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2022年5月10日
伝道師たちの足跡 序章 旅立ち



リフィニティブ・ジャパン株式会社
事業開発部 部長
鈴木慎之
アドボケートという職業をご存じだろうか。特にソフトウェア、データサービス業界において自社製品やサービスを顧客やパートナー企業の「システム開発者」に「啓蒙」していく職業として認知され始めている。このシリーズでは彼らの啓蒙活動について言及することとする。もともとプロフェッショナル・システム開発者(プロフェッショナル・プログラマー)だった人々がいまはアドボケートとして活動しているケースが多い。
金融の世界において、昨今の金融サービスの発展に貢献した立役者はシステム開発者だと考える。いかに優れたビジネスアイデアが生まれても、それをサービスとして導入できるのは、システム開発者たちであることは疑う余地もない。このシリーズでソフトウェア、データサービス業界のアドボケートたちをテーマとしたのは、彼らが金融を動かす金融プロフェッショナル・システム開発者たちにどのように次世代のシステム開発手法を啓蒙し、金融の発展に貢献し続けるかを日々考えている集団だからである。アドボケート、まさに現代の「伝道師」という言葉がはまる。
今やプログラミングに対するハードルがかなり低くなり、プロフェッショナル・システム開発者でなくとも業務システムを作ることができる時代になりつつある。PythonとWeb APIの普及、これに伴うPythonモジュール(ライブラリ)の充実化。特にデータサイエンスの必須ツールといえる機械学習等のデータ分析モジュールは突出して充実してきている。またLow Code/No Codeでのシステム構築ツールも随分普及し始めている。ではプロフェッショナル・システム開発者が必要なくなってきたのかといえばとんでもない。Pythonのデータ分析ライブラリ、Low Code/No Codeで今までプログラム経験のない業務担当者がシステム構築することが出来るようになった、その裏にはプロフェッショナル・システム開発者たちの汗まみれの努力がある。データ分析ライブラリやLow Code/No Codeを実現するツールこそがプロフェッショナル・システム開発者の仕事の結晶である。
現代の「伝道師」、アドボケートたちは自社のプロフェッショナル・システム開発者たちの努力の結晶をよく理解し、その賜物であるソフトウェアあるいはデータコンテンツ製品をこよなく「愛する」。
アドボケートたちはまた顧客のDX戦略を理解研究し、まずDX戦略が何を必要とするのか。この戦略に自分たちの製品が貢献できるか否かを見極める。この結果貢献が可能だと判断ができるとすぐに顧客が想定するであろう業務フローにあった製品導入事例版としてのプロトタイプ・システムを、自社製品で作り上げてしまう。アドボケートたちが特に固執するのは、顧客システムの自社サービスへのアクセス手段である。アドボケートたちは「API」(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)の使い方をプロトタイプ・システムのプログラム・コードを通じて具体的に「公開」することで、顧客側のシステム開発者の開発効率化に貢献する。

DXの波がもたらしたものは、クラウド・シフト、APIエコノミー・シフト、シェアリング・エコノミー等様々なとらえ方ができるかと思うが、筆者は、サービスのライフサイクルの激変ではないかと考える。次々と多様化する社会のニーズにこたえるサービスは、常に変革を求められる。このため現代の「サービス」に求められるのは「スクラップ・アンド・リビルド」(既存を捨ててすぐに再建しなおす)だと思う。これがあるからこそ、クラウド・シフト、APIエコノミー・シフト、そしてシェアリング・エコノミーが金融サービス業界に強く求められているのだと思う。「スクラップ・アンド・リビルド」の過程でシステム開発を行う際、外部からのサービスを業務ワークフローに組み込むことは今や避けて通れない時代である。外部サービスを自社システムに組み込む際、いちいちサービス提供者独自のAPIなどもう使ってはいられない。業界標準(デファクト・スタンダード)のAPIを使いたい。至極当然の要望だと思う。
金融経済データ・サービスを提供するREFINITIVは、従来からあるデータ配信サービスに加え、近年データ配信サービスの「WEB SERVICE」化を実現している。金融市況情報のリアルタイム配信から企業財務、ESGスコア、デリバティブ時価サービスやロイター・ニュース、デリバティブ価格算定のリスク指標等の計算機に至るまで、「WEB API」を利用して特別なハードウェアやソフトウェアのインストールなく、インターネット経由でアクセスが出来る。REFINITIVのアドボケートたちはどのようなデータコンテンツをどのようにすれば素早く取り出すことが出来るのかを日々説いているのである。
これから始める「伝道師の足跡」シリーズでは、REFINITIVのアドボケートたちが「公開」しているプロトタイプ・システムのいくつかを解説を加えながらご紹介していこうと考えている。金融機関を中心とした金融経済データを日々の業務に生かしていらっしゃる方々の今後のDX戦略のヒントになるような情報が提供できれば幸いである。

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