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知りたい投信 なるほどリッパー : 2020年11月27日

投信の税金を正しく知ろう② 特定口座は損益計算の手間なし

投信の税金を正しく知ろうシリーズの第2回目。個人投資家が投資信託の取引に使う証券口座の種類、納税の仕組みや方法などについて詳しく解説した。

投信の税金を正しく知ろう② 特定口座は損益計算の手間なし

 個人投資家が公募投資信託や上場株式を換金して利益を得た場合、原則として、その年の分の所得税は確定申告で納税することになっています。「えっ? 確定申告なんて、していないよ」という方も多いでしょう。そう、それもそのはず。特定口座の「源泉徴収あり」を選べば、確定申告をせずに済むからです。

 税金は、利益に対してかかります。1年間に売却した公募投信や上場株式の利益から損失を差し引いて、プラスなら課税されます。個人投資家の場合、1月から12月までの1年が計算の対象期間。原則は、自身が年間の損益を計算し、確定申告する「一般口座」で、取引金融機関が顧客の年間の損益を計算する「特定口座」も選択できます。一般口座と特定口座の両方を「課税口座」と呼び、利益に税金がかからない少額投資非課税口座(NISA)と区別しています=左下図。

 一般口座は、年間の損益も納税額も、投資家自身が計算し、確定申告で納税します。公募投信を換金して得られた利益や上場株式の売却益は、「上場株式等の譲渡所得等」という区分。給与所得や事業所得などと合算する総合課税でなく、別の計算をします。また総合課税では所得が多いほど税率が高くなりますが、上場株式等の譲渡所得等は、どれだけ金額が多くとも税率は一律の分離課税です=右上図。

 一般口座が原則とはいえ、多くの個人投資家は特定口座を利用しています。特定口座は、年間の損益を計算するのが面倒だと感じる人のためにあるようなもの。「いくらもうかった」と計算するのは楽しみですが、毎年、明細書とにらめっこをして正確な損益を出すのは面倒。金融機関が顧客の取引履歴から年間の損益を計算し、報告書を発行するサービスがついているのが特定口座です。

 特定口座はさらに、「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」に分かれます。源泉徴収ありでは、金融機関が顧客の損益計算を元に税金を売却代金から天引きして、納税を代行します。ただし、複数の金融機関で取引をしていて、それらの年間損益を合算したい人は、確定申告で精算する必要があります。

 源泉徴収なしの場合は、税金の天引きはありません。金融機関が作成した年間取引計算書の利益を、確定申告書に書き写して投資家自身が確定申告で納税します。

 なお、公募公社債投信は改正を重ね、現在は上場株式等と同じ扱いになり、特定口座の対象にもなっています。