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知りたい投信 なるほどリッパー : 2020年8月7日

ETFの長所短所を一刀両断⑥完 複雑な手法の新タイプにご注意

リッパーのデータに基づく、読者に人気の「ETFの長所短所を一刀両断」シリーズの最終回。最近登場した新しいタイプのETFを紹介。ETFでありながらリスクの高い銘柄の仕組みについて詳しく解説した。

ETFの長所短所を一刀両断⑥完 複雑な手法の信タイプにご注意

シリーズ最終回は、新しいタイプのETFを紹介しましょう。ETFは低コストや分かりやすさなどが武器。積み立て投資に適しているため、幅広い投資家の資産形成に役立つと説明してきました。
 ところが最近、短期志向の投資家が活発にETFの取引をしています。グラフで、「新しいタイプの指標」としたレバレッジ型やインバース型です。ともに短期の値幅取りに利用されるETFで、コロナショックによって株価が乱高下したときに取引が急増しました。
 東証に上場するレバレッジ型のETFは、指標のおよそ2倍の価格変動率で動きます。例えば日経平均株価が1%上昇すると「日経平均レバレッジ」というETFは、理論上2%の値上がりをします。1%の下落時は2%の値下がりとなり、リスクが高い取引です。「レバレッジ」は「てこ」のことで、金融技術を使って実際の資金の何倍もの資産を動かす手法。ETFの銘柄名に「ブル」「2倍」がついたETFも同じタイプです。
 インバース型は、市場と逆の動きをするETFです。名前に「ベア」がつく銘柄もこのタイプ。日経平均株価が1%上昇すると、反対に1%値下がりする設計です。「ダブルインバース」「ダブルベア」は2%値下がりします。
 相場と値動きが反対のインバース型は、リスク分散にも活用されることがあります。例えば、現物株を持っている投資家が、市場の下落を予想したとします。インバース型のETFを買い、予想通り市場が値下がりすると、ETFは逆に上昇します。保有する現物株が下がっても、インバース型ETFの値上がりによって、資産全体の目減りを防ぐ狙いです。
 エンハンスト型の指標は、ある投資戦略を立て、それに基づく運用をします。戦略の例としては、「リスクは市場全体と同じにし、価格変動は市場の指標を数%上回って利益を狙う」といったもの。さまざまな金融技術を複雑に組み合わせ、指標そのものが市場を上回る運用を目指します。エンハンスト型のETFは、アクティブファンドに近いと言えるでしょう。
 ETFは、市場全体に連動するため、値動きが分かりやすいとされていました。最近は、投資家のニーズに合わせて多様化したため、必ずしも市場の動きを単純に映したETFばかりではなくなりました。初心者には仕組みが理解しにくいものや、リスクの高い銘柄も出てきていますので、注意が必要です。