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2022年5月17日
外国為替取引とは?電子取引の重要な5つポイントを詳しく解説

外国為替市場にも、取引の円滑化や透明性を高めるべく、デジタル化の波が押し寄せています。また、最近では外為取引で収益を上げたい銀行が電子取引を実現することで、業務の自動化による生産性の向上やコンプライアンスの強化不要なコスト削減や新たな収益化を 目指す、という考え方も広まっています。
ここでは、電子取引で外国為替取引をするべき理由を5つのポイントで解説します。
I. 外国為替取引はどのような方法で行なわれているか?
外国為替取引の市場は、インターバンク市場と対顧客市場の2つに分けられ、前者は金融機関同士、あるいは、為替外為ブローカーが参加する市場として、後者はそこに企業非金融機関が参加する市場として知られています。
取引は、以前は電話やファックスで行なわれることが主流とされてきましたがもありましたが、近年では金融機関がより円滑な取引を実現すべく、独自のソリューションを開発して運用するケースや、サードパーティーが提供するクラウドサービス等電子取引プラットフォームを利用して電子取引する例も見られるようになっています。
このような電子化は、取引後に関連する履歴の管理を書面ではなく、電子フォーマットで保管(レコードキーピング)できる取引後に関連する履歴を書面等で保管(レコードキーピング)しておく手間や必要に応じた書面の確認を容易にする 、といった副次的なメリットも考えられます。ただ、取引数が限られている金融機関では電子化のメリットが得づらいといった理由で、必ずしも電子化されていないケースもあります。
II. 外国為替取引に求められる行動規範の実践と電子取引
今日、金融機関はさまざまな規制対応を行なっており、その精度を高度化・効率化すべくテクノロジーの力を活用しています。そうした意味では、金融業界はデジタル化が進んだ業界のひとつである、と言えるでしょう。
しかし、規制対応のために導入されたテクノロジーを適切に活用するには、携わる人のガバナンス意識の向上が不可欠であり、その元になる行動規範の存在が欠かせません。そこで世界的にグローバルに業界内外国為替取引を行う上でで守るべき単一の規範として定められたのが、「グローバル外為行動規範」です。
この行動規範に照らし、不正行為の抑止や早期発見に繋がるよう、テクノロジーを活用して業務遂行をサポートするのも、電子取引に移行する重要な意味合いになると考えられます。
例えば、取引ログの保全レコードキーピングや不正と疑わしいが疑われる取引をが効率的に検知されたらしアラートが出るを出す、といったことは、テクノロジーを活用してこそ可能だと言えます。
特に、コロナ禍によって在宅ワークが普及したことで、在宅で取引する際の不正行為の抑止や早期発見やより強固なガバナンス体制の構築は喫緊の課題となっています。これが後押しとなって、外国為替取引の電子取引化が加速し始めています。
III. 外国為替取引の高度化を目指す上で電子取引化が欠かせない理由
外国為替取引の電子化は行動規範の実践やガバナンス強化だけでなく、自動化やアルゴリズム取引の実践など高度化の実現とそれによる収益化に繋がるとの考え方もできるでしょう。
実際に、独自のプライシングエンジン等ITソリューションを開発している金融機関は少なくありません。ただ、そのように各金融機関が独自に開発している機能の中には重複する部分も多く、独自に開発するコストと維持メンテナンスのコストが問題になったり、高度化の実現までに時間がかかるといった問題に突き当たるケースも指摘されるようになっています。
そのため、むしろ汎用的な機能はサードパーティーが提供するパッケージ化されたサービスやソリューションを利用し、自動化やアルゴリズム取引など独自にカスタマイズしたい領域の開発にITリソースを集中させた方がリーズナブルである、との判断を下すケースも見られるようになっています。
また、リスク管理やレコードキーピングの機能等を自社で開発し続けるよりも汎用アプリを活用した方が専門性の高いサービスレベルを保つことができる、という判断から、そのような周辺機能もサードパーティーのものを取り入れ、API等で柔軟に繋ぎこむ、という選択をするケースも出始めています。
IV. 装置産業化の進む外国為替取引
日々多くの外国為替取引を行なっている金融機関では、例えば自行で取引したドル⇄円のオーダーの中でポジションをできるだけ相殺を自行内で突き合わせる(インターナライゼーション)することで効率化を図るため、ことで、自行内で通貨の交換を完結させたり、過不足を可能な限り多くの取引をひとつの拠点に集約してひとつの取引として売買オーダーを行なったりすることを試みる、というケースもあるようです。これにより、他の金融機関との交換取引をする取引コストやリスクを規模の原理で回避する、というわけです。
ただし、そういったインターナライゼーションの恩恵を受けるには、本店が国内外の全支店の売買オーダーを集約できるするための仕組みが必要であることは言うまでもありません。
つまり、最近の外為取引は業務フロー全体を管理することで生産性を高めるための装置産業としての側面が強くなっており、最初の段階で設備投資が必要であるというわけです。
しかし、ある程度の自動化やスマート化はヒューマンエラーや管理コストの削減にも繋がると考えられます。また、規制対応や人材不足への対策にも資すると考えられるため、「この設備投資が金融機関の持続可能性を高めることにも結びつくのではないか」と、注目が集まっています。
V. 外国為替取引を電子化することで得られるメリット
では、より踏み込んで、上述の外国為替取引を電子化することで得られるメリットを金融機関の規模という視点から確認してみましょう。
1. メガバンクの場合
すでにパッケージを利用することでノウハウを得た上で、独自に高度化したい領域にITリソースを集中させたり、必要に応じてサードパーティーサードパーティの提供する機能パッケージもをAPI連携で引き続き利用する追加する、という方向性が検討しやすくなると考えられます。このようなにサードパーティーのサービスやソリューションを利用した場合、マーケット投入にかかる時間の短縮が可能になったり、継続的な保守管理コストの削減がかなったり、といったメリットも得やすくなります。
2. 地銀やその他の金融機関の場合
自行内では外国為替の取引の業務件数がそれほど多くない地方銀行などでは、電子化のメリットを享受しづらく、それが結果的にデジタル化を足踏みさせてきた要因だろう、との見方もあります。しかし、地銀の合併等ホールディングス化が進む今日、ようやくスケールメリットを生かせる環境が整ってきたと言えるでしょう。
例えば、再編にあたり、A銀行とB銀行で異なる帳票(為替チケット)の書式を使っている場合、「どちらかに統合する」となると多くのコストがかかるもの。むしろ、電子化という選択肢は、リソースやコストの削減だけでなく、中長期的な業務遂行のスマート化や金融DXの実践という意味でも理に適ったものだと考えられます。この時、最初から「自社で電子取引の基盤を構築せず、既存のプラットフォームサービスやソリューションを実績で評価して積極的に導入する」という選択ができるのも、今日ならではだと言えるでしょうシステムを統合する上で考慮すべきかもしれません。
Refinitivでは、詳細な金融データや幅広いニュース、分析、生産性ツールなど外国為替取引業務に必要なあらゆるサービスをひとつの“場(スペース)”にまとめた Workspace (ワークスペース) を提供し、一度のアクセスですべての業務を円滑に進められる環境の創出で、安定的な取引をサポートしています 。
VI. まとめ
ここまで述べてきた通り、外国為替取引の電子化によって、金融機関の規模に関係なくメリットが見出せるようになっています。
それに加え、銘柄がある程度限られており、かつ、各国固有のルールがなく、24時間市場が開いている、という外為取引は、「金融機関のデジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実践に向けたパイロットケースにするには最適な場だ」という考え方もできるでしょう。そのような考えのもと取り組む外国為替取引の電子化は、経済社会のインフラである金融機関の持続可能性の向上など、将来に繋がる重要なプロジェクトという意味合いを帯びると考えられます。
Refinitivでは、詳細な金融市況データや幅広いニュース、分析、外国為替の取引ツールなど外国為替取引業務に必要なあらゆるサービスをひとつにした Workspace (ワークスペース) を提供することで、ワンアクセスですべての業務を円滑に進められる環境の創出と、安定的な取引をサポートしています。
参考文献
Refinitiv : LSEG Workspace (ワークスペース)
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