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  3. 2020年10月9日掲載 : コロナで変わった?③ リート投信 分配金引き下げでも資金は流入

コロナで変わった?③ リート投信 分配金引き下げでも資金は流入

コロナ禍のリート投信の現状について考察。純資産残高は減少しているが、基準価額が下がったことが原因で、実際には資金が流入していることをグラフを用いて解説した。

コロナで変わった?③ リート投信 分配金引き下げでも資金は流入

 緊急事態宣言によって人の流れが変わり、その結果、不動産を取り巻く環境も激変しています。企業がリモートワークを進めてオフィスの空室が増え、廃業を余儀なくされた店舗が退去してテナント料収入も減少。海外からのインバウンド客が姿を消し、ビジネス客も減ったホテルは苦境に立たされています。その一方で、巣ごもり消費によって倉庫などの物流系は需要が増加しました。

 不動産投資信託(REIT)は投資家から集めた資金で不動産投資をするしくみです。投資対象はオフィスビルから、商業施設、ホテル、倉庫・物流施設、大規模マンションまで、さまざまです。このREITを複数買い集めて運用する投資信託が、リート投信です。国内で販売されているリート投信について、7月末時点で過去1年間の騰落率を単純平均すると、15.6%の値下がりでした。

 一般に、REITの配当利回りは、株式より高めです。そのため、リート投信の多くが、収益分配金を高くすることができ、頻繁な決算で分配金を支払えるのです。

 その分配金を楽しみにしていた投資家を、コロナショックが襲いました。国内で販売されている毎月分配型のリート投信は169銘柄。その4分の1にあたる41銘柄が、今年2月から7月までの間に、分配金を引き下げたのです。表は、その主な銘柄です。分配金が半減した翌月から、急に解約が増えた投信もありました。

 とはいえ、リート投信全体でみると、まるっきり資金が逃げ出してしまったわけでもなさそうです。棒グラフは、リート投信の資金純流入額です。2月こそ額は小さかったものの、コロナ禍においても、その前に比べて見劣りせず資金が集まっています。

 折れ線グラフは、各月末時点のリート投信の純資産残高です。純資産は1年前より15%減少したままですが、解約が多かったのではなく、基準価額が下がったためと見ることができます。