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知りたい投信 なるほどリッパー : 2020年9月4日

リッパーのESGスコアが提供開始 業績だけで評価されない時代へ

金融市場で関心が高まり、投資家の資金を集めている「ESGファンド」について解説。リフィニティブ・リッパーが提供を開始した「ESGスコア」の内容についても詳しく紹介した。

リッパーのESGスコアが提供開始:業績だけで評価されない時代へ

 金融市場で、ESGへの関心が高まっています。ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字。環境保護や社会的な課題、適正な管理監督に取り組む企業には、優れた経営と評価されて投資資金が集まってきます。

 「金融」は、お金を融通するしくみ。投資家の資金を、必要なところへ届ける役割を果たします。環境に悪影響を及ぼす気候変動への対策、人権保護や格差解消に積極的な企業への投資もその一つ。透明な経営の企業も、持続的な成長が期待できます。

 投資信託でも、ESGに積極的な企業の株式や債券を組み込んだ「ESG関連投信」に資金が集まっています。特に7月に新規設定された「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」は、募集開始から7月末までに4000億円強の資金を集めました。グラフは、国内で販売されているESG関連の投信43本の資金動向です。

 「ESG」は、これまでも話題になってきました。2017年に、公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESGの指数に連動する運用を取り入れ、18年にはESG関連投信が増えました。

 ですが、残念なことに、利益重視のムードが高まると、ESGから資金が流出する傾向です。ESGへの取り組みは、客観的な評価が難しい分野。企業の売り上げや利益と違い、数字で比較しにくい面があります。

 リフィニティブでは最近、「リフィニティブ・リッパー・ファンドESGスコア」の情報提供を始めました。運用する株式の企業情報などから、投信のESGを総合評価します。ESGに貢献する面を「ESGスコア」、悪影響を及ぼす面を「不祥事スコア」とし、二つを合わせて「統合スコア」とします=図。スコアの提供開始から日が浅く、評価対象となっている投信はまだ少なめ。今後、多くの投信にESGスコアがつき、個人投資家のみなさんの判断に役立つことを期待しています。