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- 2020年9月18日掲載 : 存在感を放つ日銀のETF買い
8月までの資金動向 存在感を放つ日銀のETF買い
8月の資金純流出入額ランキングについて解説。リッパーの推計によると、2か月連続の流入超過であった。ETFに資金が集まる要因や、流入額および流出額が上位のファンドの特徴について解説した。
8月までの資金動向 存在感を放つ日銀のETF買い
2020年8月の国内の投資信託市場の資金動向は、リッパーの推計で、上場投資信託(ETF)以外の国内公募株式オープン投信で1084億円の純流入。2カ月連続の流入超過でした。ETFを含めた集計では、4759億円の純流入。8カ月連続の流入超過です。
今年、ETFは特に多くの資金を集めています。1~8月の累計は、統計がある2003年以降で最も多い5.91兆円でした=グラフ。
ETFへの資金流入が増えたのは、新型コロナウイルスの感染拡大で経済や金融市場が混乱しないように、3月に日銀がETFの購入枠を年間12兆円へと、それまでの2倍に増やして備えたため。
特に3月と4月は巨額で、日銀だけでそれぞれ1.5兆円、1.2兆円分のETFを購入。日銀が金融緩和政策の一つとしてETFの購入を始めた2010年当時は、年間購入予定額が4500億円でしたから、現在の買い入れ規模のいかに巨大なことか。
個別の投信では、8月は2020年に誕生した投信に資金が集まりました。月間純流入額の上位4銘柄が、今年の新規設定です。そのうち3銘柄が、ESG=環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に貢献する企業の株式で運用する投信。持続可能な社会への関心の高まりを感じます。
1~8月の累計でも、7月新設の「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」が、8月も資金を集めて圧倒的首位に=表。2位銘柄の3倍の純流入額でした。
純流出額2位~4位は、バイオ、自動車、ロボットという、テーマ株で運用する投信です。首位の「ひふみプラス」も含め、純流出上位は過去1年間の値上がりが大きい銘柄。利益確定売りと考えられます。