジネス開発担当

泉 優花

9月9日にリッパーのファンドフローデータを用いた資金流出入の動向について、ウェビナー「世界的V字回復の完了と経済の本格的再開~ファンドフローが指し示す今後の世界経済動向~」が開催されました。地域別や、アクティブ対パッシブなどのさまざまな切り口で資金流入動向についての解説がなされましたが、中でも最も注目度が高かったのはESGファンドにおける資金動向だったのではないでしょうか。

本稿では9月9日に開催したウェビナーよりESGファンドの資金流入動向とパフォーマンスの傾向についての部分を抜粋し解説を行います。

目次

1、グローバルにおけるESGファンドの資金流出入

2、コロナショック後1年間のESGファンドのパフォーマンス傾向

3、アジアにおけるESGファンドの資金流出入

まとめ

 

1、グローバルにおけるESGファンドの資金流出入

下記の図は、ESGファンドにおけるグローバルの推定資金流出入のグラフです。

市場全般と連動するように、2020年3月のフローは大きくマイナスに転じておりESG商品はパンデミックの開始時に大幅に売られたことが分かります。しかしその後はかなり早い段階で流入に転じ、ハイペースで推移しています。

これは世界的な危機に加え気候変動や社会問題への懸念が続いたことで、ESG投資への関心が高まったことに起因しています。特に青で示される株式ファンドは、過去8ヶ月間で2021年に向けて記録的な資金流入がありました。

コロナショックで急停止した市場取引が再開し、リスクオン相場に転じた現在では株式市場のバリュエーションの上昇にも支えられ、ESGファンドのAUM総額に占める株式の割合はますます増加傾向にあります。

今後、他のアセットクラスを用いたESGファンドも進化することが期待されますが、しばらくは株式ファンドのESGファンドに占める割合が高いことが予測されます。

ESGファンドフローにおける重要な注意点は、ESGファンドが世界的に業界のトレンドであることから、海外では多くの資産運用会社がESG新商品の設定を急いだり、現行商品をESG商品に作り変えたりしているため、資金流入と資産運用残高の両方が急増していることです。

これには既存の商品の名称や投資目的に「ESG」を付けただけのファンドなども混在しており、環境・社会・ガバナンス向上への貢献度合いを明確に見極めるには、温室効果ガスやESGスコアなどの定量データを用いた評価が必要です。

リフィニティブでは、上場企業へのESGスコアおよび、企業開示資料を基に企業発表のデータを定量データに変換したESG指標データを提供しています。

 

2. コロナショック後1年間のESGファンドのパフォーマンス傾向

続いて下記の図はベンチマークに対してアウトパフォームしたファンド本数とアンダーパフォームしたファンド本数の割合を示しています。期間はコロナショック後の2020年6月末~2021年6月末の1年間です。

左側のバーチャートが、一般的なアクティブファンド、右側がESGファンドです。ESGファンドを除いたアクティブファンドを、ここでは「一般的なアクティブファンド」と呼ぶことにします。パンデミック後の回復期には市場の主導権がグロース株からバリュー株へと移り変わり、そして再びグロース株に戻り始めています。

このために、ESGファンドに限らず多くのファンドがベンチマークを上回ることができず、アウトパフォームしたファンドの割合は一般的なアクティブファンドで約44%にとどまっています。2020年後半の時点では資金の流れや投資家の心理が、テクノロジー株などの巣ごもり銘柄に向かったためファンドはおおむねアウトパフォームしましたが、2021年前半になるとバリュー相場に転じ、多くのファンドはポジションを取れず、過去12ヶ月間の総合的なパフォーマンスはベンチマークに追いつけませんでした。同様の分析結果をESGファンドで行ったのが右側のバーチャートです。

一般的なアクティブファンドの55%がベンチマークに勝てなかったのに対し、ESGファンドはさらにその割合が高く、64%がアンダーパフォームとなっており、さらに苦戦していたことが伺えます。

これは、多くのESGファンドがバリュー株に投資していないことが大きな原因と考えられます。バリュー株はエネルギーのようなカーボンインテンシブな産業に属しており、エネルギーセクターは、2021年に他を引き離すトップのパフォーマンスを示したセクターでした。その他のバリューセクタ―には、石油・ガス・工業・素材などがありますがESGファンドはこれらの銘柄にもほとんど投資をしていません。

多くのESGファンドはこのようなグロースよりの性質が見られます。ESGファンドの中には、炭素排出の多い産業の企業の中でも、炭素移行に大きな成果を上げている企業を対象とすることで、より幅広いセクターを投資対象としているものもあるため、保有銘柄の注視が必要です。

 

3. アジアにおけるESGファンドの資金流出入

最後にアジアのESGファンド資金流出入のグラフを示します。

アジアのESGファンドの運用資産は2020年の第三四半期から急成長し継続的に資金を集めています。アジアの多くの政府や金融規制当局がサステナブルな社会の実現を掲げていることもあり、ESGソリューションへの需要が高まっています。中国では、新エネルギー自動車や再生可能エネルギーに投資するファンドが増加しており、韓国政府は今後5年間で再生可能エネルギーやグリーンモビリティプロジェクトに354億ドルを投資する予定です。シンガポール通貨庁は20億ドルのグリーン投資プログラムを実施しています。

シンガポール、韓国、台湾では、運用会社がESGをテーマにしたグローバル株式・債券商品の発売に熱心に取り組んでいます。炭素排出量の多い企業を除外することで炭素関連リスクへのエクスポージャーを最小化し、グリーン活動から収益を得ている企業へのエクスポージャーを最大化することで気候変動リスクをヘッジしながら、現在および潜在的な炭素排出量の削減を目指す資産運用会社が増えています。

まとめ

今回はグローバルにおけるESGファンドの資金流出入動向とパフォーマンスについて解説しました。「ESG」という名前がついていても、実際にはその他のアクティブファンドと変わらない銘柄に投資しているファンドが多数存在する中で、運用会社はなぜそのファンドがESGファンドなのか、どういった点でESGに貢献している銘柄と判断しているのかを明確にし、投資家に説明していく必要があります。この点で、定量、定性、双方からの評価の重要性が高まっています。リフィニティブでは上場企業に対し定量的なESG評価を行ったESGスコアやそれらのもとになる指標データを提供しています。これらのデータを通じリフィニティブはESG投資の更なる向上に貢献できると信じています。

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